製薬企業デジタル&データ活用 実態調査2022レポート – ツール編
製薬業界において、医薬品マーケティングを成功させるためにはデジタルの利活用が欠かせないものとなっています。製薬企業各社はさまざまな課題を抱えながら、自社に適したデジタルの利活用方法を模索しています。Medinewでは昨年に引き続き、2022年7月にデジタルの利活用実態を探るべく、業界調査アンケートを実施。本記事ではその調査結果から、ツールの利活用に関する結果をまとめます。
サマリー
ツール導入への意欲は高いものの、今年も「人材」と「体制」が課題に
- 過半数がオンライン面談ツール、動画・Web講演会配信ツール、顧客管理ツール、BIツールを利活用。情報発信用、顧客とのコミュニケーション用、顧客管理・育成用など、目的・用途に応じた複数のツールを導入している。
- 順調群は非順調群に対して、マーケティングオートメーションツール(MAツール)とチャットボットシステムの導入率が高い。
- ツール利活用に関する課題として「ツールを使いこなせる人材が不足している」「現場の巻き込み・コミュニケーションがうまくとれていない」が昨年に引き続き上位にランクイン。
製薬企業デジタル&データ活用実態調査 実施背景
引き続き、医薬品マーケティングにおいてデジタルを利活用する動きが製薬業界全体でみられています。営業所を撤廃・縮小しMRを減らす企業、リモート専任MRを設ける企業、医療従事者向けWebサイトをリニューアルする企業、新たなコミュニケーションツールを導入する企業など、自社に適した医薬品マーケティング戦略を実行すべく、製薬企業各社はさまざまな施策を行っています。
Medinewでは、昨年に引き続き、製薬業界のデジタル・データの利活用実態を探るべく、2022年7月に業界調査アンケートを実施しました。
(調査期間:2022年7月12日~24日、調査対象:Medinewメルマガ登録者のうち、製薬企業勤務の方(デジタルマーケティング部門、営業企画部門、プロダクトチーム、メディカル部門など)、回答者数:85名、調査方法:ウェブによるアンケート形式)
「デジタル全体の利活用状況」とともに、「デジタルチャネルの利活用」「ツールの利活用」「データの利活用」の3つのテーマで現状・課題を調査。本記事では、昨年の調査結果とんの比較を交えながら、製薬業界におけるツール利活用の実態を考察します。
▼そのほかの2022年版アンケートレポートはこちら
▼2021年版のツールに関するアンケートレポートはこちら
マーケティングオートメーションツール(MAツール)の導入率がアップ
顧客へのセールス・マーケティングにおいてどのようなツールを導入しているかの設問では、過半数が「オンライン面談ツール(85.9%)」「動画・Web講演会配信ツール(75.3%)」「顧客管理ツール(72.9%)」「BIツール(60.0%)」を活用していると回答。
この1年で特に変化が見られたのは「マーケティングオートメーションツール」で、昨年(26.1%)に比べ約7ポイントアップし32.9%が導入していると回答。製薬企業においても、顧客のオウンドメディア上での行動やメールの開封・クリック状況などを把握し、顧客ごとに最適なアプローチを行うなど、オムニチャネルマーケティングを実施する上でMAツールが必要となってきていることがうかがえます。
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順調群と非順調群の差は「MAツール」「チャットボット」
顧客へのセールス・マーケティングにおいてデジタルの利活用は順調に進んでいるかという設問への回答から、順調群(「順調に進んでいる」と回答)と非順調群(「あまり順調に進んでいない」「全く順調に進んでいない」と回答)に回答者を分類(n=80)し、それぞれの結果を比較しました。
順調群と非順調群で20ポイント以上の差が出たのは、「マーケティングオートメーションツール」と「チャットボットシステム」の2つ。いずれも、順調群が活用率が顕著に高いことが分かりました。
「マーケティングオートメーションツール」は前述の通りオムニチャネルマーケティングの成功のために欠かせないツールですが、「チャットボットシステム」は、オウンドメディア上の顧客満足度を向上させるだけでなく、社内の業務効率化も期待できます。
MAなどのツールで基盤を整えたうえで、チャットボットといった比較的新しいツールを導入しながら、さらなる顧客体験の向上や業務効率化を推進していくことが、競争優位性につながるといえるでしょう。
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ツール利活用の課題は「人材」と「体制」
ツール利活用に関する課題を問う設問では、過半数が「ツールを使いこなせる人材が不足している(69.4%)」「現場の巻き込み・コミュニケーションがうまくとれていない(51.8%)」を課題として挙げ、昨年と同じ結果に。引き続き、人材と体制に課題を感じている製薬企業が多いことがうかがえます。
順調群/非順調群でデジタルコンテンツの制作やデータ連携に大きな差
ツール利活用の課題を問う設問を「順調群」「非順調群」で分類したところ、ほぼ全ての課題について、非順調群が顕著に高い結果となりました。特に、20ポイント以上の差がついた課題が、「自社内にどういったツールが導入されているのか整理されていない」「デジタルマーケティングを支援する外部企業との連携ができていない」の2つ。
外部の協力会社との連携、内部の部署間での連携が大きな課題として浮かび上がりました。
ツール利活用で顧客へのマーケティング活動だけでなく、社内体制の強化も期待
「デジタルチャネルに何を期待するか」を問う設問には、「各部署の連携を円滑にすることで、効率的な営業促進につなげたい」「人を介さない情報提供、時間外での問い合わせの対応力の向上」「円滑な社内コミュニケーション」といった回答が寄せられました。
これらの自由回答から、ツールの利活用により
- 営業・マーケティング効率の改善
- 顧客への効果的・タイムリーな情報発信
- 社内体制の強化・改善
を期待していることがうかがえます。
ツールにより解決したい課題はなにか、導入後に誰が(どの部署が)どのように運用するか、ツールから得られるデータをどのように活用するか、といった点を事前に固めたうえで、導入・運用を行わなければなりません。
導入したツールを最大限使いこなすには、社内外の連携を密に行うことはもちろん、社内メンバーのツールを使うケイパビリティの醸成など、まずは社内の基盤を整えることが大切といえるでしょう。
▼関連ダウンロード資料
ダウンロード資料「製薬企業におけるデジタル&データ活用 実態調査2022」
本記事で紹介したグラフを含む資料「製薬企業におけるデジタル&データ活用 実態調査2022」は、以下フォームよりダウンロードいただけます。
※資料の無断引用・転載はお断りいたします。
▼「製薬企業におけるデジタル&データ活用 実態調査2022」掲載内容(全44P)
- 調査概要
- 主な調査結果
- デジタル利活用の順調度
- デジタルチャネル利活用実態
-デジタルチャネルの利活用
-デジタルチャネルの課題
-デジタルチャネルの利活用意向
-デジタルチャネルへの期待
- デジタルツール利活用実態
-デジタルツールの利活用
-デジタルツールの課題
-デジタルツールの利活用意向
-デジタルツールへの期待
- データ利活用実態
-データの利活用
-データの活用目的
-データ利活用の課題
-データの利活用意向
-データへの期待(参考)
- 回答者属性
- Appendix:所属部門別集計