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製薬企業のTwitter利用状況
今回調査した製薬企業19社中6社が、日本語アカウントでTwitterを利用していました。
投稿は、リンクや動画を添付しオウンドメディアへ誘導する内容が多数みられました。Twitterでは140文字の文字数制限があるため投稿で解説するのではなく、画像やキーワードで興味関心をそそるように各社工夫しているようです。複数のアカウントを使い分ける企業もあり、例えば、協和キリンは医療関連の情報アカウントとサスティナビリティ活動報告アカウントの2つを使い分けています。
会社紹介やニュースリリース、疾患啓発などの情報配信に加え、ダイバーシティや社会貢献、LGBT+などに関する社内外の活動報告の場としても、多くの企業がTwitterを活用しています。
製薬企業のFacebook利用状況
今回調査した製薬企業19社中11社が、日本語でのFacebook活用を実施していました(ファイザーは、英語アカウントですが翻訳機能により日本語表示)。
画像または動画と長文を合わせて配信できるFacebookの特徴を活かし、疾患啓発や雑学といった情報を配信する企業も多くあります。
クイズ形式で会社紹介を行ったり、行事に絡めた企画をアップしたりする企業もあり、一方向だけの情報提供ではなく、ユーザーに参加してもらう工夫が行われています。
製薬企業のYouTube利用状況
今回調査した製薬企業19社中10社が、日本語アカウントでYouTubeを活用していました。一般消費者や患者向け動画を中心とする企業、会社活動報告を中心とする企業、専門分野のコンテンツを豊富に用意する企業など、各社で特徴があります。
一般消費者や患者向け動画では、配信されたCMやそのメイキング映像、疾患啓発、患者の疾患に向き合うストーリーなどが配信されています。専門分野コンテンツでは、研究者へのインタビューやDX(デジタルトランスフォーメーション)に関する動画が見られます。わかりやすいコンテンツと深く専門に特化したコンテンツが混在しているサイトもあり、ターゲットを絞ったり限定公開を活用したりなど、配信方法の工夫が今後の課題かもしれません。
製薬企業のnote利用状況
今回調査した製薬企業19社では、noteを活用していたのは中外製薬の1社のみでした。SNSでありながら、オウンドメディアのように画像や動画付きで詳しく解説できるところがnoteの魅力といえるでしょう。記事作成が基本となるnoteは制作に時間を要することから、ある程度ターゲット設定をした上でのコンテンツ制作が重要となりそうです。
中外製薬では、実際に働く社員や現在行っている研究開発の実状を伝える手段としてnoteを活用しています。気軽に投稿できないからこそ、じっくりと読み込んでもらえるテーマ選択やコンテンツ制作の工夫が求められそうです。
製薬企業のInstagram利用状況
日本国内でのユーザー数3,300万人(2019年6月時点)
1)
とSNSとして広く活用されているInstagramですが、製薬企業での活用は今回調査した19社では4社とあまり活用されていません。投稿内容についても、4社中1社は未投稿であり、2社は他SNSと連動し投稿しているようです。武田薬品工業では、採用専用のアカウントとしてInstagramを活用しています。
Instagramは画像がメインであることから、製薬企業としては情報発信のためにInstagram用の画像を用意する必要があるなど活用しにくいかもしれません。しかし、Instagramは10~30代女性の利用者が多く、若年層の女性へ向けた情報発信のプラットフォームとして活用が期待できそうです。
製薬企業のLinked in利用状況
ビジネス用SNSとして、日本国内での登録者数300万人以上(2022年8月時点)
2)
を誇るLinked inは、製薬業界でも活用されています。今回調査した19社では、6社が日本語アカウントや日本語での投稿が見られるアカウントを保有していました。そのうち2社では投稿がされていないため、実際に運用されているのは4社です。
4社全てで日本国内での求人がアップされており、優秀な人材を募集するプラットフォームとして活用されています。投稿内容が充実していたアステラス製薬と武田薬品工業では、英語と日本語の投稿が混在していました。グローバルに活躍できる人材を求める良いツールとなっているようです。
SNS活用事例紹介
クイズ形式やアンケート活用でユーザーの関心を高める
SNSでの情報発信は、一方向になりがちです。長文で投稿可能のFacebookは詳細な内容を配信できますが、いかに関心を持ってもらえるか、最後まで読んでもらえるかなど難しいところもあります。グラクソ・スミスクラインのFacebookでは、会社紹介をクイズ形式で配信しています。クイズにより興味関心を持ってもらえやすいことに加え、「正解は、後日コメント欄で」とすることで、再訪してもらえるメリットもありそうです。
沢井製薬ではTwitterのアンケート機能を活用し、ユーザーが気になる情報を調査し、結果に応じて配信内容を決定する取り組みをしています。ユーザーの興味関心を知る手段として有効であるアンケート機能は、活用してみる価値がありそうです。
TwitterとFacebookを連動させターゲット層を広くカバー
TwitterかFacebookのどちらかを利用する製薬企業がほとんどである中、MSDはTwitterとFacebookの両方のSNSで情報発信しています。配信内容を分けるのではなくテーマと画像は統一し、Twitterでは簡潔に、Facebookでは詳細に文章をまとめています。
Twitterの文字数だけでは十分に伝えきれない内容に関しては、Facebookのリンクを貼り、詳しく知りたいTwitterユーザーにも十分な情報を伝える工夫がされています。若年層の利用が多いTwitter 、30~40代以上のユーザーが多いFacebookそれぞれの特徴を生かし、TwitterとFacebook両方の利用によって、広い年齢層への情報発信が期待できそうです。
CMメイキング映像やシリーズ制作で視聴者獲得
今回調査した製薬企業の公式YouTubeの中で、唯一チャンネル登録者数が1万人を超えていたのが中外製薬の公式チャンネルです。配信内容は患者さん向けの疾患啓発動画、一般消費者向けのCM動画、製薬業界のDXに関する動画などがメインです。
CM動画をYouTubeで配信している企業は他にもありますが、中外製薬のチャンネルではメイキング映像や出演者インタビュー動画も配信しています。永山絢斗さんを起用したCM、笠井信輔さんのインタビュー、堀田真由さん主演の疾患啓発ショートフィルムなど、著名人を起用したコンテンツも見られました。医療従事者の仕事シリーズ、医療統計解説動画シリーズ、がんゲノム医療シリーズなど、シリーズ制作も盛んに行っています。
著名人起用やメイキング映像での視聴者獲得、シリーズ動画での継続視聴がYouTube戦略に有用かもしれません。
複数SNS利用で配信情報やターゲットを使い分ける
SNSは、それぞれ利用できる機能やユーザー層に違いがあります。有効活用するには、どのSNSでどのような内容を配信するかを検討する必要があります。TwitterやFacebook、Instagramは投稿回数の多さもポイントとなります。「○○デー」や「○○月間」などに絡めた情報発信回数を増やしたり、会社や薬に関する雑学を投稿したりするのも良いでしょう。社会貢献活動やSDGsへの取り組みの配信は、企業のイメージアップに繋がるので、積極的に発信したいところです。
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今回調査した19社の詳細は、無料のダウンロード資料よりご確認いただけます。
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ダウンロード資料「製薬企業SNS利用状況調査|2022年9月版」
■調査対象19社が運用するSNS 38アカウント
・概要(アカウント名、URL、フォロワー数/登録者数)
・プロフィール文
・発信内容(抜粋)
・直近3カ月の更新回数
<出典>
※2022年9月30日最終閲覧
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