【DL資料あり】製薬企業のメルマガ、チャットボット、WEBディテーリングの導入状況を調査|2025年1月版

【DL資料あり】製薬企業のメルマガ、チャットボット、WEBディテーリングの導入状況を調査|2025年1月版

デジタルツールがめざましく進歩する近年、製薬企業各社もデジタルトランスフォーメーションを経営戦略に組み込み、重要な施策と位置付けています。医療従事者向けサイトでは、メールマガジンやチャットボットなどの活用が以前より行われてきました。本調査では、各製薬企業の医療関係者向けサイト内でのメルマガ/チャットボット/WEBディテーリング/LINEアカウントの導入状況を調査しました。記事の最後には、デジタルツールの導入事例も紹介しています。ぜひご覧ください。

調査対象20社

調査対象は、2023年4月~2024年3月の販売会社ベース企業売上ランキング(出典:IQVIA)より抜粋した20社20サイト(以下リストに記載)です。協和キリンとサノフィが2025年版より新たに対象となっております。

調査対象20社一覧
調査対象20社一覧

1)メールマガジンを配信している製薬企業一覧

今回の調査では、メルマガ配信製薬企業は20社中17社でした。残りの3社については配信状況が不明であり、メルマガを配信している可能性は十分に考えられます。

配信内容は、前回同様に製品情報やサイト更新情報、セミナー開催案内などでした。興味関心のある領域を選択してもらうことで、提供する情報をカスタマイズすることも行われています。また、担当MRからのメルマガ配信を行う企業が数社ありました。医療現場により近い場所に接するMRだからこそ、リアルタイムに医師が求める情報と製薬企業が提供したい情報のバランスを考慮し、メルマガ配信が行えそうです。

中外製薬では、希少がん関連情報の提供をメルマガで行っています。製薬業界全体で希少疾患への注目が高まっており、今後希少疾患関連のメルマガ配信が増えてくるでしょう。

製薬企業20社のメールマガジン配信状況

2)各製薬企業のチャットボット導入状況と活用シーンは?

医療関係者向けサイト内でのチャットボット導入は、20社中10社でした。サイトリニューアルに伴い、チャットボットの導入状況が変化した企業が見られました。会員登録をせずに利用できるサイトが10サイト中8サイトと、利便性の向上が見られました。チャットボットの機能が高まったことや、利用者側のチャットボットへの順応によるものかもしれません。チャットボットとのやり取りも、よりスムーズであり自然な会話になってきていると感じました。

協和キリンのサイトでは、チャットボット開始前に職業選択の項目が設けられていました。また、ファイザーのサイトでは、有人によるチャットボットサービスも提供しています。チャットボットを導入することが目的ではなく、医療関係者がスムーズに製品情報検索するためのツールとして、導入の有無や活用方法を各企業が十分に検討しているようです。

製薬企業20社のチャットボット導入状況

3)各製薬企業のWEBディテーリングの導入状況は?

今回の調査では、医療関係者向けにWEBディテーリングを提供している製薬企業は、20社中13社でした。オンライン面談ツールが発達したこともあり、担当MRによるWEB面談は各社実施していることが推測されます。

医療関係者向けサイトに導入しているWEBディテーリングは、MSLや領域・製品専任MRとの面談としているものが多くありました。担当MRとの面談よりも、一歩踏み込んだ専門性の高い会話が期待できるサービスとなっています。以前は希望日を選択後、メールや電話にて担当者から予約確定日を連絡する流れが多かったですが、予約フォームで希望日を選択すると面談予約が確定できるシステムがほとんどでした。予約のしやすさは、医師をWEBディテーリング利用へ導く重要な要素でしょう。ノバルティスファーマのサイトでは、残数の表示があるものもありました。

製薬企業20社のWebディテーリング導入状況

4)各製薬企業のLINE公式アカウントの導入状況は?

LINE公式アカウントを導入している製薬企業は、20社中5社でした。友達追加には、医療関係者向けサイトの会員登録が必要なアカウントもあれば、会員登録を必要とせず可能なものもありました。

LINE公式アカウント内での情報提供内容は、医療関係者向けサイトへのクイックアクセスや各種お知らせの配信が主です。協和キリンのLINE公式アカウントは、チャットボットへのダイレクトアクセスに特化しています。LINE公式アカウントの運用では、どのような機能と役割を持たせるか、どの層をターゲットとするかなどを検討し運用していくことが鍵となりそうです。

製薬企業20社のLINEアカウント導入状況

導入事例紹介

アステラス(株): メールからのサイト来訪率が約3倍に

アステラス製薬は、Adobe Marketo Engageを活用したコミュニケーションフローを導入することで、メールマガジン配信からの医療関係者向けサイトへの来訪率が約3倍に増加しています1)。メールアクションでの軸となっているのは、属性・行動・コンテンツの3つです。職種によるメール内容のカスタマイズ化、WEBセミナーの視聴有無によるパーソナライズ化、メール内容の動的な出し分けなどの施策をとっています。また医療関係者向けサイトへの来訪データをMRに共有するSNS Botも活用。情報の質や意味が異なるSNS Botを複数活用することが功を奏しているそうです。

また、MRが使用するタブレット端末に、医師よりヒアリングした患者の症状や投薬状況などが登録できるアプリを開発。MRによる高いディテーリングや、マーケティング部門による分析に活用しています2)

さらに、2024年4月からは新たな営業組織をスタート。オムニチャネル戦略や営業ケイパビリティ強化を目的とする「カスタマーエクセレンス部」、オンラインMRの活動を強化する「オンラインカスタマーエンゲージメント部」などを設置し、カスタマーエンゲージメントを強化しています3)

中外製薬(株): MRのトレーニングを行う生成AIアプリを開発

内製開発チームが開発したMRの自己学習をサポートするアプリ「CHUGAI AI Medimentor」が、Google Cloud の第2回生成 AI Innovation Awardsにて最優秀賞を受賞しました4)。生成AIは質問に回答することを得意としており、その特徴を活かした活用が製薬業界でも主に行われています。しかし中外製薬では、質問を出題する生成AIの導入に挑戦。医師と化した生成AIが質問を投げかけ、MRが回答練習できる生成AIの開発に成功しました。

生成AIを相手に医師とのコミュニケーションをロールプレイし経験を重ねることで、専門知識の習得や最適な情報提供の推進を効率的にトレーニング可能です。ロールプレイング終了時には生成AIが面談評価をフィードバックし、MRの成長をサポートします。

生成AIに限らず、デジタルツールを社内で活用する製薬企業が増えてきています。一方でIT分野を得意としない社員がデジタルツールやデータを使いこなせない問題が出ていることも現状です。その対策として、ノバルティスファーマではデータ利活用の基礎を学べる「アナリティクスブートキャンプ(ABC)」5)、武田薬品工業株式会社ではデジタル・ブートキャンプと題した「データ・デジタル&テクノロジー(DD&T)アカデミー」6)を社内で実施しています。デジタル部門内でのIT強化だけでなく、会社全体でのデジタル活用を目指した教育強化が今後求められるでしょう。

デジタルツールによるアプローチとMRによる活動をつなげ、情報提供の質と量を高める

メールマガジンやWEBディテーリングなどデジタルを活用した医療従事者へのアプローチは、当たり前となっています。また、直接医師へ面談できるMR活動もコロナ禍以前の状況に戻ってきました。医療従事者向けサイトへのアクセス数を増やす、そして処方へつなげるためには、デジタルツールとMR活動の連携強化が重要となっています。
十分な機能を有したデジタルツールを開発・導入している製薬企業もあることでしょう。しかし、いくら優れたツールであっても、使われなければ機能を発揮できません。デジタルを活用できる人材を教育し、増やしていくことが急務のようです。

<出典>※URL最終閲覧日2025.1.23
1) Adobe Experience Cloud,2024.04.03,来訪率を急増せたアステラス製薬のオウンドメディア活用術
https://business.adobe.com/jp/blog/the-latest/dx-202312-mug-astellas
2) NCDC,事例紹介,従来のデジタルマーケティングに留まらない、人のリアルなコミュニケーションを進化させるアステラス製薬の新しいチャレンジ
https://ncdc.co.jp/cases/394/
3) アステラス製薬,ニュース,2024.02.07、新たな日本の営業組織について
https://www.astellas.com/jp/news/28891
4) note,CHUGAI DIGITAL,2024.12.17, 【技術ブログ】Google Cloud生成AI Innovation Awards最優秀賞受賞!MR(医薬情報担当者)と医師の面談を再現するAIプロトタイプの開発で目指す、医薬品情報提供の質の向上
https://note.chugai-pharm.co.jp/n/neee44af295fc
5) ノバルティスファーマ, Stories,2024.03.19, 「データ分析を民主化させる」ことがミッション
https://www.novartis.com/jp-ja/stories/digital/cd-a4
6) 世界に尽くせ、タケダ。, デジタル・ブートキャンプってナンダ?, DX INSIGHTSVol.03 集中型リスキリング「DD&Tアカデミー」の始動に迫る
https://www.240.takeda.com/workdx/02/

無料資料ダウンロード「製薬企業デジタルツール導入状況一覧​​ 2025年1月版」

今回調査した20社の詳細をまとめた情報は、無料のダウンロード資料よりご確認いただけます。下記フォームに必要事項をご記入の上、お申込みください。資料ダウンロード用URLをお送りいたします。

ダウンロード資料「製薬企業デジタルツール導入状況一覧​​ 2025年1月版」
・メルマガ配信(実施の有無/内容)
・チャットボット(実施の有無/名称/会員登録/利用方法/概要・導入範囲)
・WEBディテーリング(実施の有無/名称/会員登録/利用方法/概要・導入範囲)
・LINE公式アカウント(実施の有無/名称/内容)