【DL資料あり】製薬企業のメルマガ、チャットボット、WEBディテーリングの導入状況を調査|2024年1月版
医薬品や治療についての情報を医師が集める方法は、MRからが当たり前だった時代から、MRと医療従事者向けサイト双方からの情報収集に変化しました。ここ数年で製薬企業の医療従事者向けサイトは内容の充実とともに、利便性も向上しています。2024年度版では、2023年度1月版の調査対象であったメルマガ/チャットボット/WEBディテーリングに、新たにLINE公式アカウントを加え、各デジタルサービスの導入状況を調査しました。
調査対象19社
2023年5月にIQVIAより公開された22年度販売会社ベース企業売上ランキング(期間:2022年4月~2023年3月)より抜粋した19社19サイト(以下リストに記載)を調査の対象としています。
1)メールマガジンを配信している製薬企業一覧
今回のメルマガ配信製薬企業は、調査対象19社中16社でした。サイトリニューアルなどに伴い、メルマガの有無や内容が調査不明であった製薬企業がいくつかありました。
配信内容は前回同様に、製品情報やセミナーの案内、オウンドメディアのコンテンツ更新などが主です。医師の興味や関心によりカスタマイズされたメルマガの配信は、情報過多である現在は当たり前のサービスになりつつあります。メルマガの内容や配信頻度などを工夫するとともに、未開封を回避する工夫が引き続き求められます。
2)各製薬企業のチャットボット導入状況と活用シーンは?
今回の調査での医療関係者向けサイト内におけるチャットボット導入状況は、19社中11社でした。活用シーンや対象製品に大きな変化は見られませんでしたが、中外製薬ではチャットボットの活用を2023年12月に終了しています。チャットボットは導入することそのものが目的ではなく、医療従事者の利便性を高めることが求められるサービスです。そのためオウンドメディアの機能を充実させられれば、チャットボットの導入は必須ではないとも考えられます。
質問を途中で中断し、はじめからチャットをやり直せる「リロードボタン」は、求める回答が見つからないときに便利だと感じました。チャットボットの機能面では定型メニューから選択肢を選ぶものやフリー入力など、各社の差はあまりなく、前回調査時からの変化もほとんどありませんでした。
3)各製薬企業のWEBディテーリングの導入状況は?
今回の調査ではWEBディテーリングを導入している製薬企業は、19社中12社でした。ただし残りの7社も会員限定サイトやMR主導で、WEBディテーリングを実施している可能性が十分にあると言えるでしょう。
調査可能であった製薬企業では、複数のWEBディテーリングを導入している企業がありました。それらの企業では、LINEWORKSやmyMR君を活用し担当MRが実施するものと、専門知識が豊富なMSLなどが実施するものを運用しています。MSLなどが実施するものの中でも希少疾患が対象のWEBディテーリングでは、情報提供が目的ではなく医師と製薬企業とのディスカッションを主としているようです。
WEBディテーリングも担当者を使い分け、医師が求める内容に合った情報提供やディスカッションとすることで、より活用の幅が広がるのではないでしょうか。
4)各製薬企業のLINE公式アカウントの導入状況は?
今回は新たに、LINE公式アカウントの導入状況も調査しました。医療従事者向けLINE公式アカウントを運営していた製薬企業は、19社中4社でした。LINE内での配信内容は、サイト内コンテンツの更新情報や添付文書改訂情報などです。メニュータブでは、医療従事者向けサイトの各コンテンツへクイックアクセスできるようになっています。
医療従事者向けサイトの会員登録を利用条件としたり、疾患領域を限定してアカウントを運営したり、LINE IDと連携しサイトのログインの利便性を高めたりする企業もありました。新しくLINE公式アカウントを開設した企業がある一方、中外製薬ではチャットボット同様に2023年12月にLINE公式アカウントを閉鎖しています。
さまざまな業種でLINE公式アカウントからの情報配信が行われています。複数のアカウントを友だち追加している利用者には頻回の配信は負担となり、通知をオフするきっかけになるかもしれません。有用な情報を、適切なタイミングや頻度で配信できるかがポイントとなりそうです。
導入事例紹介
ノバルティスファーマ(株):WEBディテーリングの対象領域拡大
ノバルティスファーマはWEB面談をオンコロジー領域のみで運用していましたが、2023年3月より新しく「デジタルコミュニケーション部門」を立ち上げ、対象領域を広げてサービスを開始。新しいWEB面談「デジタルコミュニケーター」では対象領域ごとに予約フォームを用意し、対応時間は領域ごとに異なります。
専門知識がある社員によるWEB面談は回答の早さや正確性が魅力です。医師からの質問に対しすぐにレスポンスできることでディスカッションが弾み、質の高い面談時間となることでしょう。また実際に利用している医師からは、専門領域以外の知識を得やすい・急患によるキャンセルがしやすいなどの感想が寄せられています1)。
大病院以外では一人の医師が専門外の疾患を診断治療することも少なくありません。小さな疑問から専門性の高い質問まで幅広くカバーできるWEBディテーリングが、診療の手助けとなることが期待されます
アステラス製薬(株):MR発のLINE活用術で医師の友だち追加に成功
社内での連絡手段として導入済みであったLINE WORKSを社外でも活用するようになったアステラス製薬2)。医師とのコミュニケーションツールにLINEを選んだ理由は、新たな顧客接点を模索するために営業本部が実施した「つながりプロジェクト」でした。その中であるグループがLINE WORKSを使った手軽なコミュニケーションの構築が提案。柔軟な営業活動におけるLINEの必要性を訴求し、LINEの外部トーク連携の規制緩和が実現し導入に至りました。
導入が成功したひとつに、医師の友だち追加がスムーズであったことが挙げられます。アステラス製薬では名刺やメール、郵送物にQRコードを掲載し、医師との友だち追加を促進。またLINEでMRとつながれることをPRするチラシも作成しています。LINEでつながることにより、スムーズな面会の予約・講演会の動画視聴数増加・タイムリーな症例フォローアップなどの効果が現れているそうです。今後はLINE WORKSの活用を一層発展させ、医療連携への展開も検討しています。
各デジタルツールの連携で医師の利便性を高める
オウンドメディアやメールマガジンでは、カスタマイズ化された情報提供が当たり前になりました。今後は、いかに利便性の高いツールを提供できるかがポイントとなってくるでしょう。そのためには、LINEアカウントとの連携などアクセスしやすい環境を作ることが重要だと言えそうです。
また情報量が多すぎることも、大きな課題です。メルマガ開封率が低いのであれば、メルマガ配信が迷惑となっている可能性もあります。自動化された情報提供が医師の求めるタイミングと適切な内容にできているか、再確認し再構築していくことが大切ではないでしょうか。
<出典>※URL最終閲覧日2024.12.28
1) ノバルティスファーマ,Stories,患者様と医師の間に必要な「デジタルの橋渡し」。医療業界に貢献するデジタルコミュニケーターの価値(https://www.novartis.com/jp-ja/stories/digital/dc3)
2) LINE WORKS,導入事例, MR-1グランプリを獲得! 医師とLINE WORKSでつながり、スピーディな1:1コミュニケーションがMR業務を円滑にします。(https://line.worksmobile.com/jp/cases/astellas/)
無料資料ダウンロード「製薬企業デジタルツール導入状況一覧 2024年1月版」
今回調査した19社の詳細をまとめた情報は、無料のダウンロード資料よりご確認いただけます。下記フォームに必要事項をご記入の上、お申込みください。資料ダウンロード用URLをお送りいたします。
ダウンロード資料「製薬企業デジタルツール導入状況一覧 2024年1月版」
・メルマガ配信(実施の有無/内容)
・チャットボット(実施の有無/名称/会員登録/利用方法/概要・導入範囲)
・WEBディテーリング(実施の有無/名称/会員登録/利用方法/概要・導入範囲)
・LINE公式アカウント(実施の有無/名称/内容)