製薬業界マーケティング/DX最新動向まとめ 2024年9・10月版

製薬業界マーケティング/DX最新動向まとめ 2024年9・10月版

昨今、医療・製薬業界でも、業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)やデジタルマーケティングに注力する動きが多くなってきました。本記事では、2カ月に1回、各製薬企業のプレスリリースより、最新製薬マーケティングやDXの取り組みをピックアップ。マーケティング、プロモーション、DXについて、業界全体の最新トレンドや、他社がどのような動きをしているのかを把握できます。今回は、2024年9・10月を対象に最新動向をまとめました。

※調査対象の企業は2024年5月にIQVIAより公開された23年度販売会社ベース企業売上ランキング(期間:2023年4月~2024年3月)より抜粋した19社。50音順にリストアップ

【2024年9・10月サマリー】

  • デジタルプラットフォームを活用した医療情報へのアクセス向上

一般向けに医療情報の効率的な入手を支援するデジタル化の取り組みが進展している。ファイザーは、自治体から発信される定期接種に関連する諸情報を検索できるまとめサイト「新型コロナワクチン定期接種 自治体情報検索サイト」を開設。従来は自治体ごとに個別に探す必要があった情報へのアクセスを効率化している。同社は先んじて8月に任意接種の医療機関検索サイトも立ち上げており、デジタルプラットフォームを活用して必要な医療情報へのアクセシビリティを継続的に向上させている。

  • 多彩なアプローチで築く疾患への理解

製薬企業各社の疾患啓発は、従来の一方向的な情報提供から、より深い理解と共感を促す多様な活動へと進化を遂げている。GSKは日本での認知度が18%に留まるRSウイルス感染症について、世界初となる啓発週間を立ち上げ、組織的な理解促進を開始。バイエル薬品は床一面に広がる特大ボードゲームで糖尿病を学ぶ体験型イベントを展開し、遊びながら学べる場を創出。さらにJ&Jは20年以上続く「ハートアートプロジェクト」で統合失調症患者のアート作品を募集し、芸術を通じた相互理解を深めている。

  • 「共生社会」の実現に向けた包括的支援の広がり

医療技術の提供を超えて、患者と支援者双方に寄り添う包括的なアプローチが注目されている。大塚製薬は、専門医監修のVRトレーニングプログラム「認知症ケア支援VR」を通じて、認知症患者と介護者双方の視点に立った支援を開始。認知症の方の気持ちや行動の背景を知り、具体的な対応を学べる本プログラムは、介護者のストレス軽減と患者のQOL向上を同時に目指す。従来の症状管理や治療提供の枠を超え、認知症との共生社会の実現に向けた包括的なアプローチを示している。

【各社プレスリリース抜粋】
■大塚製薬株式会社

FACEDUO「認知症ケア支援VR」の提供を開始 - 認知症の人と介護者がともにいきいき暮らす「共生」社会の実現を目指して -

2024年9月10日

大塚製薬は、株式会社ジョリーグッドとの共同事業であるVRトレーニングプログラム「FACEDUO(フェイスデュオ)」の新たなプログラムとして、「認知症ケア支援VR」を開発し、提供を開始した。今回の提供はプレリリース(お試し体験)で、12月に販売を開始する予定。
「認知症ケア支援VR」は、認知症の方のご家族や介護士の方をはじめとする介護者の方々が、認知症の方の気持ちや行動の背景を知り、具体的な対応を学ぶための、専門医監修の体験型VRトレーニングプログラム。本プログラムによる認知症ケアの向上により、認知症の方がその人らしく暮らし続けることを可能にしながら、介護者のストレスも軽減され、双方が充実した日々を送ることができる「認知症との共生社会」の実現を目指す。

https://www.otsuka.co.jp/company/newsreleases/2024/20240910_2.html


■グラクソ・スミスクライン株式会社

RSウイルス感染症や予防法について正しく理解いただくための取り組み、GSK、世界で初めての「RSウイルス感染症啓発週間」

2024年9月24日

GSKは、2024年9月に世界で初めて「RSウイルス感染症啓発週間」を立ち上げた。
日本ではRSウイルスは、約63,000人の入院と約4,500人の院内死亡を引き起こすと推定されている1)。日本独自で実施している調査において、RSウイルス感染症について、ある程度以上知っていると回答した人の割合は18%、自分にも感染することがあると回答した人の割合は27%、日常生活に大きな影響を与えると回答した人の割合は22%と、RSウイルス感染症に関する認知度の低さが示されている2)
「RSウイルス感染症啓発週間」の取り組みにより、RSウイルス感染症や予防法について、より正しい理解と医師への相談のきっかけとすることを目指す。

1)Savic M, Penders Y, Shi T, Branche A, Pirçon JY. Respiratory syncytial virus disease burden in adults aged 60 years and older in high-income countries: A systematic literature review and meta-analysis. Influenza Other Respir Viruses. 2023;17(1):e13031. doi:10.1111/irv.1303.
2)GSK「RSウイルス感染症と予防に関する日本人の意識調査」(日本人60歳以上男女6,262名対象のオンライン調査、2024年5月15日~5月17日実施)

https://jp.gsk.com/ja-jp/news/press-releases/20240924-global-rsv-awareness-week/


■バイエル薬品株式会社

糖尿病のキホンから合併症予防まで楽しく学ぼう:「体験型ボードゲームで学ぶ糖尿病と合併症 ~腎臓の声に耳を傾けよう~ in 丸の内」を11月7日(木)、8日(金)に開催

2024年10月24日

バイエル薬品は、糖尿病(ダイアベティス)と合併症に関する啓発活動の一環として、「体験型ボードゲームで学ぶ糖尿病と合併症 ~腎臓の声に耳を傾けよう~ in 丸の内」を11月14日の「World Diabetes Day(旧 世界糖尿病デー)」にちなみ2024年11月7日(木)、8日(金)の両日、丸ビル1階 マルキューブ(東京都千代田区)にて開催。
日本イベントでは、サイコロを振ったりルーレットを回したりして来場者自身がマス目を歩くことができる特大サイズの体験型ボードゲームが、会場の床一面に出現。ゲームを進めながら糖尿病と合併症について楽しみながら学ぶことができる。本イベントを通して、糖尿病や合併症について理解を深め、予防や早期発見につながる機会の一つにしたい考えだ。

https://www.pharma.bayer.jp/ja/press-release/news2024-10-24?token=b3p8SCdhKzYiXWxTVHVZdA==


■ファイザー株式会社

ファイザー、新型コロナワクチン定期接種に関する自治体発信情報まとめサイト「新型コロナワクチン定期接種 自治体情報検索サイト」を開設 ~各地域のワクチン接種可能医療機関や接種費用などを簡易に検索できる情報ハブ~

2024年9月20日

ファイザーは、10月1日の新型コロナワクチン定期接種開始に先立ち、自治体から発信される定期接種に関連する諸情報を検索できるまとめサイト「新型コロナワクチン定期接種 自治体情報検索サイト」(以下、本サイト)を、株式会社メディカルノートの協力により立ち上げたことを発表。本サイトはメディカルノートのウェブサイト内に設置し、ファイザーの新型コロナウイルス感染症の総合情報ウェブサイト「新型コロナを学ぶ」からリンクしている。
本サイトは各自治体の新型コロナワクチン定期接種に関する公知情報をまとめ定期的に更新するもので、現在地や各都道府県を選択することで、接種時期、費用、接種が可能な医療機関など、定期接種を検討される方が必要とする情報の概要を把握することが可能。また、各自治体の関連ウェブサイトとリンクし、自治体が発信する具体的情報の把握も可能で、各種情報を簡便かつ迅速に検索できる情報ハブとなっている。2025年3月31日までの公開予定。

https://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2024/2024-09-20


■ヤンセンファーマ株式会社

Johnson & Johnson、「第19回 ハートアートプロジェクト2024」を開催 統合失調症患者さんを支え、ノーマライゼーションを目指す

2024年10月10日

Johnson & Johnson(法人名:ヤンセンファーマ株式会社、以下「J&J」)は、10月10日の世界メンタルヘルスデーに合わせて精神疾患を抱える患者さんに向けたアート作品の募集プロジェクト「ハートアートプロジェクト2024」を開催。本プロジェクトは、統合失調症をはじめとするこころの病を抱えた方々の趣味や治療を通じて制作されたアート作品を通じ、こころの健康を支援する取り組みで、2024年は9月17日から11月29日まで作品募集を行う。
本プロジェクトは、統合失調症の患者さんが芸術を通じて自己の内面と向き合い表現することで、自己実現に向けて次の一歩を踏み出すきっかけになることを願い、2002年から実施。第19回を迎える今年のテーマは「チャレンジ」です。今回は、スペシャルサポーターにデザイナーとして活躍される篠原ともえさんを迎えた。
同社の疾患啓発サイト「統合失調症ナビ」からプロジェクトの詳細を確認できる。

https://www.mental-navi.net/togoshicchosho/live/event/index.html