製薬業界マーケティング/DX最新動向まとめ 2024年1・2月版

製薬業界マーケティング/DX最新動向まとめ 2024年1・2月版

昨今、医療・製薬業界でも、業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)やデジタルマーケティングに注力する動きが多くなってきました。本記事では、2カ月に1回、各製薬企業のプレスリリースより、最新製薬マーケティングやDXの取り組みをピックアップ。マーケティング、プロモーション、DXについて、業界全体の最新トレンドや、他社がどのような動きをしているのかを把握できます。今回は、2024年1・2月版を対象に最新動向をまとめました。

※調査対象の企業は2023年5月にIQVIAより公開された22年度販売会社ベース企業売上ランキング(期間:2022年4月~2023年3月)より抜粋した19社。50音順にリストアップ

【2024年1・2月サマリー】

  • 2024年1月、2月はデジタルマーケティングやDX関連のプレスリリースが少なめ。
  • アステラス製薬や中外製薬では、組織体制の改変を発表。アステラス製薬では、「製品ごとの最適な営業モデルの構築」と「カスタマーエンゲージメント(顧客と企業の深い信頼関係)の強化」を目的として、6つのスタッフ機能と、2つのセールス機能から構成される新たな日本コマーシャルの組織体制をスタートする。中外製薬は、PHC(個別化医療)ソリューションの開発から実用化戦略の立案および推進を目的に「PHCソリューションユニット」を新設。また、「ヘルスケアコンプライアンス機能」を再編し、コンプライアンス推進体制を強化する。
  • グラクソ・スミスクラインは上市に合わせ意識調査、疾患啓発を実施。60歳以上を対象としたRSウイルスワクチンの発売に先駆け、インターネット調査で行った「RSウイルス感染症と予防に関する日本人の意識調査」を発表。さらに、疾患啓発を目的として歌手のさだまさしさんと平原綾香さんを起用した新TVCM 「気にしてください、RSウイルス感染症」を全国で放映開始し、同社のYouTubeチャンネルでも公開している。

【各社プレスリリース抜粋】
■アステラス製薬株式会社

新たな日本の営業組織について - 革新的な医薬品を待ち望む全ての患者さんに「価値」を提供し続けるために -

2024年2月7日

アステラス製薬は、2024年4月1日から新たな日本コマーシャル(日本の営業組織)の組織体制をスタートすることを発表。

近年、アステラス製薬の国内製品ポートフォリオは専門性の高い製品にシフトするとともに、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を契機とした新しい生活様式の浸透や医師の働き方改革などにより、アステラス製薬の日本コマーシャルを取り巻く環境も大きく変化している。変化を先取りし、アステラス製薬の革新的な医薬品を待ち望む全ての患者さんに「価値」を提供し続けるために、現在の組織を発展的に解消し、

  1. 製品ごとの最適な営業モデルの構築
  2. カスタマーエンゲージメント(顧客と企業の深い信頼関係)の強化


を目的として、6つのスタッフ機能と、2つのセールス機能から構成される新たな日本コマーシャルの組織体制をスタートする。

https://www.astellas.com/jp/news/28891

■グラクソ・スミスクライン株式会社

GSK、RSウイルス感染症の疾患啓発を目的とする新TVCM「気にしてください、RSウイルス感染症」篇が1月24日より全国で放映開始

2024年1月24日

グラクソ・スミスクラインは、RSウイルス感染症について、より多くの方々に疾患の症状などを正しくご理解いただくことを目的として、歌手のさだまさしさんと平原綾香さんを起用した新TVCM 「気にしてください、RSウイルス感染症」篇を1月24日から全国で放映を開始した。

さだまさしさんが、天の声役の平原綾香さんの「さださん、RSウイルス感染症ってご存知ですか?」という問いかけをきっかけとした対話を通じて、さださんがRSウイルス感染症は大人も子供もかかる身近な疾患であることに気づいていくストーリー。

GSKは、2024年1月15日に国内初のRSウイルスによる感染症を予防する高齢の成人向けワクチンを発売。1月10日には「RSウイルス感染症と予防に関する日本人の意識調査」の結果も発表しており、「RSウイルスは大人にも感染する」と正しく認知しているのは30%未満だったとしている。

https://jp.gsk.com/ja-jp/news/press-releases/20240124-rsvirus/

■中外製薬株式会社

組織改正・人事のお知らせ

2024年2月1日

中外製薬は、2024年3月1日付、3月28日付、4月1日付で、組織改正および人事発令を行うことを発表。

【組織改正】

1. PHCソリューションユニットの新設

PHC(個別化医療)ソリューションの開発から実用化戦略の立案および推進を目的に、新設するユニットへ関連機能を集約する。社会が求める「ヘルスケアの提供価値への期待」が高度化・多様化する中、医薬品と患者さんの間を繋ぎ、個別に最適化された提供価値を最大化することで、ヘルスケアシステム全体における創出価値の最大化へ貢献する。
PHCソリューション:医薬品以外のソリューション(製品・サービス)として、プログラム医療機器、体外診断用医薬品、コンパニオン診断、デジタルバイオマーカーを主軸とする。

  • PHCソリューションユニットを新設し、その配下にPHCソリューション推進部、ファウンデーションメディシン事業推進部を配置
  • ファウンデーションメディシンユニットを廃止
  • 科学技術情報部、メディカルPHC推進部はその機能をPHCソリューション推進部へ移管した上で廃止
  • デジタル戦略推進部のデジタルバイオマーカー開発に関する機能をPHCソリューション推進部へ移管
  • 薬事部より、デジタル・医療機器の薬事戦略に関する機能をPHCソリューション推進部へ移管


2. ヘルスケアコンプライアンス機能の再編と組織名称変更

ヘルスケアコンプライアンス部が担う機能の一部を他部門へ移管し、コンプライアンス推進体制を強化する。
具体的には公正競争規約、透明性ガイドライン等の景品規制に関する管理機能をリスク・コンプライアンス部へ移管し、全社コンプライアンス機能と統合することで、実効性・効率性を向上させる。また、景品規制に関する一部の審査・照会機能を営業本部へ移管し、迅速な対応と自律的なコンプライアンス機能強化につなげる。
ヘルスケアコンプライアンス部は、組織名称を医薬情報保証部へ変更し、広告規制に関する販売情報提供活動監督部門として専門性を強化するとともに、情報提供に関するクオリティの保証、および医療情報を取り巻く環境の改善に貢献する。

  • ヘルスケアコンプライアンス部の名称を医薬情報保証部に変更
  • 公正競争規約、透明性ガイドライン等の景品規制に関する管理機能をリスク・コンプライアンス部へ移管
  • 景品規制に関する一部の審査・照会機能を営業本部へ移管


https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20240201170002_1362.html?year=2024&category=