製薬業界マーケティング/DX最新動向まとめ 2022年11・12月版
昨今、医療・製薬業界でも、業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)やデジタルマーケティングに注力する動きが多くなってきました。本記事では、2カ月に1回、各製薬企業のプレスリリースより、最新製薬マーケティングやDXの取り組みをピックアップ。マーケティング、プロモーション、DXについて、業界全体の最新トレンドや、他社がどのような動きをしているのかを把握できます。今回は、2022年11・12月を対象に最新動向をまとめました。
※調査対象の企業は2022年5月にミクスonlineに掲載された21年度販売会社ベース企業売上ランキング(出典:IQVIA)より抜粋した19社。50音順にリストアップ
【2022年11・12月サマリー】
- コーポレートサイトや患者さん向けサイトのリニューアルの動きは継続して見られる。アステラス製薬は、2022年11月にコーポレートサイトをリニューアル。注目コンテンツや最新のニュース、ステークホルダーに合わせたコンテンツにアクセスしやすいよう、デザインを大幅に変更。また、新たなコンテンツも追加している。アストラゼネカでは、「がんになっても」「肺がんとともに生きる」の2サイトでリニューアルを実施。患者さんが置かれている状況に合わせて、知りたい情報にアクセスしやすいようになった。オウンドメディアの訪問者数アップのためには、コンテンツの拡充だけでなく、ユーザー目線で使いやすいサイトであることが重視されている。
- 一般の方向けの情報提供にはアプリやYouTubeも活用。アストラゼネカは、母子手帳アプリ『母子モ』を通じて、早産児やRSウイルス感染症に関する情報提供を開始。MSDは、子宮頸がん予防啓発活動の一環として、特設サイト内に人気漫画家・ひうら さとる氏による漫画コンテンツを掲載し、人気声優を起用したコミックムービーも公開した。また、ファイザーは、医療用医薬品の創薬から販売までのプロセスを楽しく学べる子ども向け動画『ハカセのおくすりTV』を、公式YouTube上に公開。一般の方向けの情報提供は、アプリや動画、SNSといったさまざまなプラットフォームを活用するなど、各社工夫を凝らしている。
- データ基盤を構築し、組織横断的なデータの利活用が進む。小野薬品と日鉄ソリューションズは、共同で構築した統合データ利活用基盤の利用を開始。これまで部署が各々異なるシステムを用いて保有していたデータを一元管理し、利活用できるように体制を整備した。データ基盤の構築については、2022年4月に中外製薬でデータクラウドプラットフォーム “Snowflake” の利用を開始している*。データ利活用のための環境整備は、製薬企業において新たな価値創出、コスト削減などにつながると期待されている。
* https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20220421150000_1209.html
■アステラス製薬株式会社
コーポレートサイトリニューアルのお知らせ
2022年11月9日
アステラス製薬は、コーポレートサイトをリニューアル。デザインやページ構成の見直しとともに、新たなコンテンツも追加した。
TOPページは、注目コンテンツや最新のニュース、ステークホルダーに合わせたコンテンツにアクセスしやすいよう、デザインを大幅に変更。イノベーションセクション(https://www.astellas.com/jp/innovation)は、研究開発戦略、デジタルトランスフォーメーションに関するページを新設するとともに、注力している研究開発領域について紹介している。株主・投資家の皆さま(https://www.astellas.com/jp/investors)では、利便性の向上を図るとともに、経営計画2021と個人投資家の皆さま向けのコンテンツを更新した。
https://www.astellas.com/jp/news/26751
■アストラゼネカ株式会社
アストラゼネカ、母子手帳アプリ『母子モ』を通じた早産児やRSウイルス感染症に関する情報提供を開始
2022年11月28日
アストラゼネカは、母子モ株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役:宮本 大樹、以下「母子モ」)が運営する母子手帳アプリ『母子モ』を通じた、早産児やRSウイルス感染症に関する情報提供を開始した。
今回の取り組みでは、母子手帳アプリ『母子モ』を通じて、妊娠中もしくは該当する年齢の赤ちゃんを持つ保護者を対象に、アストラゼネカが作成した早産児やRSウイルス感染症に関する情報を提供。同アプリは母子健康手帳と併用することで、妊娠から子育てまで切れ目ない子育て支援サービスを受けられるのが特徴で、全国47都道府県510の自治体で採用されている(2022年11月時点)。
アストラゼネカでは、『母子モ』を通じて対象となる保護者へタイムリーに適切な情報提供を行うことで、早産児やRSウイルス感染症に関する啓発の輪を一層拡げていく。
https://www.astrazeneca.co.jp/content/az-jp/media/press-releases1/2022/2022112801.html
アストラゼネカのがん情報サイト「がんになっても」リニューアルのお知らせ
2022年12月5日
アストラゼネカは、がん患者さんとそのご家族をはじめとした一般の方々を対象に、がん治療に役立つ情報を発信するサイト「がんになっても」(https://www.az-oncology.jp/)のリニューアルを実施した。
今回のリニューアルで「がんになっても」は、必要な情報をより探しやすいサイトになった。また、疾患の情報、治療や副作用だけでなく、患者さんの納得のいくがん治療をサポートすべく、お金や仕事、日常生活のヒント、他の患者さんの体験談といった幅広い情報を掲載しており、SNSを通じてご家族をはじめ、周りの人たちにも共有できるようになった。
「がんになっても」使いやすさのポイント
すでに何を知りたいのかが分かっている方だけでなく、何から調べて良いかわからない方でも、必要な情報にきちんとたどり着けるよう、2つの検索方法でより簡単に見つけられるようになった。
■状況から探す
治療段階に合わせて、知っておいた方がいい情報がわかる。
■知りたいことから探す
9つのカテゴリーから気になるものを選び、知りたい情報へスムーズにアクセス。
https://www.astrazeneca.co.jp/content/az-jp/media/press-releases1/2022/2022120501.html
アストラゼネカの肺がん情報サイト「肺がんとともに生きる」リニューアルのお知らせ
2022年12月26日
アストラゼネカは、肺がん治療に役立つ情報を提供するウェブサイト「肺がんとともに生きる」(https://www.haigan-tomoni.jp/)を患者さん視点で情報がより見やすく、知りたい情報を検索しやすいようリニューアルを実施した。
リニューアル後は、患者さんが基本情報(「肺がんとは」「検査・診断」「治療の方法」「緩和ケア」)や、いま置かれている状況(「肺がんと診断された方」「肺がんの疑いがある方」「治療中の方」「ご家族の方」)、知っておくと役に立つ情報(「肺と体」「心」「仕事」「食」「情報収集」「仲間との出会い」)、みんなの体験談などの選択肢から、適切な情報を探しやすい構成となった。
「肺がんとともに生きる」使いやすさのポイント
すでに何を知りたいのかが分かっている方だけでなく、何から調べて良いかわからない方でも、必要な情報にきちんとたどり着けるよう、2つの検索方法でより簡単に見つけられるようになった。
■自分のほしい情報がどこにあるのか一目でわかる設計
■患者さんの置かれている状況から情報を探すことができる
■心や生活の面を含め、患者さんとそのご家族に寄り添った情報を提供
https://www.astrazeneca.co.jp/content/az-jp/media/press-releases1/2022/2022122601.html
■MSD株式会社
MSD、人気漫画家・ひうら さとる氏の啓発漫画「ストーリーで知る『子宮頸がん』」を公開 ~人気声優 梶 裕貴さん、花澤 香菜さんによるコミックムービーも掲載~
2022年12月8日
MSDは、子宮頸がん予防啓発活動の一環として、子宮頸がんの予防に関する情報を集めたキャンペーンサイト内に特設ページを開設した。サイトでは、子宮頸がんの患者さんやそのご家族に日々向き合われている医師への取材にもとづいた漫画とコミックムービーも公開。
脚本家・演出家・小説家である藤井 清美氏と「ホタルノヒカリ」で知られる人気漫画家・ひうら さとる氏が描いた本作品は、子宮頸がん患者さんに向き合う一人の医師を主人公とした「医師の真実」、子宮摘出を乗り越え前向きに人生を歩みはじめる患者さんを描いた「もう一度新しい一歩」、大切な人を子宮頸がんで失った家族の物語「家族のそれから」の3つのエピソードから構成されている。また、「医師の真実」のエピソードは、人気声優を起用したコミックムービーも制作し、医師役として梶 裕貴さん、患者役として花澤 香菜さんが出演している。
https://www.msd.co.jp/news/product-news-20221208/
■小野薬品工業株式会社
小野薬品と日鉄ソリューションズ、共同で統合データ利活用基盤「OASIS」を構築
2022年11月11日
小野薬品と日鉄ソリューションズ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:森田 宏之)は、共同でデータドリブンな統合データ利活用基盤「OASIS(Ono Advanced Scientific Insight Service)」を構築し、小野薬品が社内で保有するデータを一元管理して、全社的に利活用できるOASISの利用を開始した。
OASISは、小野薬品の各部門が保有しているデータ、リアルワールドデータ(RWD)等を全社横断的に一つのプラットフォーム上で分析できる統合データ利活用基盤。これまで各本部(研究、開発、営業、生産・CMC、信頼保証等)が各々異なるシステムを用いて膨大で複雑なデータを保有していたが、OASIS構築により各部門で保有する膨大なデータを全社横断的に一元管理し、利活用できるように体制を整備できた。今後、臨床現場で得られるRWDをはじめ、社内の各部門で蓄積された非臨床試験(実験・研究)データ、臨床試験データ、安全性情報等を一元管理し、全社で利活用することで迅速かつ効率的に革新的な新薬を創出できるよう取り組んでいく。また、このOASISの構築により、データガバナンスとセキュリティの強化を図るとともに、リスクの低減およびコスト削減を期待している。
https://www.ono-pharma.com/ja/news/20221111.html
■ファイザー株式会社
ファイザー、子ども向け動画『ハカセのおくすりTV』を公開 ~有志社員が薬とサイエンスの意義を社会へ発信~
2022年12月19日
ファイザーは、医療用医薬品の創薬から販売までのプロセスを楽しく学べる子ども向け動画『ハカセのおくすりTV』を、公式YouTube上に公開した。
本動画は、さまざまな疾患の治療や予防に使用される医薬品の重要性とともに、それらを研究開発し、製造から販売までを担っている製薬企業の役割や意義について、子どもたちに知ってもらうことが目的。
制作過程では、開発、製造、マーケティング、営業部門などの有志社員がそれぞれの専門知識、経験と職務上の想いを込めて、部門を超えてアイデアを出し合った。コンテンツは、クイズ形式で楽しみながら学ぶことができる。研究開発のパートでは、治験を通じて安全性と効果を確認することの重要性、製造のパートでは、高い品質を維持するため数多くの試験を行っていること、販売のパートでは、安全性情報の収集や適正使用についての情報提供の大切さ、薬が患者さんのお手元に届くまでのプロセスについて理解を深める内容となっている。
https://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2022/2022-12-19.html