2022年5月11日、メディカル・データ・ビジョン(株)(以下、MDV)と(株)ディー・エヌ・エー(以下、DeNA)は、民間で国内最大規模 となる1,500万人超の医療ビッグデータの構築を基本とした業務提携契約の共同記者説明会を開催。日本のナショナルデータベースと統計的に分布の差が少ない保険者データを構築し、企業向け、生活者向けサービスの開発を目指すことを発表しました。
他社とのパートナーシップで、社会課題解決を目指すDeNAのヘルスケア事業
共同記者会見では、DeSCヘルスケア(株)代表取締役社長 瀬川翔氏から、DeNAグループのヘルスケア事業についてのプレゼンテーションがありました。
DeNAグループでは、創業当時から主要事業である、ゲームやライブストリーミングなどのエンターテインメント領域の課題解決メソッドを応用し、スポーツやヘルスケアなど社会課題領域を事業拡大する戦略を掲げています。その中でヘルスケア事業は、既に2014年に遺伝子検査サービスを開始し、2021年には認知症医療、高齢者を軸とするヘルスケア領域での事業会社がグループインするなど、事業拡大に取り組んできました。
DeSCヘルスケアが開発したヘルスケアエンターテインメントアプリ「kencom」は、健保・自治体等の合計約100団体に採用され、 480万人に利用されています。またDeNAでは、独自のレセプト分析技術と重症化予防に強みがあり、600を超える自治体に医療関連情報サービスを提供する(株)データホライゾンと2020年に資本業務提携しました。この資本業務提携を中心に、DeNAグループが保有する医療ビッグデータ、利活用可能な保険者データベースは2022年4月末に808万人を超えました。
しかし、このデータベースを実際にマーケティングなどで活用しようとすると、日本のナショナルデータベースとの間での差異が散見されることに気づいた、と瀬川氏。今回の業務提携を通じて、日本のナショナルデータベースと統計的に分布の差が少ない医療ビッグデータの構築を目指しています。
2022年夏 分析用Webツールに1,500万人の保険者データ搭載
共同でサービス開発を行う製薬企業、大歓迎とのラブコールも・・・
瀬川氏のプレゼンテーションの後、MDV 取締役の中村正樹氏から、MDVとDeNAの業務提携契約の狙いや今後の展望についてのプレゼンテーションがありました。
MDVは、病院や検診・健診センターに対して経営支援のシステムを提供し、そこで二次利用の許諾を得たデータを収集して医療・健康情報のビッグデータの構築を進めるデータネットワークサービスと、収集した医療・健康情報の分析サービスを製薬企業やアカデミアに提供するデータ利活用サービスを展開しています。データ利活用サービスでは、3,960万人、464施設の日本最大規模の診療データと、771万人、146健保の健保組合データを整備しています。
今回のDeNAグループとの業務提携を通じて、これらのデータに新たな健保組合のデータとともに、これまでなかった国民健康保険に加入する自営業者などのデータがそろい、さらに75歳以上が加入する後期高齢者のデータが加わることで、これまで以上に高齢者データの厚みが増す予定です。
そのほか、業務提携後の展望として、2022年夏までに、MDVで既に提供している分析用Webツール「MDV analyzer」に、1,500万人の保険者データを搭載する計画で両社が動いていることを説明。MDVが従来展開しているサービスの個別分析やアドホック分析、論文作成の研究用データセットなどについても、同じタイミングで提供する予定であることが発表されました。
医療ビッグデータを活用した生活者向けサービスも拡大
中村氏からは、今回の2社の業務提携では、国内最大規模の医療ビッグデータを用いて、両社でさまざまな相乗効果を模索していくことも語られました。生活者メリットの創出、健康寿命の延伸を目指した事業の拡大、医療費の適正化を目指したサービスの拡大、さらにビッグデータから創出されるエビデンスを活用して医療の質の向上に貢献することが、両社で達成したいゴールです。
今後、両社がゴールとする生活者向けのサービスについては、ビッグデータから創出されるエビデンスを中心に、両社が既に取り組んでいるサービスの優位性を高めるコンテンツを開発し、各々の特徴の融合を模索して進めていくとのことです。
<プレスリリース>
※最終閲覧2022.5.23
メディカル・データ・ビジョン株式会社, DeNAと国内最大規模1500万人超の保険者DB構築へ 共同記者説明会 明日11日(水)11時半に開催, 2022.5.10,
https://www.mdv.co.jp/press/2022/detail_1755.html