アメリカ合衆国退役軍人省とIBM 「IBM Watson Health」による官民パートナーシップは、がん治療を目的に、Watsonの持つ技術をゲノムデータに適用するものです。
IBMのWatson for Genomicsを使うことで、患者は適切な治療や治験薬などを見つけることができます。
10,000名の患者治療を目指して
パートナーシップ契約によって、両者は今までに2,700名を超える退役軍人のがん治療を支援してきました。
しかし、2016年の合意当初は10,000名の患者を治療するという目標を掲げていました。
デューク大学の医学教授で退役軍人省(以下VA)の国家プログラムディレクターであるMichael Kelley博士は、当初の設定目標はやや高すぎた感があったと認めています。
患者に対応していける見込みがたったことから、目標の達成はより現実的なものになってきたとも語っています。
遺伝子解析を活用した治療がデフォルトに
1人の医者や単独のケアチームでは、治療方法や特定のがんに関する情報(遺伝子など)のすべてを記憶する時間もなければ記憶力も限られています。
「IBMのWatson for Genomicsであれば、データを参照して患者に適切な治療や治験薬などを提供できる」とKelly博士は説明します。
現在、VAのがん医師はステージ4のがん患者を診療していますが、腫瘍や血液サンプルを送付して、およそ100種類の遺伝子群をテストしています。
現在VAのメディカルセンターの半数以上で遺伝子解析を活用した治療を行っています。
今年の後半には、遺伝子解析をベースとした治療を治療のデフォルト(標準)にしていきます。
IBM Watsonがもたらす、がん治療の向上
がん治療は、まだ芸術の領域ですが、IBM Watsonのすばらしい点は、がん治療を予測可能な科学に変え始めていることです。
医師の仕事を奪うということでなく、医師の仕事を効率的にして、診療の質を高めることに役立ちます。
また、プロセスが標準化されており、治療に役立つ情報を得ることができる点もすばらしい点です。
「IBM Watson Health」のチーフヘルスオフィサーであるKyu Rhee博士は、「VAの病院で、我々はがん治療に大きく貢献しています。
医師が幅広く医学文献を読み込み、さらに最新の遺伝子情報を理解し、患者個別にがん治療をすることは非常に難しいのが現実だからです」と話します。
また、「今回、退役軍人省と継続してパートナーシップ契約を行うことで、AIががん治療に大きく役立つことを示せるようになります」とも語っています。
ニュース元:HealthcareITNews
https://www.healthcareitnews.com/news/va-ibm-watson-health-extend-precision-cancer-partnership-help-veterans