昨今、医療・製薬業界でも、業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)やデジタルマーケティングに注力する動きが多くなってきました。本記事では、2か月に1回、各製薬企業のプレスリリースより、最新製薬マーケティングやDXの取り組みをピックアップ。マーケティング、プロモーション、DXについて、業界全体の最新トレンドや、他社がどのような動きをしているのかを把握できます。今回は、2022年月7・8月を対象に最新動向をまとめました。
※調査対象の企業は2022年5月にミクスonlineに掲載された21年度販売会社ベース企業売上ランキング(出典:IQVIA)より抜粋した19社。50音順にリストアップ
製薬業界DX/マーケティング最新動向
- オウンドメディアのコンテンツ拡充による情報発信の動きは継続している。 協和キリンは、FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症に関する情報を提供する自社Webサイト「くるこつ広場」に、「患者さんの体験談」「くるこつ電話相談室」の2つのメインコンテンツを追加。疾患の認知度が高くないため、体験談で疾患に気付き、電話相談で習熟した医師と出会うきっかけとなることを期待している。
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デジタル技術の活用について外部企業への投資、連携の流れが進む。
小野薬品工業は、医薬品事業以外のヘルスケア分野のベンチャー企業等へ投資を行うコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)として、「小野デジタルヘルス投資合同会社」を設立した。第一三共は、エルピクセル株式会社との間における画像AI解析に関する共同研究成果ならびに今後の展開について発表。今後、画像AI解析の活用に関わるDXニーズや潜在性を見出すことを目指す。
デジタル技術の活用は、製薬企業におけるさまざまな業務プロセスの改善を目的として、さらに加速していく とみられる。
■小野薬品工業株式会社
小野デジタルヘルス投資合同会社の業務開始に関するお知らせ
2022年7月19日
小野薬品工業は、医薬品事業以外のヘルスケア分野のベンチャー企業等へ投資を行うコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)として、「小野デジタルヘルス投資合同会社」(以下、小野デジタルヘルス投資)を設立し、投資事業を開始した。
ヘルスケア分野への関心が高まるなか、デジタル技術を活用して、疾病予防やQOL(生活の質)の向上など、健康に関する社会課題の解決に取り組むベンチャー企業が増加。同社は子会社の小野デジタルヘルス投資を通じて、今後ヘルスケア分野において、デジタル技術を活用するベンチャー企業等との共創を進め、新たな価値を提供していく。
https://www.ono.co.jp/news/20220719_2.html
■協和キリン株式会社
患者向け疾患啓発サイト 「くるこつ広場」に新たなコンテンツを公開
2022年7月13日
協和キリンは、希少疾患であるFGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症に関する情報を提供する自社Webサイト「
くるこつ広場
」に2つのメインコンテンツを追加。
追加コンテンツは「患者さんの体験談」「くるこつ電話相談室」の大きく2つ。「患者さんの体験談」は、患者さんやご家族の方々のご協力のもと、病気に気づいた経緯、適切な診断・治療に辿り着くまでの道のりなど、「病気とのあゆみ(ペイシェントジャーニー)」をインタビュー形式の体験談として掲載。「くるこつ電話相談室」は、FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症に関する悩みや気になる点を相談できる電話相談室を開設。電話相談を専門とする医療資格保有者(看護師、保健師)に無料で相談できる。
■第一三共株式会社
エルピクセル株式会社との創薬支援画像解析AIを用いた共同研究の成果と今後の展開を発表
2022年7月20日
第一三共は、エルピクセル株式会社(本社:東京都千代田区 以下、エルピクセル)との間における、画像AI解析に関する共同研究成果ならびに今後の展開について発表した。
第一三共は、エルピクセルとの間で、抗体薬物複合体(ADC)標的分子及び免疫細胞などを対象とした蛍光多重免疫染色画像解析の自動化に関する業務委託契約を2021年に締結。
本契約を通じて同社の創薬支援画像解析AI「IMACEL」の活用により、従来、専門家が解析ソフトを用いて行っていた組織や細胞の分類の設定及び確認作業など最大十数時間の作業が1~2時間で実施可能となったと成果を発表。解析に要する時間の大幅な短縮や、専門家のスキル、経験に依存しない安定した解析結果が期待される。
同社は開発、製造を含む画像AI解析技術の活用が期待される全てのバリューチェーンを対象として、エルピクセルからの画像AI解析に関する包括的な技術支援を受けるため、エルピクセルとの間で全社レベルでの包括提携に関する基本契約を締結した。
https://www.daiichisankyo.co.jp/files/news/pressrelease/pdf/202207/20220720_J2.pdf