製薬業界マーケティング/DX最新動向まとめ【2022年1・2月版】

製薬業界マーケティング/DX最新動向まとめ【2022年1・2月版】

昨今、医療・製薬業界でも、業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)やデジタルマーケティングに注力する動きが多くなってきました。本記事では、2か月に1回、各製薬企業のプレスリリースより、最新製薬マーケティングやDXの取り組みをピックアップ。マーケティング、プロモーション、DXについて、業界全体の最新トレンドや、他社がどのような動きをしているのかを把握できます。今回は、2022年1月・2月を対象に最新動向をまとめました。

※調査対象の企業は2021年5月にミクスonlineに掲載された20年度販売会社ベース企業売上ランキング(出典:IQVIA)より抜粋した19社。50音順にリストアップ

【2022年1月・2月サマリー】
製薬業界DX/マーケティング最新動向
  • 患者さんや一般向けに情報発信するため新規メディアを制作・展開する流れが加速している 。アストラゼネカは、一般社団法人日本循環器協会とともに心不全啓発ウェブサイト「Spotlight On Heart Failure」を、ヤンセンファーマは、前立腺がんの定期的な検診、早期診断の重要性の啓発を目的としたウェブサイト「HALF TiME PROJECT」を開設。ファイザーは、新しい治療法のためこれまで情報が限られていた遺伝子治療に関する情報提供サイト「なるほど!遺伝子治療」を開設し、広範な情報提供をしていく。
    そのほか、協和キリンは、公式Twitterアカウントを開設し、最新情報や取り組みについて発信。 将来的にはSNSをコミュニケーションツールとしてさらに活用する ことも検討しているという。

  • 情報提供のデジタル化に伴い、 営業拠点の見直しやオフィスのアップデートに取り組む企業が増えている 。アステラス製薬は、専門性の高い情報提供・収集活動のために疾患領域・製品を軸としたMR担当体制への変更、デジタルコミュニケーション部の新設、全国119カ所の営業所を廃止と各都道府県に1カ所のコミュニケーションオフィスの設置などを行う。また、日本ベーリンガーインゲルハイムでは、全国の事業所を最適化するとともに、自宅・外勤先・事業所を補完するワークプレイスの設置を予定。 オフィスの機能充実化とデジタル機能の両面において強化を図り、最適なチャネルで情報提供・収集活動を効率よく行う ことを目指している。

  • バーチャルリアリティー(VR)などの技術を用いた仮想空間の活用が広まっている。 大塚製薬とジョリーグッドは、メンタルヘルスの地域連携プラットフォームの構築を目的として、VRを活用したソーシャルスキルトレーニング(SST)事業に取り組み、精神疾患のヘルスケア領域における国内最大規模のVR事業を目指す。アステラス製薬は、メタバースを用いた仮想空間上での研究会・講演会のパイロットを開始。参加者同士の偶発的な情報交換など、コミュニケーションの高質化を図る。

■アステラス製薬株式会社

日本の営業組織を変更

2022年1月4日

アステラス製薬は、事業環境変化の中でも医薬品の価値を確実に患者さんへ提供し続けていくために、以下の通り2022年4月1日付で日本の営業組織を変更する。
医薬情報担当者(MR)のみならず、その活動を支える社員が、それぞれの専門性を強化し連携することでアステラス製薬の医薬品を待っている全ての患者さんに価値を届けていく。

  1. 疾患領域毎の組織を新設し、専門性の高い情報提供・収集活動を実施
    • 疾患領域・製品を軸としたMR担当体制への変更
    • 営業部の新設

  2. 営業組織の本社機能を全て見直し、専門性の高い情報提供・収集活動を支えるための組織ケイパビリティを構築
    • コマーシャルエクセレンス部の新設
    • デジタルコミュニケーション部の新設

  3. 新たな働き方を推進
    • コミュニケーションオフィスの設置

https://www.astellas.com/jp/news/24866

メタバースを活用した先進的な情報提供手法の構築

2022年1月21日

アステラス製薬は、経営計画2021実現のための重要な取り組みである、デジタルトランスフォーメーション(DX)の全体像について紹介するメディア向け説明会を開催。
医療関係者との全く新しい双方向コミュニケーションを目指し、メタバースを用いた仮想空間上での研究会・講演会について2022年1月よりPhase1のパイロットを開始すると発表した。参加者同士の偶発的な情報交換など、コミュニケーションの高質化を目指す。Phase2では、バーチャルとリアルを融合し、会場参加者とオンライン参加者の自由なコミュニケーションの実現を構想している。

https://www.astellas.com/jp/news/news-library

■アストラゼネカ株式会社

日本循環器協会とアストラゼネカ、心不全に関する疾患啓発ウェブサイト「Spotlight On Heart Failure」を新規開設

2022年2月18日

アストラゼネカと一般社団法人 日本循環器協会は、日本の患者さんとご家族向けの心不全啓発ウェブサイト、「Spotlight On Heart Failure」を開設した。
このウェブサイトは、日本循環器協会が公募する初の「一般向け心不全啓発ホームページ事業」に採択され、心不全の症状、原因、診断方法について理解を深め、患者さんひとりひとりの未来を願って、開設するもの。心不全に関する啓発を目的に、アストラゼネカが世界心臓連合と協力して開発された。
この取り組みは、心不全発症のリスクを抱える人や、既に心不全と診断を受けた方、そのご家族の体験にスポットライトを当て、心不全の理解促進を図るとともに、この深刻な疾患の影響を受けている多くの方々への周知を目的としている。この目的のもと、日本では、日本循環器協会と連携し、世界心臓連合と共同開発したものとは異なる情報発信を目指す。

https://www.astrazeneca.co.jp/content/az-jp/media/press-releases1/2022/2022021801.html

■大塚製薬株式会社

精神科領域におけるVRを用いたソーシャルスキルトレーニングのプラットフォーム構築についてジョリーグッド社と共同開発・販売契約を締結

2022年1月27日

大塚製薬と株式会社ジョリーグッドは、メンタルヘルスの地域連携プラットフォームの構築を目的として、バーチャルリアリティー(VR)を活用したソーシャルスキルトレーニング(SST)事業について、国内における独占的共同開発および販売に関する契約を締結した。
精神疾患においては、薬物療法をベースにSSTが精神療法として併用されることで再発率を下げることが報告されており *1 、没入感があるVRを用いたSSTは、より患者さんが集中し、効果が高まることが期待されている。
本事業において、ジョリーグッドは視聴に必要なVRゴーグルやタブレット端末を準備し、大塚製薬と共同でさまざまな場面でのSST VRコンテンツを制作する。大塚製薬がVRを活用したメンタルヘルス領域で業務提携をするのはジョリーグッドが国内初で、両社で精神疾患のヘルスケア領域における国内最大規模のVR事業を目指す。

*1:Hogarty GE et al.: Arch Gen Psychiatry 43: 633-642, 1986

https://www.otsuka.co.jp/company/newsreleases/2022/20220127_1.html

■協和キリン株式会社

公式Twitterアカウントを開設

2022年1月5日

協和キリンは、2022年1月4日に公式Twitterアカウントを開設した。今回開設した公式Twitterアカウントでは、協和キリンの最新情報や取り組みについて発信。また、将来的にはSNSをコミュニケーションツールとしてさらに活用することも検討している。

    <投稿内容>

  • プレスリリース実施のおしらせ
  • IR資料公開のおしらせ
  • 企業情報の紹介(環境関連活動、人事施策、製品の研究開発状況、疾患啓発に関する取り組みなど)

https://www.kyowakirin.co.jp/pressroom/news_releases/2022/20220105_01.html

■日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社

より柔軟で効率的な働き方を後押しするため顧客対応部門のワークプレイスを最適化

2022年2月1日

日本ベーリンガーインゲルハイムは、社員のワークプレイス・トランスフォーメーション戦略の一環として、より柔軟で効率的な顧客との関わりを可能にするため、顧客対応部門のワークプレイスとして設置している全国の営業拠点のアップデートを行う。
今回のアップデートでは、全国の顧客対応部門の拠点である事業所を最適化するとともに、自宅・外勤先・事業所を補完するワークプレイスの設置を予定。オフィスの機能充実化とデジタル機能の両面において強化を図り、最適なチャネルで情報提供・収集活動を効率よく行うことを目指す。このアップデートは、2022年7月より順次実施する。さらに、地域医療におけるプライマリーケアの重要性を鑑み、各地域の枠組みに合わせた営業組織の改編により営業力の強化を図る。

https://www.boehringer-ingelheim.jp/press-release/20220201_01

■ファイザー株式会社

遺伝子治療に関する情報提供サイトを開設
~患者さん、ご家族、一般の皆さまのお役に立つ最新情報を提供~

2022年2月28日

ファイザーは、遺伝子治療 *1 に関する、患者さん、ご家族、一般の皆さま向けの情報提供サイト「なるほど!遺伝子治療」を開設した。
遺伝子治療はこれまでにない新たな治療法であるため、患者さんやご家族、および一般の方が得られる情報は限定的だった。本サイトでは、遺伝子治療、遺伝子診断、遺伝子治療が検討されている疾患、遺伝子治療の例、医療費、Q&A、用語解説など、豊富なコンテンツを用意。広範な情報提供を通じ、遺伝子治療を必要とする患者さんやご家族、そして治療に携わる医療従事者に貢献していく。

*1:疾病の治療を目的として遺伝子又は遺伝子を導入した細胞を人の体内に投与する治療法

https://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2022/2022_02_28.html

■ヤンセンファーマ株式会社

前立腺がんの啓発を目的としたウェブサイト 「HALF TiME PROJECT」を公開

2022年1月12日

ヤンセンファーマは、前立腺がんの定期的な検診、早期診断の重要性の啓発を目的としたウェブサイト「HALF TiME PROJECT」を開設。
前立腺がんの発症が増える50代は「人生100年時代」の中間地点であり、これから始まる後半戦へのスタート地点でもある。「素敵な後半戦を迎えるために一緒に頑張ってきた自分の身体にも目を向けてあげよう」という想いから「HALF TiME PROJECT」と名付けた。「HALF TiME PROJECT」では、前立腺がんの発症が増える50歳代以降の男性とそのご家族や周囲の方、また、広く一般の方を主な対象とし、「立ち止まって自分のカラダにも目を向けよう」をキーメッセージに、前立腺がんの正しい理解を促し、定期的な検診に基づく早期診断や早期治療の重要性も併せて啓発していく。

https://www.janssen.com/japan/press-release/20220112