製薬業界マーケティング/DX最新動向まとめ【2021年11・12月版】

製薬業界マーケティング/DX最新動向まとめ【2021年11・12月版】

昨今、医療・製薬業界でも、業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)やデジタルマーケティングに注力する動きが多くなってきました。本記事では、2か月に1回、各製薬企業のプレスリリースより、最新製薬マーケティングやDXの取り組みをピックアップ。マーケティング、プロモーション、DXについて、業界全体の最新トレンドや、他社がどのような動きをしているのかを把握できます。今回は、2021年11月・12月を対象に最新動向をまとめました。

※調査対象の企業は2021年5月にミクスonlineに掲載された20年度販売会社ベース企業売上ランキング(出典:IQVIA)より抜粋した19社。50音順にリストアップ

【2021年11月・12月サマリー】
製薬業界DX/マーケティング最新動向
  • 患者向けの情報発信や新規コンテンツを制作・展開する企業が多数 。エーザイはシニア世代が活用する「らくらくスマートフォン」を対象に、認知症との共生と予防に取り組むエコシステムを構築するなど、ソリューション開発に力を入れている。
    一方で中外製薬は、子ども向けのサイトを新規開設。疾患・治療についてだけでなく、子どもたちの思いやりの気持ちを育むための道徳的コンテンツや、SDGsへの理解を深める学びのコンテンツなどを展開する。
    日本イーライリリー、ノバルティスファーマは、既存のWEBサイトに新たなコンテンツを追加。日本イーライリリーは片頭痛の理解を深めるコンテンツ『ヘンズツウかるた』を、ノバルティスファーマはがん患者やその家族の日常を支えるコンテンツを集めたウェブマガジン「がん&」を公開した。

  • ファイザーは、アクセラレータープログラムを実施し、患者さんの課題を解決するため、他業界のスタートアップ企業とのコラボレーションを検討。昨年にはMedinewでもバイエル薬品×piponの他業界とのコラボレーションを取り上げたが、 社会の課題を解決するDXソリューションを生み出すための製薬企業と異業種コラボレーションは今後も注目されそう だ。

■エーザイ株式会社

脳の健康度チェックツール「のうKNOW®」搭載のスマートフォンをはじめとするソリューション開発

2021年11月30日

エーザイとFCNT株式会社(本社:神奈川県、代表取締役社長:髙田克美、以下 FCNT)は、脳の健康に資するソリューション開発を通じた認知症との共生と予防に向けた業務提携契約を締結した。両社は、エーザイの認知症領域における創薬活動や疾患啓発活動の豊富な経験知ならびにデジタルソリューション施策と、FCNTのシニア世代にとっての使いやすさを追求したスマートフォンおよびそのユーザーを中心としたSNS「らくらくコミュニティ」をはじめとしたサービスを融合して、認知症との共生と予防に取り組むエコシステムを構築。高齢化社会における認知症という社会課題の解決への貢献を目指す。
本提携による取り組みは以下を予定。

  1. 「らくらくスマートフォン」への「のうKNOW® ※」の搭載
  2. 健康・疾病予防のためのソリューション開発

※Cogstate Ltd.(本社:オーストラリア)が創出したアルゴリズムに基づきエーザイが開発したブレインパフォーマンス(脳の健康度)のセルフチェックツール。エーザイが全世界における開発権および独占的商業化権を有する非医療機器。

https://www.eisai.co.jp/news/2021/news202195.html

■中外製薬株式会社

多様性を認め合う社会を目指して 中外製薬キッズサイト “からだ・こころ・みんなのこと くすりの会社の「そうぞうLABO」” 開設

2021年12月1日

中外製薬は、キッズサイト“からだ・こころ・みんなのこと くすりの会社の「そうぞうLABO」”を開設した。
具体的なコンテンツは以下の通り。

  • 病気のしくみ:「感染症」「がん」「免疫の病気」「遺伝の病気」について、病気のおこり方や治療法などを学ぶコンテンツ
  • もしも自分だったら:病気をもつ人の日常が描かれた漫画を通じて、さまざまな症状を理解し、病気をもつ人の気持ちを想像し、思いやる気持ちを育むコンテンツ
  • 病気って何だろう:病気について考えてもらうために教育関係者が子ども達へ贈るメッセージコンテンツ
  • くすりの街「ちゅうがい」:くすりについて学ぶコンテツ、中外製薬について知るコンテンツ
  • 学ぼうSDGs:中外製薬の取り組みを交え、SDGs全般を学ぶコンテンツ

https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20211201160000_1168.html

■日本イーライリリー株式会社

日本人の約10人に1人が抱える「片頭痛」社会での正しい理解促進を目指した啓発 WEB コンテンツ『ヘンズツウかるた』公開

2021年11月25日

日本イーライリリーは、日常生活に重大な影響を及ぼす疾患にも関わらず、「たかが頭痛」と軽視されがちな片頭痛の正しい理解促進に向け、片頭痛当事者、頭痛専門医と共同で患者さんの声を活かした啓発プロジェクトとしてWebコンテンツ 『ヘンズツウかるた』を制作し、特設ウェブサイト上に公開した。
片頭痛当事者とその周囲にいる人に向けた啓発コンテンツであると同時に、コロナ禍でさらに重要性が増す企業の「健康経営®」に向けた教育ツールとしても広く活用してもらい、職場や社会全体に片頭痛の正しい理解を促進することを目的としている。

https://news.lilly.co.jp/PDFFiles/2021/21-69_co.jp_.pdf

■ノバルティスファーマ株式会社

がん患者さんやご家族に向けて毎日の暮らしに役立つ情報を発信するウェブマガジン「がん&」を公開

2021年12月1日

ノバルティス ファーマは、がん経験者の社会復帰をサポートする自社の生活情報サイト「Cライフプラス」内に、新たにウェブマガジン「がん&」を立ち上げた。「がん&」では、がん患者やその家族が生活の中で経験する不安や困りごとをテーマに取り上げ、専門家を含む多職種の方とともに、解決に向けたヒントを考え発信する。
「がん&」で発信する4つのコンテンツは以下の通り。

  • 専門家と話すこころのラジオ:がん経験者の悩みに専門家が答えるラジオ動画
  • 専門家に聞くあの手!この手!:がん経験者の悩みを解決する専門家のヒント
  • 気になるあの人の本棚:がんと向き合った人たちから、心に残る本をご紹介
  • がん患者さんとご家族とともに歩む人たち:がん患者さんを支える多職種の方が登場

https://www.novartis.co.jp/news/media-releases/prkk20211201

■ファイザー株式会社

患者さんに貢献する社内アクセラレータープログラムを実施

2021年12月17日

ファイザーは、2021年8月よりスタートアップ企業との社内アクセラレータープログラムを開始。将来の協業を見据えた社内向けの報告会を11月に開催した。
本アクセラレータープログラムでは、6部門(インターナルメディスン/炎症・免疫/オンコロジー/希少疾病/病院/ワクチン)のマーケティング担当者が部門の垣根を越えて、今後取り組むべき患者への貢献について検討し、課題を抽出。それらを解決しうる可能性を秘めたスタートアップ企業と協業プランを作成し、最終報告会には次の4社のスタートアップ企業が登壇した。

https://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2021/2021_12_17.html