日本では一般的な「絵文字」ですが、その豊かな感情表現とわかりやすいスタイルが注目され、
今では“emoji”としてそのまま英語でも使用されています。
その“emoji”は、マーケティングにも有用だと認識され始めているようです。
2017年4月より始まったCIC(慢性特発性便秘)治療薬のマーケティングに、「Poop Troop」と名づけられた“emoji”が利用されています。
スマートフォンで利用可能な「Poop Troop」は、Google Play StoreやApp Storeで無料ダウンロードができ、
CICの患者が医師と「スムーズに」会話できるように設計されています。
“emoji”を使う理由
今までも医薬品のマーケティングにユニークなキャラクターを利用することで、わかりやすく、そしてユーモアを持って医薬品の内容を理解してもらうことにつなげる試みは行われてきました。
「Poop Troop」でも同様に、CICの患者が持つ驚きや怒り、心配や恥ずかしさといった感情を「Poop troop」が適切に、そしてポップに表現することで、社会への認知度を上げる目論見があります。
また、CICの患者は、症状を医師に伝える際に、適切に説明する表現がわからない場合があり、
また、スマートフォンユーザーの90%が何らかの形で擬人化された表現を利用しているという調査結果もあります。
スマートフォンで“emoji”として利用できる「Poop Troop」は、キャラクターを用いた製薬会社からの説明ではなく、
CICに関する相互的なコミュニケーションの促進を図るツールとして利用することが期待されています。
“emoji”マーケティングの効果
アメリカにおけるCIC治療薬は、武田薬品工業とSucampo Pharmaceuticals社が販売しているAmitiza(一般名ルビプロストン)と、Linzess(リナクロチド)が著名です。
そこに、2017年1月にSynergy Pharmaceuticals社が販売するTrulanceがFDAによる承認を得ました。
「Poop Troop」はTrulanceのマーケティングに利用され、初期の売上でLinzessの2倍以上を売り上げたというレポートがあります。
「Poop Troop」は、CIC治療薬自体のニーズの掘り起こし効果も生み出しています。
アナリストは、「AmitizaやLinzessなどの強力な先発医薬品の優位性は、Trulanceのような後発医薬品の追従から守るだけでなく、競合薬のプロモーションの恩恵を受けることもできるだろう」と分析しています。
新薬の承認と新たなマーケティングは、市場シェアを奪い合うというよりも、市場自体を拡大させる効果があるといえるでしょう。
ニュース元:MEDICAL MARKETING & MEDIA
http://www.mmm-online.com/campaigns/sgyp-agn-linzess-trulance-emoji/article/651026/