画像に動きをつけたGIFアニメーションは、一般ユーザーに親しまれているだけでなく、企業組織の広告・宣伝活動に多く用いられている表現手法です。それは製薬マーケティングにおいても例外ではなく、GIFを活用した訴求が製薬企業にとって有効なケースがあります。今回は、製薬マーケティングの視点で、GIFアニメーションの特徴や事例を紹介します。
GIFアニメーション(=GIF画像)とは?
「GIFアニメーション(以下、GIFアニメ)」は、複数の静止画を組み合わせて動いているように見せる表現方法で、「GIF画像」「GIF動画」とも呼ばれます。最近では、スマホユーザーの増加に伴い、モバイルによる情報収集と親和性の高いGIFアニメの活用が広がっています。
製薬企業としても、スマホ使用率の高い世代(20から50代)の医療従事者や患者さんに向けたマーケティングでは、GIFアニメの活用が有効かもしれません。GIFアニメの活用シーンとしては、オウンドメディアやSNS、メールマーケティング、バナー広告での使用などが考えられます。
GIFアニメーションの特徴
GIFアニメーションの特徴について、製薬マーケティングの視点から解説します。
容量が少なく、自動再生される
GIFアニメは、複数の画像データで構成されているため、動画ファイルと比べて容量が小さく、ユーザー側の通信環境にあまり影響を受けずに情報を届けられるのが特徴です。ユーザーにストレスなく視聴してもらいやすく、リピート再生も期待できるため、自社や商品情報を覚えてもらいやすいといえます。
設置するプラットフォームを問わない
容量の小さいGIFアニメは幅広いプラットフォームで利用可能です。自社のオウンドメディアだけでなく、TwitterやFacebookなどのSNS、HTML形式のメルマガまで、さまざまな媒体にマッチします。
GIFアニメは各プラットフォームに短時間でアップロードできるだけでなく、リンクの設定も可能です。目を引くGIFアニメはPR効果が高いため、作成したクリエイティブに自社サイトや製品紹介ページへのリンクを貼るプランも検討できます。
静止画像よりも訴求のポイントが伝わりやすい
GIFアニメの作成においては、「数秒以内で1作品がループする形式」が一般的です。その時間のなかで画像に動きをつけたり、テキストを複数表示したりすることで、静止画像よりも多くの情報を盛り込めます。そのため、より訴求したいポイントが伝わりやすいのが特徴です。
製薬企業でGIFアニメーションを活用するメリット
製薬企業のマーケティング活動において、GIFアニメーションを活用するメリットを3つ紹介します。
自社ブランディングにつながる
前述のとおり、GIFアニメを駆使すれば短尺でピンポイントな訴求を繰り返し行えます。そのため、より印象的なクリエイティブを作成できれば、自社ブランディングにつながります。
製薬マーケティングにおいても、数分の動画が活用されるケースもあります。しかし、動画マーケティングはユーザーに試聴してもらうまでの難易度が高く、動画の尺も比較的長いため、端的に商品の魅力やブランドを印象づけるにはGIFアニメの方が適しています。
エンゲージメントを高められる
エンゲージメントとは、ユーザーが企業や商品、ブランドなどに対して持つ「愛着」です。GIFアニメを製薬マーケティングに組み込めば、医療従事者や患者さんのエンゲージメントの向上も期待できます。
例えば、一般の患者さん向けにGIFアニメーションを作成する場合、「クイズ形式のクリエイティブを作成し、より興味をひく形での疾患啓発を行う」といった形でエンゲージメントを高める手法が考えられます。
GIFアニメが反響を呼び、SNS上などでユーザーのシェアやコメントが増えれば、より多くの潜在層にもリーチでき、自社のファンを増やせるかもしれません。
製薬企業でGIFアニメーションを活用する際の注意点
GIFアニメは一般的な画像形式に比べて扱える色数が限定的です。一般的な画像形式であるJPG(JPEG)が1,670万色扱うことができるのに対し、GIFアニメの場合は256色であるため、どうしても画質が落ちてしまいます。
さらに、アニメーション単体の時間が短い点もネックです。短い時間内で適切な訴求をするためには、訴求したいポイントを絞ったクリエイティブ制作が求められます。
GIFアニメの見せ方には工夫が必要ですので、次に紹介する他業界の事例も参考にしてください。
他業界におけるGIFアニメーションの実用的な活用例
以下に、製薬企業にとっても参考になる他業界におけるGIFアニメの効果的な活用事例を挙げます。
Googleトップページの公式ロゴ
Googleのトップページの公式ロゴは、日によってその日に関連したデザインが採用されています。これは「Doodle」と呼ばれており、デザインにGIFアニメが使用されているケースがあります。例えば、コロナ禍にある2020年においては、「医師、看護師、医療従事者のすべての皆様に感謝を込めて」と題したDoodleが使用されました。
このように、Googleはユーザーを楽しませるだけでなく、時には社会的オピニオンをポップに発信するためにGIFアニメを活用しています。
マクドナルドのSNSマーケティング
大手ファーストフードチェーンであるマクドナルドも、自社のマーケティング活動にGIFアニメを活用しています。
マクドナルドのTwitter公式アカウントではGIFアニメを活用した目を引くキャッチーな投稿を行い、インプレッションの獲得に成功しています。
ユニクロECサイトの商品紹介
日本におけるファストファッションの代表的存在であるユニクロも、自社のTwitter公式アカウントにおいて定番商品や新商品を一度にみせるため、GIFアニメを用いています。
自社商品の紹介が主な用途ですが、それに加えてGIFアニメの機能を利用したルーレットやクイズ形式のクリエイティブを用いて、キャンペーンを実施しているのも特徴です。
製薬マーケティングにおいて上記作例はポップ過ぎるかもしれませんが、GIFアニメの活用用途の参考にできます。
トヨタのプロモーション動画
日本最大手の自動車メーカーであるトヨタは、実写のGIFアニメだけでなく、アニメテイストなクリエイティブを作成し、マーケティングに活用しています。
例えば、以下のGIFアニメーションは「#GIF工場見学」のハッシュタグで投稿された、数秒以内でトヨタの工場で車がリサイクルされる様子を見学できるユニークな作品です。
GIFアニメの活用方法次第では、実写では表現が長くなってしまう情報も、コンパクトに伝えられます。
GIFアニメーションも活用して製薬マーケティング手段の幅を広げよう
デジタルを活用した製薬マーケティングを行なっていく上では、オウンドメディア運用や動画マーケティングに加え、GIFアニメを活用したマーケティングも選択肢として挙がります。
GIFアニメは「軽く、閲覧されやすい」「短時間でピンポイントな訴求が可能」といった特徴がありますので、他のマーケティング・プロモーション手法と効果的に使い分けましょう。