オウンドメディアの企画を考えたり、コンテンツの内容確認をしたり、他の業務が突然舞い込んできたり。複数のプロジェクトを抱えながらタスクをこなしていくと、スケジュールはどんどん複雑化していきます。製薬企業のマーケターにとって効率の良いタスク管理は知っておくべき仕事術の一つといえます。本記事ではタスク管理の実施手順や、タスクを効率よく管理するために活用したいツールについて紹介したいと思います。
タスク管理とは
タスク管理の基本は、「あらゆる仕事を作業レベルまで分解し、仕事の優先度を見える化させ適切に作業する」ことです。
タスク管理には大きく分けて2種類があります。
【個人でのタスク管理】
個人レベルの作業管理となるため、スケジュール管理と進捗管理が中心です。
【チームでのタスク管理】
プロジェクトに関わる全メンバーの管理となり、プロジェクトの計画、担当の割り当て、スケジュール管理、進捗管理が主になります。
本記事では、より複雑化しやすいチームでのタスク管理を中心に解説していきます。
タスク管理の手順
チームでのタスク管理をさらに細分化すると、以下の4つに分けることができます。
ここでは、オウンドメディアに掲載する医師へのインタビュー記事を制作する、というプロジェクトを例に解説したいと思います。
◆タスクの洗い出し
まずは、タスクの洗い出しです。タスク管理において、この作業はとても重要な作業になります。それは、タスク管理を行う上で混乱を引き起こす最大の要因は、「実行段階にきてから突然現れる計画外のタスク」だからです。この「実行段階にきて突然現れる計画外のタスク」がもともと計画していた納期を遅延させたり、予期せぬトラブルを招いたり、品質の低下や生産性の低下を引き起こす原因になります。
そのため、事前に想定される予期せぬ事態を洗い出すことも大事です。インタビュー対象の医師が学会などで不在にする時期がないか、記事に掲載できない言葉や内容はないかなど、タスクの洗い出しと併せて行っておくと、この後のスケジューリングでも役立てることができます。
◆タスクのスケジューリング(割り当て)
タスクのスケジューリングとは、タスクの順番と担当、そして、納期を決める作業になります。順番に作業を行う直列関係のタスクを減らして、同時並行に作業を行える並列関係のタスクを増やすことで、スケジューリング自体の自由度が高まり、リードタイムを短くすることができます。
また、担当の割り当てでは、そのタスクを処理するためにどのような人物や会社が適しているかを検討する作業です。割り当てるために、その人物や会社の処理能力の見極めも重要になります。また、タスクそのものだけでなく、場合によってはタスクを処理するために必要な事前共有の時間を調整する場合もあります。今回の場合は、対象の医師が他で掲載された取材記事や論文情報、今回の取材対象となった背景情報などを事前に共有することで、この後の進捗管理に大きく関連する「品質」を高めていくことができます。
◆タスクの進捗管理
タスクの進捗管理には、大きく分けて「品質の進捗管理」と「納期の進捗管理」の2つがあります。
この2つのうち、「品質の進捗管理」に重点を置くことで、「納期の進捗管理」も同時に管理できることが知られています
それは、納期の遅延は、途中で品質に問題が起こり、その問題によっていつまでたっても品質が確保できないことで作業が完了しないために起こることが多いからです。
また、「品質の進捗管理」では、最終結果だけに目を向けず、過程(プロセス)を管理することも大切です。過程(プロセス)を管理する上では、異常にいち早く気付き、最終的な完成度に向けた進捗度合いとのバランスをこまめに図ることが重要だとされています。
コンテンツの内容によっては掲載のタイミングによって閲覧者数が左右することがあります。そうならないためにも、品質と納期のどちらかではなく、両方のバランスを正しく見極めることも大切です。
◆タスクの改善
タスクの改善は、完了したタスクの経験に基づいて次のタスクを改善する作業です。これはプロジェクトの進行中に都度実施し、スケジューリングの調整や進捗管理にも役立てます。作業方法自体を変更したり、順番や割り当てを調整して、プロジェクト全体をより良い状態に持っていくことができます
手順によって活用するツールはさまざま
タスク管理そのものを一つのツールで管理できるに越したことはありませんが、手順によって手法を変えることがほとんどです。先ほど説明した各フェーズでは、以下のようなツールが活用できます。
◆タスクの洗い出し
【WBS】
WBSはWork(作業) Breakdown(分解) Structure(構成)の略で、作業を分解して構造化する方法です。プロジェクトに必要な作業を洗い出し、それぞれの作業にかかる工数を決めていきます。
WBSの特徴は、まずゴール(最終納品物)を設定し、それを完成させるために必要なタスク(作業)へと分解していくところにあります。この作業を達成させるために、その前にどのような作業をしておかなければいけないのか、という考え方で洗い出しを行っていきます。
◆タスクのスケジューリング
【ガントチャート】
ガントチャートは、横軸に時間、縦軸に作業内容や担当を配置し、工程やタスクごとに作業開始日、作業完了日の情報を帯状の矢印などで示した方法です。 スケジューリングをする上でのメリットとして、プロジェクト全体の作業工程や担当、タスクの進捗状況が日付単位で可視化される点です。ただ、逆に予期せぬ事態や追加の作業が発生した場合に、全体を調整する必要があるというデメリットも持っています。
【タスク管理ボード】
納期を基準で作られるガントチャートとは異なり、タスク管理ボードは業務量を基準として活用される方法で、担当別や日付別に作成されます。
作業自体を並列関係で行う場合や、業務量が担当ごとに偏った場合に、状況を一目で確認することができるため、協業をさせたり、分散をさせたりすることが簡単にできます。
また、このタスク管理ボードをベースとしてタスクの進捗管理や改善を行うこともできます。
◆タスクの進捗管理
【完成度進捗管理シート】
進捗管理のうち、品質の進捗管理をするために活用します。あらかじめ完成度に対する評価基準を決めておき、その基準に対しての完成度を記入してグラフ化していく形となります。当初予定していた作業時間に対する消化具合や遅延具合も併せて記入することで、作業の遅れ進みが一目で確認することができます。
【タスク管理ボード(保留・中断)】
スケジューリングで紹介したタスク管理ボードに「保留」と「中断」の項目を追加した進化バージョンとなります。作業の中でやむを得ない事情により「保留」や「中断」したタスクをそのまま放置せずに別の枠にあえて置くことで、作業状況が把握しやすくなります。
◆タスクの改善
【タスク管理ボード(異常発生・要改善)】
タスクを単純に完了とはせずに、途中で「問題が起きた」「遅延した」「工数に差分があった」というタスクを別枠で管理するさらに進化したバージョンとなります。
いかがでしたでしょうか。今回は医師のインタビュー記事制作を事例に解説しましたが、プロジェクトが大きくなり関わる人が増えるほどタスクも煩雑化していきます。納期を守り品質を担保したコンテンツ制作を行うためにも、正しい手順とそのプロジェクトにあった最適なツールを用いて、プロジェクトを成功に導きましょう。