Web講演会の滞在率を向上させる、データ収集の仕組みとメタバース活用法／MDMD2023Autumnレポート

Web講演会のポイントは、収集するデータの量と質

薬価改定やMR減少の影響を受けて、製薬業界における情報提供活動の効率化がますます重要視されています。そんな中、医師のニーズにも合致する情報提供手段として開催頻度が高まっているのが、Web講演会です。

しかし、Web講演会ならではの課題もあります。例えば、「講演会実施」の段階では、チャットや質疑応答で反応しない「サイレントマジョリティ」の潜在的な興味・関心の特定が大きな課題となります。背戸氏は、Webでの一方的な配信になってしまうと、視聴医師が本当に講演会を聞いているのか、どんなニーズ・悩みを持っているのかがわかりづらくなると話します。

また、「データ活用」の場面で課題となるのは、ネクストアクションの迅速化です。ログ集計に時間がかかり、即時のアフターフォローやマーケティング戦略への即時反映ができないというケースは少なくありません。

背戸氏は、これらの課題に対する解決策として「取れるデータの量を増やし、質を高めること」を挙げ、ブイキューブが提供するWeb講演会ソリューション「VCP（V-CUBE Communication Platform）」とメタバース講演会ソリューションにおける具体例を交えながら、ポイントをまとめました。

カスタマイズしたログデータを活用し、サイレントマジョリティの声を拾う

Web講演会において「取れるデータの量」を増やすためには、リアクションのハードルを下げるなど視聴医師からフィードバックが得られやすい仕様にしておく必要があります。

VCPでは、エモーションスタンプ機能が搭載され、視聴医師の関心度合いや理解度を測ることができるようになっています。

さらに、今後はエモーションスタンプに加えて、画像や文字などのコンテンツ情報の追加などのカスタマイズも可能とすることで、自社に合わせてアレンジすることで「取れるデータの質」を高めることを考えています。

「データの量と質」を確保した後は、それらを活用しなくては意味がありません。エモーションスタンプの押下やURLリンクへのアクセス、その他チャット数などをログとして残し、それらのデータを用いて講演会の盛り上がったタイミングも可視化することで、単なる視聴人数推移だけでは導き出せないような、コンテンツ改善のヒントが得られるようになるのです。

また、これらのデータを今後即時集計できるようにすることで、視聴医師と講演医師に両社に対しても、質の高いアフターフォローを行うことができると考えています。

メタバースを活用し、リアルと変わらないコミュニケーションを実現

「データの量と質」を高めていく中で、コンテンツ自体に課題が見えてくることがあります。特に、申し込みから参加、視聴、アンケート回答、商談に至るまでの各フェーズの遷移率がよくない場合には、メタバース活用が打開策の1つとなり得ます。

メタバース講演会は、その見栄えや先進性により一般的なWeb講演会と差別化ができるため、参加者数の増加が見込めます。また、さまざまなシーンに対応したプログラム実施による視聴者・アンケート回答の増加、交流機能でのタイムリーな接触による見込み客の育成も期待できます。

ブイキューブでは、講演会の目的や形式に合わせた3つのメタバース講演会ソリューションを提供しています。

よりリアルに近い感覚で参加者の交流を深める「3Dウォークスルー型」

1つ目は、3Dウォークスルー型の「Medical Verse」。アバターを通して、よりリアルに近い感覚で参加者同士の交流を深められるプラットフォームです。講演会や懇親会、展示会、ポスターセッションなど、多様な形式に対応しています。

複数プログラムの同時並行に最適な「2.5D クリック移動型」

2つ目は、2.5D クリック移動型の「EventIn」です。バーチャルオフィスに近しいプラットフォームで、分科会形式やディスカッション、情報交換会などの複数プログラムを同時並行で行うのに最適です。テーブルごとに一方向・双方向といったコミュニケーションスタイルを切り替えることができます。

配信形式の講演会に特化した3D 視聴型の「3DCG配信」

3つ目は、3D 視聴型の「3DCG配信」です。配信形式の講演会に特化したプラットフォームで、細かくカスタマイズ可能な3DCG背景合成が特徴です。特別感のある演出により、視聴者の集中力維持と、メッセージ浸透率向上が期待できます。

データ・メタバースの活用で、医師エンゲージメントの向上を

製薬業界においても活用が進むWeb講演会。機能が充実したプラットフォームの活用で、Webならではの課題を克服したより効果の高いWeb講演会を目指すことができます。背戸氏は「ログデータの量・質の改善と、コンテンツの革新を通して、医師エンゲージメントを高めるのに最適なWeb講演会の形を、常に模索し続けることが重要」と締めくくりました。