3/1-8は女性の健康週間 - 製薬企業の婦人科領域の疾患啓発サイトを調査

3/1-8は女性の健康週間 - 製薬企業の婦人科領域の疾患啓発サイトを調査

女性の身体だからこそ、悩まされる症状や疾患があります。3月1日から国際女性の日の3月8日までの「女性の健康週間」、3月9日「子宮体がんの日」、4月9日「子宮頸がんを予防する日」にちなみ、今回は製薬企業が運営する婦人科領域の疾患啓発サイトを調査しました。以前調査した乳がんを除く、月経前症候群や更年期障害、婦人科系がんなどを取り上げます。

婦人科領域の疾患啓発サイトを運営している製薬企業一覧

初潮を迎える10歳前後から閉経を迎える50歳代頃1)まで、多くの女性がホルモンバランスの変化に悩まされます。さらに、子宮頸がんは若年層に、子宮体がんは50~60歳代に好発2)するため、幅広い年代への婦人科系がんの情報提供が必要です。

本記事では、製薬企業オウンドメディア定期レポートで対象としている19社の中から、2021年9月に調査した乳がんを除く婦人科領域の疾患啓発サイトを調査しました。乳がん以外の婦人科領域の疾患啓発サイトを運営している製薬企業は、19社中10社、20サイトでした。治療薬だけでなく、ワクチンや医療機関・調剤薬局のみで販売するサプリを取り扱う企業でも、疾患啓発が行われています。

製薬企業婦人科領域疾患啓発サイト 調査対象一覧

サイトのテーマは、卵巣がん・子宮頸がん・子宮体がんといった婦人科系がん、更年期障害、月経前症候群、避妊、女性の健康支援などさまざまでした。女性向けのサイトということもあってか、全体的にかわいいテイストや優しい印象のサイトが多く見られました。どのサイトも、対象年齢層を意識したイラストや色、写真を使用しており、それぞれの個性が感じられます。

中外製薬ではがんで4サイト、MSDでは子宮頸がんで2サイトなど、一つのサイトにまとめるのではなく、複数サイトに分けて情報発信する企業も見られます。さらにバイエル薬品では、健康支援・生理・避妊・更年期と4つのテーマでそれぞれサイトを運営していました。テーマをどのように分け疾患啓発サイトを作るか、各製薬企業工夫しているようです。

コンテンツ作りでもどのように情報を届けるか工夫が見られました。LINEアカウントの活用や著名人を起用したコミックムービーの配信、SNSの活用がその例です。

記事内では、全20サイトのうち、印象的なコンテンツを導入しているサイトや一つの企業が運営する複数サイトなど4つを抜粋して紹介します。その他のサイトを含めた調査一覧については、ダウンロード資料を用意しています。ページ下部よりダウンロードください。

アストラゼネカ「卵巣がん.jp」

トップページに「卵巣がんとともに歩む」と大きく明記しているとおり、疾患知識だけでなく日常生活へのアドバイスや服薬の手助けなどのコンテンツをしっかりと盛り込んだサイトです。iOS・Androidの両方で、服薬アプリを提供。服薬タイミングの通知や服薬・気になる症状の記録が行えます。
他社にはない取り組みとして、LINEアカウント「わかる卵巣がん」の運用が挙げられます。本サイトへ誘導するツールとしてではなく、LINEアカウント内でコンテンツを独自に用意。一つのサイトと言えるほど、内容・ボリュームともに充実しています。よくある質問ではトーク内で項目を選択していくとチャットボットにより回答が表示されるなど、工夫が凝らされたLINE活用術です。

卵巣がん.jp
https://www.ransogan.jp/

サイトディスクリプション

「卵巣がんとともに歩む」は、よりたくさんの人に卵巣癌(卵巣がん)の情報をよりよく理解いただく事を目的として作られたサイトです。

キーワード

なし

コンテンツ一覧

  • 卵巣がんについて

疾患についてデータを用いて解説

  • 検査と診断

検査について簡潔に紹介。受診時に持参可能のチェックリストを用意

  • 卵巣がんの治療

治療の選択やチーム医療について紹介。服薬アプリを提供

  • 卵巣がん患者のライフスタイル

生活のアドバイスやQ&Aを用意。LINEアプリでの情報提供もあり


中外製薬「おしえて子宮・卵巣のコト」など4サイト

子宮と卵巣に関する疾患啓発サイトを4つ運営する中外製薬。「おしえて子宮・卵巣のコト」は、子宮・卵巣に関する情報を簡単に紹介し、がん以外の疾患を解説しています。がんに関する情報は「おしえて卵巣がんのコト」「おしえて子宮頸がんのコト」「おしえて子宮体がんのコト」に遷移する動線になっており、がん3サイトでは構成を統一しています。一方で、イメージカラーやイラスト、トップページのデザインを変えることで、各サイトの独自性を出しています。

トップページではコンテンツ名とは別に、閲覧者が求める情報へ辿りつきやすいよう「○○の症状がある方」や「○○をしている」などのアイコンを用意。アイコンをクリックすると、適したコンテンツをポップアップ機能で表示します。さらにクイックアクセス機能が付いており、情報の探しやすさに工夫が見られるサイトです。

おしえて子宮・卵巣のコト
https://oshiete-gan.jp/gynecologic/

サイトディスクリプション

女性特有の臓器である子宮や卵巣にまつわる病気は、気になる症状があれば速やかに受診し、病気の早期発見・早期治療に努めることが大切です。中外製薬が運営する「おしえて 子宮・卵巣のコト」では、子宮・卵巣にまつわる症状や病気についてわかりやすく解説します。

キーワード

なし

コンテンツ一覧

  • 子宮・卵巣にまつわる症状

不正出血・おりもの・下腹部痛について症状・疫学・検査・治療を紹介

  • 子宮・卵巣にまつわる病気

子宮筋腫・子宮肉腫などの疾患について症状・疫学・検査・治療を紹介

  • おしえて 卵巣がんのコト

サイトへ移行

  • おしえて 子宮頸がんのコト

サイトへ移行

  • おしえて 子宮体がんのコト

サイトへ移行

(ほか3サイトの情報はダウンロード資料をご参照ください。)

MSD「子宮頸がん予防」

MSDでは、子宮頸がんに関するサイトを「もっと守ろう.jp」と「子宮頸がん予防」の2つ運営しています。「もっと守ろう.jp」では子宮頸がんや予防法に関して詳しく解説し、一方「子宮頸がん予防」では予防啓発を行うことで両サイトを使い分けています。「子宮頸がん予防」でのワクチン接種や検診の解説は、「もっと守ろう.jp」へ遷移する仕様です。

「子宮頸がん予防」サイト内では、藤井清美氏 原作・ひうらさとる氏 作画の漫画を掲載。さらにYouTubeチャンネルで配信するコミックムービーには、梶裕貴氏と花澤香菜氏を声優に起用しています。コンテンツ「子宮頸がんに関する記事」では、スポンサーとして記事を提供した外部サイトのリンクを用意。著名人を起用した話題性のあるコンテンツ作りや自社サイトに留まらない疾患啓発活動など、多くの人へ情報を届ける工夫が見られます。

子宮頸がん予防
https://www.shikyukeigan-yobo.jp/hope/from_teens/

サイトディスクリプション

子宮頸がんは予防する方法があります。それは「HPVワクチンの接種」と「子宮頸がん検診」です。女性たちの未来を守るために、今からできることをしていきましょう。このサイトは、MSD株式会社が運営しています。

キーワード

なし

コンテンツ一覧

  • 子宮頸がんって知っていますか?

疾患について解説。漫画の活用や同社他サイトへの遷移あり

  • Q&Aで知る、子宮頸がん

6つの質問にデータを主に使って解説

  • 子宮頸がんには2つの予防法があります

ワクチン接種と検診について簡潔に紹介

  • 子宮頸がんに関する記事

外部サイトの紹介。おすすめ対象ラベル付き


大塚製薬「PMSラボ」

大塚製薬が運営するこちらのサイトでは、記事ごとに公開日や更新日を明記し、情報の配信日を明確にしています。
症状が多岐に渡るPMSですが、コンテンツ「PMS症状別原因と対策」では、身体・心・行動の3項目に分け具体的な症状をアイコンで表示。アイコンをクリックすると、それぞれの具体的な内容が表示される仕様です。各ページは、「こんな症状、ありませんか?」「考えられる症状の原因」「対策」の3つの見出しで構成を統一しています。記事構成が統一されることで、情報の整理がしやすいサイトです。

PMSラボ
https://www.otsuka.co.jp/pms-lab/

サイトディスクリプション

PMSラボは月経前の心や身体の不調「月経前症候群」に関する情報サイトです。

キーワード

PMS,月経前症候群,PMSラボ

コンテンツ一覧

  • PMS(月経前症候群)について

PMSについて原因・症状・治療などを解説

  • PMS対策で注目の成分

PMS症状改善に役立つ成分の紹介

  • PMSチェック

3項目の各設問に重症度などを回答し、PMSチェックが可能

  • PMS症状別原因と対策

身体・心・行動の3つの項目別に症状の原因と対策を紹介

  • 女性のカラダ基礎知識

女性ホルモンが身体に与える影響などを紹介

  • PMS改善に役立つ栄養素

ビタミンや鉄などPMS改善に良い栄養の解説と多く含む食材の紹介

  • 自分でできる予防・改善法

有酸素運動や呼吸法などについてデータを交えながら紹介

  • PMSに関するQ&A

さまざまな質問に簡潔に回答

  • PMSニュース

PMSに関するニュースや研究を紹介

  • 相談できる施設を探す

地名・駅名や施設名から医療機関や薬局を検索可能


統一感のあるサイト作りと、話題性の高いコンテンツやSNSでの情報発信が鍵に

一つのサイトを作るには多くの労力を必要としますが、どの製薬企業も運営している疾患啓発サイトは一つではありません。構成やシステムの工夫など各社注力しなければなりませんが、ベストなサイトのコンテンツ構成が定まれば、サイト間で統一してみるのも良いのではないでしょうか。効率化の面だけでなく、ブランドイメージの確立といったメリットもあります。

また、いかに患者さんに情報を見てもらうかも重要なポイントです。トレンドの著名人を起用したコンテンツやトップページ作成は話題性が高いでしょう。LINEは多くの人が普段使う機会の多いツールなので、今後はサイトへの遷移ツールとしてではなく、十分な内容を有した疾患啓発の場として活用されてくるかもしれません。

本記事では調査対象の一部について紹介しましたが、さらに詳しいコンテンツ一覧など、今回調査した詳細な情報はダウンロード資料よりご確認いただけます。下記フォームに必要事項をご記入の上、お申し込みください。資料ダウンロード用URLをお送りいたします。

<出典>※URL最終閲覧日2023.2.27
1) 日本産科婦人科学会, 更年期障害(https://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=14
2) 日本婦人科腫瘍学会, 市民の皆さまへ(https://jsgo.or.jp/public/introduction.html

ダウンロード資料「製薬企業の婦人科領域の疾患啓発サイトを調査【2023年3月版】」

  • 女性の健康支援 1サイト
  • 婦人科系疾患 1サイト
  • 月経前症候群 2サイト
  • 避妊 1サイト
  • 更年期症状 3サイト
  • 更年期症状・子宮筋腫 1サイト
  • 子宮卵巣の疾患 1サイト
  • 女性のがん 1サイト
  • 卵巣がん 3サイト
  • 子宮頸がん 5サイト
  • 子宮体がん 1サイト

(各サイトのサイトディスクリプション/キーワード/コンテンツ一覧/特徴)