【DL資料あり】製薬企業デジタル&データ活用 実態調査2021レポート - チャネル編

【DL資料あり】製薬企業デジタル&データ活用 実態調査2021レポート - チャネル編

新型コロナウイルス感染症の影響もあり、この1年半で製薬業界のデジタル化は大きく進みました。マルチチャネルの活用、オムニチャネルマーケティング推進に注力する企業が増加した一方で、各製薬企業では、様々な課題を抱えています。Medinewでは、このような製薬業界のデジタル利活用の動きを受け、2021年7月に業界調査アンケートを実施。本記事ではその調査結果から、製薬業界全体のデジタル利活用の状況と、デジタルチャネルの利活用状況・課題についてまとめます。

製薬業界デジタル利活用全体状況+チャネル利活用サマリー

  • 製薬企業のセールス・マーケティングにおけるデジタルの利活用は、 4割弱の組織で順調に進んでいる 一方、約半数の組織で順調に進んでいない。
  • 順調と回答したグループは、 オウンドメディアでの情報発信やWeb講演会の活用、専任MRによるオンライン面談やチャットツールを活用した医師とのディテーリングを重視する傾向が高い
  • 特定のチャネルに依存するのではなく、 複数のチャネルを活用 。MRが情報提供活動の中心を担っていたシングルチャネルから、マルチチャネルの適切な活用の必要性がうかがえる。
  • 複数のデジタルチャネルを活用していく上で、 約半数がコンテンツ管理・制作、データ連携、費用対効果に課題を感じている 。オムニチャネルマーケティング実施のためにも、コンテンツ管理、顧客情報などのデータ収集・連携を継続的かつ組織的に進める必要がある。順調と回答したグループは、さらに費用対効果の検証も行いながら、絶えずPDCAを実践していると想定される。

製薬企業デジタル&データ活用実態調査 実施背景

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響もあり、この1年半で医療・製薬業界のデジタル化は大きく進みました。従来は情報提供活動の中心をMRが担っていたものの、訪問規制や医療従事者向けセミナー開催自粛など、医療従事者とのリアルでの接点が大幅に減少。製薬企業は医療従事者とのコミュニケーションの場をデジタルに広げています。
それにより、マルチチャネルの活用、オムニチャネルマーケティング推進に注力する製薬企業が増加しました。一方で、医療従事者向けオウンドメディアのリニューアル、コンテンツの拡充、CRMなどマーケティングツールの導入、データ連携などを推進する上で各製薬企業が様々な課題を抱えていることも事実です。

Medinewでは、このような製薬業界のデジタル利活用の動きを受け、2021年7月に業界調査アンケートを実施。COVID-19流行から1年半、デジタル化推進の追い風を受け、製薬業界はデジタルの利活用においてどのような状況に立っているのかを調査しました。 
(調査期間:2021年7月7日~21日、調査対象:Medinewメルマガ登録者のうち、製薬企業勤務の方(デジタルマーケティング部門、営業企画部門、プロダクトチーム、メディカル部門など)、回答者数:126名、調査方法:ウェブによるアンケート形式)

「全体のデジタル利活用状況」とともに、「デジタルチャネルの利活用」「ツールの利活用」「データの利活用」の3つのテーマで現状・課題を調査。本記事では、アンケート結果よりデジタルチャネルの利活用の実態を考察します。

製薬企業におけるデジタル利活用に向けた5つの成功要因が明らかに

自身が所属する部署では顧客へのセールス・マーケティングにおいてデジタルの利活用は順調に進んでいるかという設問では、全体の4割弱(38.1%)が順調と回答。一方で、半数以上の組織が順調に進んでいないと回答しました。

部門別(デジタルマーケティング部門/営業企画部門/プロダクト部門/メディカル部門/その他)では、「順調に進んでいる」と最も回答したのは「営業企画部門」の44.4%で、最も「順調に進んでいる」の回答が少なかった「プロダクト部門」の22.2%に対し、倍の数値でした。ただし、いずれの部門でも過半数は順調に進んでいないと回答しています。

DL資料「製薬企業におけるデジタル&データ活用 実態調査2021」より抜粋/Medinew

デジタルの利活用「順調」「順調でない」を分けた要因は5つ

「順調」と回答した理由としては、「リアル活動とデジタルチャネルがうまく融合するようになっている」「メンバー格差がなくデジタル活用に前向き」「SFA/CRMを用いて情報の一元化と活用を実施」「サードベンダーの利用、ウェビナーにより順調にMQLが取得できている」といった回答が。一方、「順調でない」と回答した理由には、「メンバーのスキルに差がある」「データが散らばっていて統合できていない」「費用面、導入面までの社内調整に時間がかかる」「オウンドメディアに会員用ページがなく閲覧者ログがとれない」などが挙げられました。

このような理由から、製薬企業におけるデジタルの利活用において、「順調」「順調でない」と回答を分けた要因は大きく以下の5つと考察します。

  1. リアルとデジタルの融合の成否
  2. 社内リソースのデジタル化への適応
  3. デジタルツールの活用を通じたデータの一元管理
  4. まずは「トライする」姿勢。試行錯誤→改善の繰り返し
  5. デジタルチャネルの活用、顧客行動ログの把握

製薬企業がデジタルマーケティング・セールスを成功させるためには、社内体制、リソース、企業文化等に起因する要因のほか、デジタルチャネルやツール、データの適切な活用・導入がカギを握る可能性があると考えられます。

複数のチャネルで情報発信&MRによるフォローアップを重視

顧客へのセールス・マーケティングにおいてどのようなデジタルチャネルを利用しているかの設問では、多くの製薬企業が特定のデジタルチャネルに依存するのではなく、複数のチャネルを活用していることが分かりました。

顧客へのセールス・マーケティングにおいてデジタルの利活用は順調に進んでいるかという設問への回答から、順調群(「順調に進んでいる」と回答)と非順調群(「あまり順調に進んでいない」「全く順調に進んでいない」と回答)に回答者を分類(n=114)。

非順調群よりも順調群の方が10ポイント近く多く「活用している」と回答したチャネルは、「オウンドメディア」「Web講演会(本社主導・オウンドメディア配信)」「リモート専任MRによるオンライン面談」「チャットツール(LINE WORKSなど)」の4つでした。
ここから、順調群はオウンドメディアでの情報発信と、医師への個別対応を重視している可能性が考えられます。

一方で、非順調群の方が順調群よりも多く「活用している」と回答したチャネルには、「Web講演会(本社主導・3rdメディア配信)」が挙げられます。順調群も活用率が77.1%と決して低くはない数値ですが、3rdPartyを活用したWeb講演会よりも、順調群の製薬企業はデータ取得やコンテンツ一括管理の観点からも、オウンドメディア経由での情報発信に力を入れていると考えられます。

DL資料「製薬企業におけるデジタル&データ活用 実態調査2021」より抜粋/Medinew

マーケティング部門は「web講演会」、営業企画部門は「メール送信」と、部門別で活用チャネルの違いが明確に

どのデジタルチャネルを活用しているかは、部門によって異なる結果に。

他部門と比較して回答数が10ポイント以上高いチャネルを見てみると、デジタルマーケティング部門は「Web講演会」「3rdメディア」「リモート専任MRによるオンライン面談」、営業企画部門は「メール送信」「自社製品サイト」「3rdメディア」、メディカル部門は「チャットツール(LINE公式アカウントなど)」が挙げられます。製薬企業の部門ごとの目標に応じてチャネルを使い分けていると考えられます。

DL資料「製薬企業におけるデジタル&データ活用 実態調査2021」より抜粋/Medinew

チャネル利活用の課題は「費用対効果」「デジタルコンテンツの管理」

チャネル利活用に関する課題を問う設問では、「費用対効果を把握できていない」と「デジタルコンテンツの管理ができていない・不十分」が54.0%と、過半数を超える結果でした。次いで、「リアルチャネルからの顧客情報の収集・データ連携ができていない・不十分」49.2%、「デジタルチャネルからの顧客情報の収集・データ連携ができていない・不十分」47.6%でした。

半数近くがデータ連携に課題を抱えており、急激なマルチチャネル活用の動きにあわせて、各チャネルからの膨大な情報を連携させる体制・仕組み作りが間に合っていない現状が見えます。

DL資料「製薬企業におけるデジタル&データ活用 実態調査2021」より抜粋/Medinew

さらに、デジタルチャネル活用の課題を問う設問を「順調群」「非順調群」で分類した結果、両者の課題認識に明確な差が出ていることが分かりました。

DL資料「製薬企業におけるデジタル&データ活用 実態調査2021」より抜粋/Medinew

30ポイント以上の差が出た課題は、「費用対効果が把握できていない」(順調群35.4%、非順調群66.7%)、「デジタルチャネルからの顧客情報の収集・データ連携ができていない・不十分」(順調群33.3%、非順調群62.3%)の2つでした。

デジタルチャネルを継続的に運用し成果を生み出すためには、コンテンツ制作や閲読データを取得するためのコンテンツ管理、顧客情報のデータ収集・連携などを、継続的・組織的に進めていく必要があります。さらに費用対効果を把握しながらPDCAを回さなければなりません。複数のチャネルをまとめて使い始めるのではなく、チャネル一つ一つのデータ連携や効果検証を行いながら、必要なチャネルを導入していく動きが求められます。

今後活用を推進していきたいチャネルトップは「オウンドメディア」

デジタルチャネルの活用意向を問う設問では、「オウンドメディア」を推進したいと回答したユーザーが73.0%とトップに。次いで「オンライン面談」57.9%、「患者向け疾患サイト」「web講演会(本社主導・オウンドメディア配信)」56.3%と、自社サイトやweb講演会の活用に意欲を見せています。

そのほかのチャネルも推進意向が高かったものの、「3rdメディア」は他チャネルと比べて「現状維持」の数値が31.0%、「活用を減らす」が7.1%と高い傾向に。3rdメディアに頼らず、自社が持つチャネルの活用への意向がうかがえます。

DL資料「製薬企業におけるデジタル&データ活用 実態調査2021」より抜粋/Medinew

他社と差をつける「オムニチャネルマーケティング」の成功

本調査結果で、業界全体でマルチチャネルの活用が推進していると同時に、費用対効果やコンテンツ管理、データ連携などが課題であることがうかがえます。各チャネルで発信する情報・コンテンツの管理を行うと同時に、チャネルで得た情報を収集し、部門を問わず一元化することで、適切なチャネルで適切な情報提供が可能となります。

KPI達成のため必要なデータは何か、そのデータを集めるために適切なチャネルはどれか。オムニチャネルマーケティングを成功させることが、他社との差をつけるカギとなりそうです。

▼業界全体のデジタル利活用順調度/チャネル利活用に関する調査レポートはこちら
【DL資料あり】製薬企業デジタル&データ活用 実態調査2021レポート – チャネル編

ダウンロード資料「製薬企業におけるデジタル&データ活用 実態調査2021」

本記事で紹介したグラフを含む資料「製薬企業におけるデジタル&データ活用 実態調査2021」は、以下フォームよりダウンロードいただけます。

※資料の無断引用・転載はお断りいたします。

▼「製薬企業におけるデジタル&データ活用 実態調査2021」掲載内容(全121P)
  • 調査概要
  • 主な調査結果
  • デジタル利活用の順調度
  • デジタルチャネル活用実態
    – デジタルチャネルの活用
    – デジタルチャネルの課題
    – デジタルチャネルの活用意向
  • デジタルツール活用実態
    – デジタルツールの活用
    – デジタルツールの課題
    – デジタルツールの活用意向
  • データ活用実態
    – データの活用
    – データの活用目的
    – データ活用の課題
    – データの活用意向
  • 回答者属性
  • その他集計データ
    – 所属部門別集計
    – 企業規模別集計