(株)JMDCのCOO杉田氏が、製薬企業におけるリアルワールドデータ(RWD)などデータ活用のヒントをお伝えする本コラム。
多くの製薬企業で、”医師中心の”から”患者中心の”への転換が議論されるようになってきました。その中でも、患者側からみたときの疾患や受診に関連した体験を表す、”ペイシェントジャーニー”は特にキーワードとして注目されている気がします。今回のコラムではペイシェンジャーニーの考え方やデータの活用方法に関してお伝えします。
杉田:JMDCのCOOの杉田と申します。今月は「ペイシェントジャーニーの考え方」というテーマで、RWDでどういった内容が見れるのか、そこからどういう示唆が得られるのかをお伝えしたいと思います。
穴吹:製薬本部マネージャーの穴吹と申します。本記事では私がインタビュワーとなって、進めていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
それでは早速ですが、そもそも”ペイシェントジャーニー”とはなんなのでしょうか?よく聞くワードではあるものの、実際にこれがペイシェントジャーニーです、といった資料もみたことはないし、概念的なものなのでしょうか?
杉田:そうですね、ペイシェントジャーニーはその言葉を話している人によっても、何をさしているかが若干異なっている場合が多いので、なかなか理解しにくいものだと思います。
ペイシェントジャーニーを理解するために、よくウェブの世界でつかわれるカスタマージャーニーの説明をしますと、これは例えば何かを購買する顧客の行動を検討する際に使います。購買に至るまでの行動を、商品の「認知」「検索」「比較」「検討」「購買」などのプロセスにわけて、それぞれのプロセスで顧客がどういうチャネルで、どういう考えの下、どういう行動をとるか、ということを検討します。それを踏まえて、どのチャネルでどれほど不便を感じているか、それに対してどういうサポート、サービスをするといいか、ということを検討します。
ペイシェントジャーニーには「購買」の代わりに「治癒」であったり「死亡」であったりが、最終プロセスにくるのですが、本質的にはカスタマージャーニーと同じと考えています。
―概念的には理解ができました。実際にペイシェントジャーニー分析を行うとするとどのようなアウトプットになるのでしょうか。
杉田:特にこれといって定められた形はないので、あくまでも一例になりますが、例えばRWDを用いると下記のようなジャーニーが見えてきます。こちらは一個別患者の肺高血圧症診断前後の診断病名や検査、処方薬を、時系列で追えるように図に落とし込んだものになります。