Medinewでは、医薬品デジタルマーケティングの新潮流や最新トレンドを展望するWEBカンファレンス「Medinew Digital Marketing Day2021」を2021年9月に開催。セッション「MR主催のWEB講演会をスマートに。成果を最大に。WEB講演会オートメーションツール」では、株式会社メディクトの下山直紀氏、株式会社医薬情報ネットの金子剛章が、2社共同で開発・提供する新たなサービス「Conference Manager for MR」について解説しました。
WEB講演会を主催するMRが抱えるさまざまな課題
メディクトと医薬情報ネットが共同で開発・提供する新サービス「Conference Manager for MR」は、MR主催のWEB講演会を支援するWEB講演会オートメーションツールです。開発の背景となったのは、知人のMRが抱えるWEB講演会に関するいくつもの課題を聞いたことだったと金子は話します。
MRがアナログな方法で煩雑な業務を行っている
その課題は大きく分けて3つ。1つ目の課題は「MRがアナログな方法で煩雑な業務を行っている」点です。
MR主催のエリアごとに開催されるWEB講演会は、本社が主催する全国講演会のようなサポートベンダーが入るわけではなく、そもそも予算もかなり限られています。そのため、少ない予算の中でMRが雑務に追われているケースが多く見られます。
案内状をMRが自分で作成していたり、参加者リストを作るために返信メールを見ながら表計算ソフトに転記をしたりといった、非常に手間がかかる方法でオペレーションを行っているようです。MRが本当に必要な業務に集中できるようにするためには、講演会のオペレーション業務を見直しリソースを最適化する必要があると考えます。
担当者によって対応に違いがある
2つ目の課題は「担当者によって対応に違いがある」点です。
講演会の前後には、さまざまなメールを送ることになります。まず講演会の案内メールがあり、申し込み受領のお礼メール、開催前日にはリマインドメールを出すこともあるでしょう。しかし、メールを送るタイミングが担当者によって異なっていたり、そもそも送っていなかったりするなど、人によって対応にばらつきがあることが分かりました。また、こうしたメール配信に関する煩雑さを解消し、担当者によってクオリティにばらつきが出ないよう業務の標準化が必要ではないかと感じました。
情報管理ができていない
3つ目の課題は「情報管理ができていない」点です。
MR主催のWEB講演会はテーマが幅広く、かつ大量に実施されています。実際にWEB講演会を行っている企業の中には年間数千回の講演会を開催しているところも少なくありません。またエリアによって異なる課題を扱うこともあるため、取り扱うテーマも非常に幅広いものとなっています。
このような大量のエリア講演会は、どこで、どの担当者が、どのような講演会を行っているかといった情報管理ができていないことが懸念されます。また、申込者・参加者の情報も非常に有益なデータです。こうした情報を管理し、データを分析することで新しい発見があるのではないでしょうか。
WEB講演会業務を改善することは多くの価値を生み出す
前述の課題について「内資外資・大手中小を問わず複数のMRにヒアリングをしてみましたが、どこもほぼ同じ課題を抱えていることが分かりました」と金子は話します。
一方でエリア講演会そのものは、マーケティング要素として今後重要度が増していくと医薬情報ネットでは考えています。例えば、全国講演会と同等品質を医師に提供できれば、医師とのつながりが強化できます。講演会への参加者が把握できれば、全国とは違う個々のデータとして活用できます。さらに、講演会周りの業務を最適化できれば、MRが本来の業務に集中することが可能です。
「MR主催のWEB講演会が抱えるさまざまな課題を解決することによって、従来の講演会では得られなかった価値、つまり眠っている宝を掘り起こすことができます」と金子は強調しました。
「Conference Manager for MR」3つの特徴
そこで医薬情報ネットが開発したサービスが「MR主催の講演会をスマートに。成果を最大に。」をコンセプトとする「Conference Manager for MR」です。「Conference Manager for MR」の特徴は大きく分けて「業務効率化」「講演会対応の品質向上」「データマーケティングの展開」の3点です。
特徴1. 煩雑な作業を自動化することでMRの業務効率アップ
まず案内ツールの自動作成による「業務効率化」。これはMRが企画した講演会情報を「Conference Manager for MR」に入力するだけで、案内状や申込ページ、視聴ページなどが自動で生成される機能です。
これまではMR自身が案内状を作成し、申込用のQRコードをメールに添付して送るという手間がかかっていましたが、「Conference Manager for MR」を使うことで案内状だけでなく、申込WEBページ、動画視聴ページも自動生成されるためMRの講演会業務効率化につながります。
特徴2. 担当者による対応のばらつきをなくし、満足してもらえる講演会に
2つ目の特徴がメール配信の自動化による「講演会対応の品質向上」。自動生成された申込ページから取得した申込者データと連携し、登録のお礼メールや前日のリマインドメール、講演後のお礼メールといった各種メールの自動配信が可能です。
あらかじめメールのテンプレートとスケジュールさえ設定しておけば自動配信されるため、担当者による抜けや漏れがなくなり、対応に関する品質向上が期待できます。 また、講演会までにやっておくべきタスク、例えば講演会の準備やフォローなどはたくさんあります。しかし決まった業務フローが確立されていない中、MRによっては本来の業務に追われてしまい、必要なタイミングで必要なタスクをこなせないケースも少なくありません。
「Conference Manager for MR」にはアラート機能もついており、必要なタスクが期日までに完了していないと通知する仕組みになっています。 これらの機能により業務の標準化が図れ、属人的な品質のばらつきをなくすことが可能です。
特徴3. アクションデータを収集してマーケティングに活用
データの取得や連携による「データマーケティングの展開」が、3つ目の特徴です。
各地域においてどのMRがどんな座長・演者のコンビネーションを使い、どのドクターを招き、実際に誰がどの講演会に参加したかなど、講演会に関するさまざまなアクションデータを収集し、本社のDWHやDMPと連携することが可能です。 また各種データを収集できるようになるため、申込数の可視化や実際の視聴数などをレポートとして見ることができます。
さらに他のエリアではどんな講演会が人気なのか、優秀なMRはどんな企画を立てているかといった情報も確認できるため、自分のエリアで行う講演会のアイデアやヒントを得ることもできそうです。
ツールの導入で受けられるさまざまなメリット
「Conference Manager for MR」を導入することによる効果について、金子は「メールの自動化・標準化により、適切なタイミングでリマインドやお礼のメールが送られるため、講演会への申込率や参加率改善が期待できます」と説明しました。
また、講演会開催に伴う一部作業を自動化できるため、MRの講演会業務効率化が期待できます。例えばこれまで何時間もかけて送っていたメールも、ほんの1時間ほどの設定だけで済むため、MRが本来の業務に注力できるようになります。
さらに医薬品マーケティングにおいては、ドクターの行動情報の収集が重要です。エリア講演会の各種データを収集・連携することで、従来では難しかった各地域のニーズを把握できれば、デジタルマーケティングの改善・推進が期待できます。
製薬企業向けWEB講演会運用支援ツールの紹介
続いて株式会社メディクト 代表取締役 下山直紀氏が、同社が開発した製薬企業向けWEB講演会運用支援ツールについて紹介しました。
WEB講演会ニーズの高まりとともに担当者にのしかかる負荷
コロナ禍においてWEB講演会の開催数が非常に増えている反面、運用者にかかる負担は大きくなっており、スムーズな講演会運用のニーズが高まっています。
例えば、WEB講演会を開催する場合、告知ページや申込フォームなどの事前準備、メールの作成、開催後のアフターフォローといった業務が発生するだけでなく、講演会開催のコストや外部業者とのやり取り、これにかかる時間といったさまざまな負担がWEB講演会実施のたびに発生しています。
ツールによる自動化で担当者の負荷を軽減
WEB講演会を効率的かつ安全に、さらに省コストを図りつつマーケティングにも活用する。そのためにはツールを使って自動化し、制作費用や時間、入力ミスの軽減、WEBページやメールのデータ集積・活用できる仕組みを使い、なるべく自社で自走できる体制を整えることが必要です。
製薬企業向けプロモーションに特化したサービスを提供するメディクト社では、これらの仕組みをパッケージ化した「製薬企業向けWEB講演会運用支援ツール」を開発しています。
このツールの特徴は、WEB講演会の情報をマスターに入力することで、講演情報・視聴ページといった各種ページや申込フォーム、告知・リマインド等の各種メールを自動で生成できる点です。
MAツールと連携することでさまざまなデータを活用可能
さらに医師会員データ「medパス」と連携したWEB講演会へのログイン機能や、会員DBを活用したメール配信も可能です。メディクト社では会員データを持っていない製薬企業向けに、medパスの導入を含めたサポートもしています。
また、同社のMAツール「BtoD」と連携することで、各ページ視聴や申込、メール開封といった医師の行動データを集積することが可能です。
蓄積したデータはオウンドメディアのスコアリングや分析に活用できることはもちろんのこと、担当医師がどのWEB講演会に申込み、どのくらい視聴したか、アンケートにどんな回答をしたかをMRに通知できます。
最後に下山氏は「このツールは開発進行中ですので、デザインや運用フロー、他のツールとの連携についてはオーダーいただければ取り込みも可能です。ぜひ一緒に作っていくようなツールにしたいと考えています」と話します。
本講演で紹介しました、WEB講演会オートメーションツール「Conference Manager for MR」についてご質問やご相談がございましたら、お気軽に以下フォームよりお問い合わせください。なお、サービス資料をご希望の場合には、その旨フォームにご記入ください。