株式会社医薬情報ネットが提供する「学会情報データベース」を使用して、直近2年間の乳癌関連学会演題で、どのような乳癌治療薬が多く取り上げられたかを調べてみました。ベスト3は、パルボシクリブ、 エリブリン、 トラスツズマブで、使用成績や併用療法をテーマとした演題が多い傾向でした。
対象学会、検索対象薬剤、演題に取り上げられた薬剤ベスト10を以下に示します。
[方法]
2018~19年に開催され「学会情報データベース」に登録された乳癌関連学会の全演題を抽出し、演題名に以下の対象薬剤が含まれている数を算出しました。
[対象学会]
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2018年:第26回日本乳癌学会学術総会、 第15回日本乳癌学会 中国四国地方会、第15回日本乳癌学会 中部地方会、第16回日本乳癌学会 北海道地方会、第56回癌治療学会
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2019年:第27回日本乳癌学会学術総会、第16回日本乳癌学会 九州地方会、第17回日本乳癌学会 近畿地方会、第16回日本乳癌学会 中部地方会、第16回日本乳癌学会 東北地方会、第57回癌治療学会
癌治療学会については、乳癌関連演題を抽出した上で対象として用いました。
[対象薬剤]
内分泌療法薬 |
アナストロゾール、エキセメスタン、ゴセレリン、タモキシフェン、トレミフェン、フルベストラント、メドロキシプロゲステロン、メピチオスタン、リュープロレリン、レトロゾール |
細胞障害薬 |
アクラルビシン、イリノテカン、S-1、エピルビシン、エリブリン、カペシタビン、カルボプラチン、ゲムシタビン、シクロホスファミド、シスプラチン、テガフール・ウラシル、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、ドセタキセル、パクリタキセル、ビノレルビン、フルオロウラシル、マイトマイシンC、ミトキサントロン、メトトレキサート |
分子標的薬 |
アテゾリズマブ、トラスツズマブ、トラスツズマブ エムタンシン(T-DM1)、ベバシズマブ、ペルツズマブ、ラパチニブ、エベロリムス、オラパリブ、アベマシクリブ、パルボシクリブ |
G-CSF製剤 |
ナルトグラスチム、フィルグラスチム、ペグフィルグラスチム、レノグラスチム |
その他 |
ゾレドロン酸、デノスマブ |
[結果:2018-2019年の乳癌関連学会演題で取り上げられた乳癌治療薬剤ベスト10]
順位 |
薬剤 |
カテゴリー |
演題数 |
主な演題テーマ |
1 |
パルボシクリブ |
分子標的薬 |
92 |
使用成績、有害事象 |
2 |
エリブリン |
細胞障害薬 |
77 |
併用療法 |
3 |
トラスツズマブ |
分子標的薬 |
42 |
併用療法 |
4 |
パクリタキセル |
細胞障害薬 |
41 |
併用療法 |
5 |
エベロリムス |
分子標的薬 |
35 |
併用療法 |
T-DM1 |
分子標的薬 |
35 |
使用成績、有効性/安全性 |
|
ペルツズマブ |
分子標的薬 |
35 |
併用療法 |
|
8 |
ベバシズマブ |
分子標的薬 |
30 |
併用療法 |
9 |
フルベストラント |
内分泌療法薬 |
22 |
使用成績、有用性 |
10 |
S-1 |
細胞障害薬 |
21 |
有効性/安全性 |
最も演題数が多かったのはパルボシクリブでした。特に2019年になって急に演題数が伸びていました(2018年:11、2019年81)。新薬上市後、使用経験が増加するにつれて、やはり学会での発表数も増えてくるのでしょう。演題テーマは、主に使用成績と有害事象に関するものでした。
2位以下の薬剤では、併用療法や有効性/安全性に関する演題が多くみられました。
なお、演題名に「アロマターゼ阻害薬(剤)」を含む演題は30あり、出現順位としては7位に相当しましたが、薬剤名を特定できないため順位には含めませんでした。
演題数が10位以下の薬剤や年別の比較、登場人物数の分析などの詳細は
「『学会情報データベース』解析レポート~乳癌治療薬剤編~」
をご覧ください。下記フォームより必要事項をご入力いただきダウンロードください。
1. 薬剤別演題数比較:2018年vs2019年
2. 薬剤タイプ別演題数比較:2018年vs2019年
3. 薬剤別登場人物数比較:2018年vs2019年
4. 薬剤タイプ別人物数比較:2018年vs2019年
【 ダウンロードフォーム 】