チラシやバナーなどを制作したとき、思ったような効果が得られなかった経験はありませんか。それは、5W1H+Doの情報を整理しきれていない、優先順位の決定ができていないことが原因かもしれません。本記事では、5W1Hの整理次第でどれだけデザインが変わってくるのか、どのようにデザインを決定すれば良いのか、医師向け講演会の案内を実例にあげながら紹介します。
5W1H+Doとは?
制作物をかっこいいデザインに作ってもらったのに、思ったよりターゲットユーザーからの反応が薄い。想定していたユーザーから離れた人が集まってきてしまった。伝えたい内容があまり伝わっていなかった。制作物に関して、こうした経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
制作物のデザインは、5W1H+Doを意識するとターゲットに届きやすくなります。
5W1Hは、さまざまなシーンで使われるフレームワークの一つのため、ご存知の方も多いと思います。「When:いつ」「Where:どこで」「Who:だれが」「What:なにを」「Why:なぜ」「How:どのように」の頭文字をとった略称です。最後の+Doは、「どうしてほしいのか」のDoです。ターゲットにその制作物を見たことによって、どのような行動をして欲しいのかを表したものになります。詳しくは下記の記事をご確認ください。
デザイナーがデザイン制作をするときだけでなく、発注者がデザインを決定するときにも、この5W1H+Doは大切な情報です。この情報がどれだけ細かく設定されているかによって、ターゲットに効果的なものになってくるのか否かが決まってきます。
5W1H+Doの情報整理はなぜ必要?
では、実際に5W1Hの設定が違うと、どのようにデザインに影響が出るのでしょうか。「Medinew講演会が開催される」ことを告知する制作物を作ると仮定し、5W1H+Doが違うことでデザインにどのような影響が出るのか、例を見ていきましょう。
Whenが違うとどうなる?
まずは、以下のデザインをご覧ください。
どちらが、どのような時期に開催されるのか分かりますか。
1つ目は10月に講演会が開催されること、2つ目は4月に講演会が開催されることを表現したデザインになります。
10月開催の場合、秋らしいあしらいに、4月開催の場合、春らしいあしらいになっています。
講演会は、時間を確保して参加するものです。
ターゲットにいつ頃開催されるのか、ひと目で伝える必要があります
。そのため、制作物を見たときに、いつ頃開催されるものなのかすぐに伝わるように季節感を出したデザインになったのです。
このように、いつ頃開催されるかの設定によって、デザインが大きく変更されることがあるのが分かります。
Whoが違うとどうなる?
次に、以下のデザインをご覧ください。
どのようなターゲットで制作されたかに注目してみてください。
1つ目は医師がターゲットの場合、2つ目は患者がターゲットの場合のデザインです。
医師がターゲットの場合、講演会の内容も専門的な話をメインで行う可能性があります。「この講演会は専門的な話がメインになるだろう」ということがユーザーに伝わらなければなりません。そのため、堅い印象のデザインになりました。
患者がターゲットの場合、医師と比べて専門的な話をすることは少ないと考えられます。そのため、
「この講演会は、専門的ではない人でも聞けるものである」ということがユーザーに伝わらなければなりません
。したがって、医師のデザインと比べて、柔らかい印象のデザインになりました。
Whoが同じ場合でも、ペルソナ次第でデザインが変わる可能性があります。以下のデザインは同じ「医師」をターゲットに制作しましたが、印象がかなり違うことが分かるかと思います。
1つ目のデザインは、「新しいものが好きで、先進的な情報を求めている医師」、2つ目は「正確性や確実性を重視しており、そうした情報を求めている医師」をターゲット設定した場合のデザインになります。
新しいもの好きな医師がターゲットの場合、「この講演会は何か新しい情報が取れるかもしれない」と伝える必要があります。正確性を重視している医師には、「この講演会は信頼性がある講演会かもしれない」と伝える必要があります。そのため、
1つ目のデザインは、先進的なイメージが伝わるデザインに、2つ目は真面目な、信頼性を感じるデザインになりました。
このように、ターゲット設定の細かさによって、デザインが大きく変更されることもあるのが分かります。
Whyが違うとどうなる?
次に、以下のデザインをご覧ください。
どのような目的があってデザインされたか分かりますでしょうか。
1つ目は、新製品についての講演会を開催する告知をしたい目的があり、2つ目は10周年続いている製品についての講演会を開催する告知をしたいという目的があります。
製品に関する講演会を行う際、どのような製品の講演会が開催されるのかを伝える必要があります。 そのため、新製品の製品は新しさや未来感を感じるデザイン、10周年と歴史が長い製品は歴史感を感じるデザインになりました。
このように、「なぜ制作するのか」の設定によってデザインが大きく変更されることもあります。
Whatが違うとどうなる?
次に、以下のデザインをご覧ください。
訴求したい対象が異なることが分かりますでしょうか。
1つ目は「初公開の情報を知れることを訴求ポイントとした場合」、2つ目は「講演者には権威ある医師を呼んでいることを訴求ポイントとした場合」になります。
ターゲットにとってメリットになるような情報で集客などをする場合、そのメリットは何なのかをデザインで伝える必要があります。
このように、何を伝えたいかの設定によって、デザインが大きく変更されることもあるのが分かります。
Where & Howが違うとどうなる?
以下のデザインをご覧ください。
どのような場所、やり方で告知を行おうとしているのか分かりますでしょうか。
左は、医師との面談時に手渡しで告知を行う場合、右はメールで告知を行う場合のデザインです。手渡しで告知を行なっていきたい場合、やはり紙で渡すことが一番ターゲットに情報を伝えやすくなります。また、情報の見やすさや持ちやすさからも、
一番使用されているA4サイズの制作物が最適なためチラシという形で制作しています
。メールで告知していく場合、メール上で見やすいものでなければなりません。そのため、
メール文に直接貼り付けられるよう、バナー画像という形で制作しています
。
このように、どこで、どのように情報を伝えるかによって、伝え方が変わってくることもあるのが分かります。
Doが違うとどうなる?
以下のデザインをご覧ください。
ユーザーにどのような行動をしてほしいのか分かりますでしょうか。
左は、講演会参加にWEB登録が必要なのでWEBサイトへアクセスしてほしい場合、右は現地に直接来てほしい場合のデザインです。
ターゲットに行動をしてもらうには、その行動のきっかけや道筋を提示する必要があります
。そのため、左のデザインでは、WEB登録のやり方を示し、右のデザインでは地図やアクセスの記載をしています。
このように、ターゲットにどのような行動をしてほしいかによって、載せる情報やデザインが変わることもあるのが分かります。
以上の例から、同じ「Medinew講演会が開催される」という内容でも、5W1H+Doの内容次第でデザインは変わります。ターゲットに効果的な制作物を作る上で、5W1H+Doの内容を整理することの重要さがお分かりいただけたのではないでしょうか。
5W1H+Doの優先順位を確認しよう
5W1H+Doの整理が完了したら、次に優先順位を決定します。整理した5W1H+Doの中で、一番ユーザーに伝えたい情報は何か、優先順位をつけることでデザインが変わります。
例えば、同じデザインでも伝えたいことの優先順位が違うと、以下のように変わる可能性があります。
左のデザインは、「講演者が豪華であること」を一番伝えたい点として作成したもの。右のデザインは、「10周年記念講演であること」を一番伝えたい点として作成したものになります。
デザインを採用する際、何を一番伝えたいのか、何をユーザーに感じて欲しいのかといった優先順位を決定する必要があります。優先順位が曖昧だと、どんなに素晴らしいデザインでも、効果的でなくなる可能性があります。
ターゲットに効果的な制作物を作る上では、「なんとなく良いから」「自分が好きな感じだから」と、感覚的な部分のみでデザインを決定するのではなく、5W1H+Doを意識した決定をしなければなりません。
よりターゲットに「分かりやすく」「伝えたいことが適切に伝わる」良い制作物を作成するために、ぜひ、今後の参考にしてみてください。