製薬企業が医師と患者へ向き合うために

製薬企業が医師と患者へ向き合うために

技術や環境の進歩により、製薬企業やヘルスケアブランドが患者や医師とコンタクトを取りやすくなりましたが、両者が真正面から向き合うことは未だに決して容易なことではありませんでした。
最近では、新しい手法を用い、積極的にコミュニケーションを取る事例が増えてきました。

SNSやAIなどを活用したユニーク事例が増加

製薬会社のGilead Sciencesは、セックスに関するジョークをTumblr(タンブラー:ブログ、ミニブログ、ソーシャルブックマークを統合したマイクロブログサービス)に投稿しています。
これは、HIV予防薬に関しての認知を高めるために行っている行動です。

メルクと武田製薬は、Amazonと協業し、Amazon Alexa(音声認識をするAIアシスタント)により2型糖尿病と診断された人に対するケアを改善するための機械学習をテストしています。

アストラゼネカとスタートアップのAIプラットフォームであるBabylon Healthは、
COPD(慢性閉塞性肺疾患)の医療費削減に関して、イギリスのNHS(国民保険サービス)と協力しています。

今後のカギは“コミュニケーション”

アメリカの医療関連の広告は、概ね、患者に薬物、治療、そして病気についての情報を、医療従事者が患者に話すように伝えるだけであったのが慣例でした。
そのため、製薬会社と医師、患者間のコミュニケーションもその範囲の中で捉えられていました。
しかし、前述の例の他に、患者や医師とのコミュニケーション方法として、ユーモア、感情的なストーリーテリングなどを利用しようと模索する動きもあります。

薬価の引き下げが常に議論の的になっているアメリカにおいて、従来の薬を販売するだけのための広告は医師や患者にとって受け入れ難くなってきています。
この新しいコミュニケーションアプローチは、医師や患者との直接的な会話を促進し、単なる広告の域を超えて製薬会社と医師、患者との間に新しい信頼関係を作り出す契機になる可能性があります。

以上は、規制と制約が厳しい歴史から、新しいことを試みることを嫌う企業文化が根付いてしまっている製薬業界において、医師、患者とのコミュニケーションを変革するための挑戦と言って良い事例でしょう。まだ変革途上ではありますが、患者と医師の信頼を勝ち取る必要性は強く認識されているようです。

ニュース元:MEDICAL MARKETING & MEDIA

http://www.mmm-online.com/live-at-cannes/cannes-lions-health-gsk-astrazeneca-gilead-merck-takeda/article/666456/