旧型Googleアナリティクス(UA)の重要指標とは?計測の仕組みを解説

旧型Googleアナリティクス(UA)の重要指標とは?計測の仕組みを解説

オウンドメディア運営の方針を決定する際、多くの製薬企業がGoogleアナリティクスを用いてデータを収集・分析し指標としています。本記事では、製薬マーケティング担当者に向け、Googleアナリティクス(UA)の仕組みや見るべき指標について解説します。

Googleアナリティクスとは?仕組みを理解するための前提知識

※本記事で解説するユニバーサルアナリティクス(UA)は2023年7月1日に停止し、新型のGoogleアナリティクス4(GA4)へ完全移行されます1)。最新版GA4の仕組みを知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
Googleアナリティクス4(GA4)のイベントやデータストリームの仕組みを解説

GoogleアナリティクスはGoogleが提供するWebサイトのアクセス解析を行うツールです。
具体的には、ユーザーのページビュー(PV)数やアクセス地域などの属性、流入元、コンバージョンといった指標を計測します。

GoogleアナリティクスはWebサイトで自動収集された情報をもとに、分析レポートを作成します。管理者はレポートの数値やグラフを閲覧でき、Webサイトの課題発見に役立てられます。基本的な利用は全て無料(無償版)で、モバイル端末からのレポート管理や、API連携によるデータ出力などの機能も活用できます。

高品質な分析環境が無償で提供されていることから、Webメディアを運営するあらゆる企業がGoogleアナリティクスを利用しています。Googleアナリティクスは、SEOをはじめとしたWebマーケティング戦略を検討するにあたって不可欠なツールの1つといえるでしょう。

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製薬マーケティングでWebサイトのアクセス解析を行う必要性

医療従事者や患者向けのオウンドメディアを運営する上で重要なのは、Webサイトへ訪れたユーザーのニーズを満たせる情報提供です。

コロナ禍以降、病院側の訪問規制などによりMRと医師のコミュニケーション方法が制限される中、医師向けWebサイトは製薬企業の重要な情報発信元です。オウンドメディアに訪れたユーザーのニーズを満たすためにも、医療従事者が知りたいコンテンツをGoogleアナリティクスを用いて分析し、コンテンツ制作を行う必要があります。

患者向けWebサイトでは、患者が抱える疑問や悩みを解決できるような疾患にまつわる情報発信が必要です。患者向けWebサイト経由での疾患啓発により、潜在的・顕在的に医薬品を必要とする患者のニーズを満たすことで、適切な処方や処方拡大が期待できます。

医師向けWebサイト、患者向けWebサイトのいずれでも、ユーザーニーズを満たすコンテンツを把握するためには、Googleアナリティクスによってユーザー行動を分析する必要があります。

最新型のGA4とは?旧型UAが完全停止される時期

2022年12月時点、GoogleアナリティクスにはGA4(Google アナリティクス 4)とユニバーサルアナリティクス(UA)の2種類が存在します。GA4とは、Googleがリリースしたアナリティクスの最新版です。Googleのアナリティクス ヘルプによると、ユニバーサルアナリティクス(UA)は2023年7月1日にサービス終了すると発表されています1)

旧型のUAのデータはGA4へ引き継ぐことができないため、UAを利用している製薬企業は、遅くとも2023年7月1日までに最新型へ移行する必要があります。

旧型UAと新型GA4は並行して運用でき、それぞれのデータは互いに干渉しません。今まで通りUAを利用しながら、GA4に情報を蓄積し操作方法や仕組みに関する変更点について理解を深められます。使い方や仕様が異なる点があるため、早めの段階から準備を進めておきましょう。

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Googleアナリティクス(UA)の計測の仕組み

Googleアナリティクス(UA)において、ユーザーの属性やアクションが計測される仕組みは以下の通りです。

UAの計測の仕組み

①トラッキングコードを埋め込む

トラッキングコードとは、Webサイトに埋め込む計測コードのことです。管理者が解析したいページにコードを貼りつけることで、ユーザーの属性や行動データを計測できます。
トラッキングコードがなければ、Googleアナリティクス(UA)で自社サイトのアクセス解析を行えません。

②ユーザーがページを見ると情報が記録される

ページにユーザーからのアクセスがあれば、管理者がページに埋め込んだトラッキングコードがユーザーのブラウザを読み込み、ユーザーのCookieがGoogleアナリティクス(UA)上に保存されます。Cookieとは、Webサイト上のアクセス情報を記録するファイルのことで、ユーザーの「初回アクセス」と「2回目以降のアクセス」の判別などに使用されます。
データを取得できるのは一度だけでなく、ユーザーがページにアクセスする度に情報が記録され、Googleアナリティクス(UA)のサーバーに送信されます。

③サーバーにユーザーのアクセス情報が蓄積される

Googleアナリティクス(UA)のサーバーに送信されたアクセス情報は、対象となるオウンドメディア専用のクラウド上に蓄積されていきます。蓄積されたデータの保持期間は設定でき、最長で26カ月間保持できます2)

④計測データをもとにアクセス解析のレポートが作成される

Googleアナリティクス(UA)に蓄積されたデータは処理され、分析結果が管理画面のレポートに反映されます。レポートには、ユーザーやページビュー数、直帰率などが記載されます。
また、カスタムレポートを設定することで、デフォルトで解析される指標を一部非表示にするなど、計測したい指標をカスタマイズできます。

Googleアナリティクス(UA)の基本機能5つと計測指標の仕組み

ユニバーサルアナリティクス(UA)とGA4では、計測指標の定義や名称が異なる場合があります。例えば、UAの「ページビュー数」が、GA4では「表示回数」と表記されます。
UAの基本機能5つの概要と計測指標について解説します。

1. ユーザー

Googleアナリティクスの「ユーザー」では、ユーザーのアクセスに関する情報を閲覧でき、主に「ユーザーサマリー」と「ユーザー属性」に分けられます。

ユーザーサマリーではアクセス解析の概要を閲覧可能で、具体的な指標としてはWebサイトへの総アクセス数やユーザー数、ページビュー数、平均セッション時間、直帰率などが挙げられます。また、ユーザー属性では、訪問者の年齢・男女比・地域や、スマートフォン・PC・タブレットのうちどの端末からのアクセス数が多いのかを把握できます。

Googleアナリティクスの「ユーザー」には、アクセス数や閲覧ページの数、閲覧時間などが網羅されています。過去のユーザーレポートと比較すれば、単純なアクセスユーザー数の増減や、ユーザー層の変化などを分析できます。

2. 集客

Googleアナリティクスの「集客」では、ユーザーがページに訪れた際の流入元を閲覧できます。具体的にチェックできる流入元として、GoogleやYahooなどの検索エンジンや、リスティング・ディスプレイ広告、SNS、外部サイトなどが挙げられます。

検索エンジン、広告、SNSなど、Webサイトに訪れるユーザーの流入元はさまざまです。Googleアナリティクスの集客レポートで流入元と訪問ユーザー数を把握できれば、「どのような手段で広告するのが効果的か」などの判断材料となります。

3. 行動

Googleアナリティクスの「行動」では、主にWebサイト内におけるユーザーの動きを分析できます。具体的には、各ページのアクセス数やランディングページなどのチェックが可能です。
ユーザーのアクセス数の多いページから順に並べられるため、「最も閲覧数の多いページ」や「興味・関心を集められるコンテンツ」の把握につながります。

ランディングページとは対象となるオウンドメディアにおいて、ユーザーが最初に開いたページを指します。ランディングページのセッション数が多いと、そのページがオウンドメディアの入り口として機能を果たしている可能性が高いため、「該当ページを起点に他のページへ誘導するリンクを設置すれば良い」といった施策の方向性を定められます。

4. コンバージョン

Googleアナリティクスの「コンバージョン」では、自社の目標や成果となるユーザー行動(コンバージョン)の発生数や割合を確認できます。目標として設定されるコンバージョンは、資材ダウンロード請求、医療従事者からの問い合わせなど、製薬企業各社によってさまざまです。

具体的にレポートでチェックできる機能は、コンバージョン数やコンバージョン率(CVR)が挙げられます。Webサイトのコンバージョン測定を行うことで、各オウンドメディア上で医師や患者などターゲットが興味を持つコンテンツを把握できます。
コンバージョン率の高い検索キーワードやランディングページを発見し、コンテンツの強みを伸ばすことで、効率良く自社サイトのコンバージョン増加につなげられます。

5. リアルタイム

Googleアナリティクスの「リアルタイム」では、現在における自社サイトの全体や各ページのアクセス情報を閲覧できます。具体的には、ユーザー数や流入元、コンバージョンなどの指標をリアルタイムで観測することが可能です。

リアルタイムのレポートを利用すれば、SNSアカウントでの情報発信や自社サービスのプロモーション直後、ページビュー数、コンバージョンなどを分析できます。

Googleアナリティクス(UA)の具体的な設定方法

Googleアナリティクス(UA)の設定は、以下の3手順で行います。

手順1. Googleアカウントにログインする

Googleアナリティクスを利用するためには、Googleアカウントが必要です。Googleアカウントの登録が済んでいない場合はアカウント作成を行います。

手順2. Googleアナリティクスの登録を行う

Googleアカウントにログインできたら、Googleアナリティクスの登録を行います。Googleアナリティクスのアカウント作成手順は、以下の通りです。

  1. Google アナリティクスの「測定を開始」からアカウント名などの必要事項を入力する
  2. URLを入力し、UAとGA4のプロパティを作成する
  3. ビジネスの概要を入力し、利用規約の同意して登録完了

プロパティ設定では、UAとGA4の片方のみの作成か両方の同時作成を選択できます。

手順3. トラッキングコードをサイトに埋め込む

Googleアナリティクスのアカウント作成が完了したら、トラッキングコードを取得し、対象となるオウンドメディアのへ埋め込みましょう。オウンドメディアのHTMLにコードを直接貼り付けるほか、CMSがWordPressであればテーマヘッダーのPHPへコードを貼り付けるなどの方法でトラッキングコードを埋め込みます。

Googleアナリティクス(UA)の仕組みを理解し製薬マーケティングに活かす

Googleアナリティクスで得られるユーザーの行動データは、オウンドメディアから得られる価値あるデータの1つです。データに基づいた製薬マーケティングの施策を立案するためにも、基本機能や計測指標の意味を正確に理解しておくことが大切です。
旧型のGoogleアナリティクス(UA)を導入している製薬企業は、計測の仕組みや各指標がどのようなデータを示しているのかを理解し、医療従事者向け、患者向けオウンドメディアの改善に役立ててください。

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<出典>※URL最終閲覧日 2022.12.20
1)アナリティクスヘルプ, 2022.10.27, ユニバーサル アナリティクスのサポートは終了します(https://support.google.com/analytics/answer/11583528
2)アナリティクスヘルプ, データの保持(https://support.google.com/analytics/answer/7667196