セミナーレポート/医師の日常にリーチできる第4のチャネル モノリスの紹介

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製薬業界でデジタルマーケティングを進める上で課題となるのが、個人情報や薬機法をいかにクリアにするか。その問題を解決できるのが、cookieやIPアドレスを使わない独自のAI技術を用い、医療業界に特化したデジタルマーケティングサービス「モノリス」です。2021年4月に開催された、同サービスの開発会社SQREEM Technologies Japanの吉岡ユージン氏・中野清隆氏・西村由貴子氏による講演を紹介します。

SQREEM Technologies Japanについて

「More Human」をビジョンに掲げ、人々の生活を豊かにするためAI技術を開発するSQREEM Technologies Japan(以下、SQREEM)。シンガポールに本社を持ち、グローバルに展開するSQREEMですが、海外ではすでにテロリストの特定やマネーロンダリングの発見など、業界問わず事業を展開しています。日本国内でも、楽天とデジタルマーケティングのJVを設立したり、TISとエンタープライズ向けソリューションとしてデータの利活用のプラットを開発したりと幅広く活躍しています。

事業のコアとなるのは、行動パターンに特化した次世代AI技術です。スマートフォンやタブレットでネット検索やアプリ利用するとデジタル上に足跡が残りますが、その足跡を拾い足跡同士の関係性を見出し、分析を実施します。「他の分析ツールとは異なるSQREEM AIの最大の特徴は、オープンデータから独自のデータベースを構築しており、クライアントのデータを必要としないこと」と吉岡氏は説明します。さらにこのデータベースはcookieやIPアドレスなどの個人情報を含まないため、GDPR(EUの個人情報保護の法律)にも遵守する情報分析技術です。

SQREEM AIについて

SQREEM AIのデータソースは、次の2つです。

  • 170社以上のAPIパートナーを通じて得られる統計学上のデータ
    :Googleトレンドで過去2年に検索された時系列の情報・Facebookで興味関心が高いものの情報など
  • オープンデータ
    :コンテンツ情報・各WEBサイト記載情報など

この2種類のデータソースを結びつけ分析します。医師を特定するために、従来であればログインIDやクッキーなどが使用されてきました。SQREEM AIでは、学会やサードパーティー、ジャーナルなどの足跡から、プロバビリティーベースに医師の特定(専門や興味関心)を行います。

さらに、社内のターゲットリストと紐づけすることもシステムとしては可能です。実際に楽天IDとオープンデータの融合やTISではファーストパーティーとオープンデータの融合が行われています。
※ターゲットリストとの紐付けに関しては、システム要件の確認が必要となります。

薬機法を遵守した医師の日常にリーチできる第4のチャネル

セミナーでは、SQREEM AIを用いた第4のチャネルである「モノリス」を西村氏が紹介しました。

COVID-19の影響により、MRによる医師との直接面談頻度は減少しています。それに伴い医師が情報収集の手段にデジタルを活用する機会が顕著に増え、製薬業界のプロモーション戦略は、デジタルコミュニケーションが主流となりつつあります。以前は面談場所や時間などコミュニケーションに制限がありましたが、デジタル化が進む中で、場所や時間にとらわれないコミュニケーションが可能となりました。しかし、これまでMRが担ってきた医師のニーズを把握するといった情報収集をいかに行うかが課題ともなっています。その問題を解決できるのが、医療業界に特化したデジタルマーケティングサービス「モノリス」です。

モノリスでは、プロファイリングサービスである「デジプロ」、コミュニケーションチャネルサービスである「スマートプロ」と「デュアルトーク」の大きく分けて3つのサービスを展開。今回のセミナーでは、デジプロとスマートプロについて詳しく紹介しました。

monolithについて概要一覧

デジプロ

デジタル上の情報量は2000年から2020年で6,500倍と飛躍的に増加しており、顧客を理解するための情報もデジタル上に溢れていると言えます。またメディア総接触時間を見ると、テレビ・ラジオ・新聞といったメディアからパソコン・タブレット端末・スマートフォンへとシフト。企業から発信される情報を受け取る形から、ユーザーが自ら必要な情報を取りに行く形へと変わってきており、溢れる情報の中でユーザーの関心に留まる情報発信を行うことが重要な時代となっています。

APIパートナーのデータやオープンデータ上の30億人の行動パターンを分析し、医師や患者の関心や特性、行動の背景にあるインサイトを理解する顧客分析サービスである「デジプロ」。製薬企業が行うマーケットリサーチとの違いは?と疑問に感じるかもしれませんが、デジプロには次のような大きな特徴があるそうです。

  • 過去数年分のデジタル上の行動が分析対象であり、情報量が多い
  • 個人情報に触れない
  • 異なる属性の同時分析や比較分析ができる
  • 行動の背景にある潜在的なニーズを分析できる

スマートプロ

製薬企業の製品プロモーションでは、オウンドサイトやサードパーティも使用されます。医薬品という専門性を要する製品を扱うため、一般消費者向けのCMやバナー広告ではプロモーションは難しいのが現状です。その問題をクリアにし、医師をターゲットとしたバナー広告を打てるサービスが「スマートプロ」です。
スマートプロでは、

  1. AIにより医師をターゲティングして配信
  2. バナー上で医療従事者であることを確認

と2段階の認証を実施しています。医療従事者以外への広告配信を防ぎ、薬機法に抵触することなくバナー広告でのプロモーションができる魅力あるサービスです。「薬機法問題については、保健局に確認し、問題ないと審査結果を得ている。各社の社内審査をクリアできれば、問題なく導入できるサービスである」と吉岡氏は話します。

「スマートプロは、医師の日常のデジタルライフにメッセージを届け、医師と製薬・医療機器メーカーを繋ぐ、第4のメディカルチャネルである」と西村氏。既存のチャネルとスマートプロの違いは、「リーチできる機会の多さ」と「カバーできる医師の範囲」にあります。たとえば、サードパーティーでリーチができるタイミングは、メール開封時やサードパーティーのサイト閲覧時などが該当します。一方スマートプロでは、医師がデジタル上にいる時間、つまりネット検索やアプリ使用などの時間すべてがリーチできるタイミングとなるのです。また、通常は会員登録を要しますが、スマートプロはデジタル上にいる医師すべてが対象と、ほぼすべての医師をカバーできます。

セミナー内では、スマートプロのデモンストレーションを実施。ロングバージョンとショートバージョンの2種類のバナー広告を紹介しました。(下図参照)

スマートプロによるバナーの紹介

デジタル行動から医師を理解する「デジプロ」、日常のデジタルライフの中で医師とコミュニケーションする「スマートプロ」。これらを用いることで、質と量を兼ね備えたデジタルコミュニケーションが実現できそうです。

ここで懸念となる「どういったサイトに掲載されるのか」について、吉岡氏は「どのサイトに掲載されるか分からないが、ターゲティングでマッチするサイトに掲載される。ブラックリストを作成するので、掲載したくないカテゴリーを事前に設定することができる」と話します。

モノリスを活用した、医師・患者さん向けの事例紹介

SQREEM AIは、次のようなケースで活用できます。

  1. ターゲットの選定
  2. ターゲットのペルソナ構築
  3. 興味因子の把握
  4. 最適なコミュニケーションデザイン
  5. 最適な接触ポイントの選定
  6. 効率的な誘導

ターゲット選定に関しては、医師や患者さんの行動ベースでのセグメンテーションが可能です。たとえば抗うつ薬のプロモーションの場合、心療内科や精神科といった標榜科に限らず、うつに関心のある医師をターゲットとできます。また薬剤の処方意向では、バイオへの関心の有無で抽出するなど、従来とは違う切り口での選定も行えます。

これらのケースを模式図にしたものを下図に示します。
流れは、Analyze(リサーチ内容の決定)・Concept(仮説と戦略の立案)・Planning&Development(コンテンツの設計開発)・Traffic(広告配信)・Evaluation(評価)です。

SQREEMの支援フロー

モノリスの活用機会は、Analyze(リサーチ内容の決定)での「デジプロ」、Traffic(広告配信)での「スマートプロ」と「デュアルトーク」、Evaluation(評価)での「デジプロ」になります。

デジタルプロファイリングのスコアをもとに施策をブラッシュアップ

セミナーでは、呼吸器領域での患者さんを対象とした外資系企業のプロジェクト事例についても紹介されました。

最終的な患者さん向けメッセージはどんなものがよいか、既存オウンドサイトのコンテンツ拡張はどのようにするかなどをデジタルプロファイリングすることから開始します。デジプロによって、「博物館や美術館に行きたいけど、咳が気になり行けない」「趣味(特に園芸が多い)ができない」というスコアが高いことが判明しました。そこからバナー広告のメッセージに「博物館・美術館観賞に関する事」と入れたり、バナー広告のイラストを趣味の園芸シーンにしたりと施策に工夫ができるようになります。オウンドサイト内コンテンツも、デジプロの結果を踏まえ、ブラッシュアップされています。

SQREEM活用フローと例

モノリス導入のスケジュールは、デジプロでは6~8週間、スマートプロでは2~3週間です。スマートプロ導入での社内議論に要する時間によって所要期間は変動します。

スマートプロの日本国内でのリリース開始は2020年秋のため、国内導入企業は2021年4月現在で5社ほど。今後さらなる拡大が期待できそうです。


本セミナーで紹介しましたSQREEM Technologies Japanのサービスおよびデジタルマーケティングサービス「モノリス」について、ご質問やご相談がございましたら、お気軽に下記フォームよりお問い合わせください。