米国では、医療関連のオンラインアプリケーションを含む患者向けポータルサイトは様々なサービスの形をなして提供されています。
そして、そのユーザビリティの調査研究は進んでいたものの、患者向けポータルサイトが患者の治療結果にどのように影響を与えているのかに関する調査研究は行われてきませんでした。
その分野における初めての研究として、フロリダ州ジャクソンビルのメイヨークリニックによる、患者向けポータルサイトが患者の入院成績にどのように影響を与えているのかの研究結果がアメリカ医学情報学ジャーナル誌で発表され、注目を集めました。
患者向けポータルサイトの効果
メイヨークリニックの研究によると、患者が患者向けのポータルサイトを利用した層と利用しなかった層で比較すると、再入院率や入院死亡率などに差異が見られず、現時点で入院成績にほとんど影響を与えない可能性が高いことがわかりました。
しかし、これは患者向けポータルサイトに価値が無いことを意味するのではありません。
患者向けポータルサイトの価値
メイヨークリニックは、同時に患者向けポータルサイトに登録した患者が全体の44%であり、入院中にアクセスしたのはその中の20.8%に過ぎないことも併せて発表しています。これは、そもそも利用率が低いことを意味しています。
患者向けポータルサイトは、急性疾患ではなく慢性疾患を管理する患者により高い価値を提供すべくサービス設計がされています。
そして複数のデバイスを利用できることや、患者向けの教育コンテンツ、治療で医師が記載したメモへのリアルタイムアクセスなど、利用可能なサービスが複合的に絡み合い、結果として患者の治療に良い結果をもたらすことが想定されています。
患者向けポータルサイトの利用を増やすため
患者向けポータルの使用が治療の成果を向上させることができるかどうかを判断するための第一歩は、患者が患者向けポータルサイトに接するタイミングを増やし、患者の健康管理に積極的に利用できる入院患者特有のサービスを設計することによって、患者がサービスを採用し、利用頻度を増やすことにあります。
また、今回の研究で、患者の多くが、患者向けポータルサイト上に記載されている自身の検査結果を閲覧していることも明らかになりました。
今後は入院患者の利用と経験・知識を増やすという点に焦点を当て、よりよい治療結果につながるようにサービスを提供していくことが望まれています。
ニュース元:FierceHealthcare
https://www.fiercehealthcare.com/mobile/patient-portal-study-outcomes-mortality-readmissions-mayo-clinic