化学療法、手術、放射線療法は、過去数十年に渡ってがん治療の主流でした。しかし、ここ数年で免疫療法が導入され、がん治療のあり方は変わろうとしています。
免疫療法を選択して利用するにあたっては、正確な使用方法や役割を患者自身が学び、その上で医師と話をして治療法を選択する必要があるなど、いくつかのハードルが存在しています。
実際、患者は免疫療法への知識と認識が大きく不足していると考えられています。
広告を使っての患者教育の例
ブリストル・マイヤーズスクイブのオプジーボは、肺がんにおける免疫療法の著名な薬剤の一つです。
アメリカにおけるオプジーボの広告活動は、TVCMと印刷物の配布が中心となっています。
広告で強調されているのは、オプジーボは免疫療法であって化学療法とは異なること、そして、新たな治療法であるにもかかわらず、既に4万人の患者がオプジーボで治療され、広く使用されていること、の2点です。
これは、患者やその家族に化学療法以外の選択肢があることを知らせ、教育することを目的としています。
また、Ready. Raise. Rise.というキャンペーンも同時に進行しています。
これは、免疫療法に関して患者に教育するための専用のウェブサイトです。
ここでは著名な俳優の家族に起こったがんの話を共有し、免疫療法の仕組みについての説明などが行われています。
ここで重要なことは、広告を通じて患者を適切に教育するという目的を持って活動が行われていることです。
広告と教育の関係
通常広告というと、メリットを大きくアピールすることが常でした。
しかし、オプジーボの例は、免疫療法に関して正しく理解してもらうこと、既存で知名度の高い化学療法とは違っていることを理解してもらうこと、既に広く使われ始めていることを知ってもらうこと、の3点を患者に教育するために広告を利用しています。
これらは、マーケティングと教育の両方の意味を持って活動されており、DTC(Direct To Consumer)と呼ばれている活動の一環となっています。
今回の場合、免疫療法は新しい治療法であるためDTCという視点が大きな意味を持っていますが、医療業界で幅広く転用可能な方法でもありそうです。
ニュース元:MEDICAL MARKETING & MEDIA
http://www.mmm-online.com/campaigns/standing-out-in-crowded-cancer-market/article/671263/