医師とつながるチャネル「LINE WORKS」の製薬マーケティング活用法【中外製薬事例/実践編】

「LINE WORKS」は、資材発注やチーム医療のオンラインワークショップ、副作用情報をいち早く収集できた事例など、医療関係者とのタッチポイント(面談機会)の拡大以外にも、様々な導入効果がありました。導入編に引き続き、中外製薬株式会社カスタマーソリューション部長の嶋内氏と、ワークスモバイルジャパン株式会社の青木氏と嶋口氏に、「LINE WORKS」の導入効果と製薬マーケティングで活用するためのポイントをお聞きしました。

 「LINE WORKS」をWeb講演会の案内などの情報提供、資材発注にも活用

―医療関係者とのコミュニケーションにおいてどのようなシーンで「LINE WORKS」を活用されていますか

<中外製薬株式会社 嶋内 隆人氏(以下、嶋内氏)>「LINE WORKS」の導入目的は、お話した通り、医療関係者とのタッチポイントの拡大でした。

中外製薬では、「LINE WORKS」にご登録いただいた医療関係者に、アポイントの申し込みはもちろん、オンラインの面談予約やWeb講演会の案内、自社医薬品情報の提供などを行っています。
多忙な先生からは、アポイントやオンライン面談の予約や変更を、手元のスマホで確認し、返信ができると好評です。特に、緊急のオペやカンファレンスなどが入って時間を変更したい時にも、その場ですぐに返信してくださるので、MRもきちんと対応ができます。こうした返信は、医局やご自身のデスクに設置しているPCのメールでは、中々うまくいきません。

先生方にニーズの高いWeb講演会の案内チラシ等は、添付ファイルとしてPDFなどを貼り付けて送ることで、簡単にできます。また、メッセージを読んだ時点で既読のサインが出るので、その後のフォローもできます。

製品パンフレットや指導箋などの資材の発注も、「LINE WORKS」で簡単にできると好評です。スマホのカメラを使って資材の写真を撮り、その画像データを添付で貼って、「これを何部送ってください」とチャットで連絡いただければ、資材の発注ができるからです。これも導入前は、PCを立ち上げてメールで行うのが多かったのですが、気軽にできるようになったことで、より多くのリクエストを頂くようになりました。

中外製薬株式会社ではアポイント取得のほか、資材発注などにもLINE WORKSを活用/LINE WORKS公式サイトより(https://line.worksmobile.com/jp/pr/20200901/

チーム医療に関するオンラインワークショップの運営にも

―中外製薬が力を入れているチーム医療では、「LINE WORKS」を、どのように活用されていますか

<嶋内氏>チーム医療というのは、医師、看護師、薬剤師、そしてソーシャルワーカーなど様々なプロフェッショナルがそれぞれの専門性を生かして連携し、的確な治療やケアを行うもので、患者さんを中心に据えた医療のあり方の一つです。このチーム医療を推進し、医療関係者間のコミュニケーションを円滑にするために、中外製薬では長年、全国各地でワークショップを行っています。しかし、コロナ禍ということで、フェイスtoフェイスのワークショップの開催が難しくなったため、オンラインでワークショップ、ブレイクアウトセッションを行っています。

このブレイクアウトセッションでは、PCの操作を含め、当日の進行状況の調整から、終わった後の参加者全員の情報共有まで、「LINE WORKS」でサポートしています。また、進行が遅れたり、欠席者の関係でグループ分けが変更された時は、リアルタイムで情報を共有する必要があります。その際にも「LINE WORKS」を活用しています。

このブレイクアウトセッションでは、PCをお持ちでない看護師にPCの貸し出しをすることもあるのですが、このPCの操作サポートにも「LINE WORKS」を活用しています。看護師の大半は、「LINE」を利用していますので、「LINE WORKS」は全く違和感なく使いこなせます。PCがつながらない、音が出ないなどのレスキューのリクエストがきっかけとなって、看護師や薬剤師など、医師以外の医療関係者にも、「LINE WORKS」が活用されるケースが増えています。

第一報を受信し、副作用マネジメントにも有効

―いつでもどこでもアクセス可能、という「LINE WORKS」の特性を生かした活用例をお聞かせください

<嶋内氏>製薬企業の社会的使命は、薬の適正使用を推進することです。この中で重要な一角を占めるのが、副作用マネジメントです。ちょっとした相談や副作用の兆しとなるような第一報を受信したり、もしくは留意事項をこちらから連絡する際にも「LINE WORKS」を活用しています。「何回目の投与なので、このような副作用が出る可能性があります。ウォッチしてくださいね」や「この薬の副作用として関係するところを教えてください」といった、これまでは立ち話などでできた副作用マネジメントを、「LINE WORKS」が代用します。また、食事中や休憩中など、どこでも思いついたら発信や相談ができる利便性も、高く評価されています。

こうした副作用に関する情報や注意喚起を事前に得ていると、先生方も安心して患者さんに投与できます。薬の適正使用を守る上でのコミュニケーションにおいても、「LINE WORKS」は欠かせない存在になっています。

製薬企業においても「LINE WORKS」はコミュニケーションツールとして有効活用できる

―「CHUGAI DIGITAL VISION 2030」での「LINE WORKS」の役割・位置づけをお聞かせください

<嶋内氏>中外製薬では、2030年を見据えた「CHUGAI DIGITAL VISION 2030」を掲げ、デジタル技術によって中外製薬のビジネスを革新し、社会を変えるヘルスケアソリューションを提供するトップイノベーターになることを目指しています。当社がDXで最も注力しているのは、創薬技術です。デジタルでAIを活用する創薬技術の構築を進めています。マーケティング分野では、会員制オウンドメディアとして、医療関係者向け情報ウェブサイト「PLUS CHUGAI」を運営しています。

「LINE WORKS」は、医療関係者とのタッチポイントを増やすDXとして導入したものですが、「PLUS CHUGAI」の会員登録推進はもちろん、「PLUS CHUGAI」を含めた年間400本近く配信しているWeb講演会のご案内、ご参加の確認などにも活用しています。今後は、もっと有効活用できる可能性を模索していきたいと考えています。

スマホとPCの役割分担で「タッチポイント」のさらなる拡大を

―今後、「LINE WORKS」のどのような活用方法を想定していますか

<嶋内氏>スマホファーストの「LINE WORKS」とPC系オンライン面談や会議ツールでは役割が違います。気軽に、どこでもいつでもアクセスができるのが、スマホファーストの「LINE WORKS」です。しかし、本格的な面談や会議、ワークショップには、やはりPC系のZoomやTeamsの方が向いています。これは、医療関係者の方も感じていらっしゃることです。医局やご自分のデスクでないとアクセスができないPCと、いつでもどこでも自由に、気軽にアクセスできるスマホでは、明確に役割が違います。MRと医療関係者のコミュニケーションの入り口に、「LINE WORKS」は欠かせないツールといえるでしょう。

<青木氏>例えば、アパレルや不動産系では、「LINE WORKS」で行われているチャットの内容を分析して、CRMと連携させることで、どの販売員がどのお客様(LINEユーザー)とつながっていて、チャットで送ったコンテンツや文章が成約にどれだけ貢献しているかという相関分析を行っています。分析結果から効果的なコンテンツや文章を明らかにし、営業におけるPDCAサイクルの改善活動につなげることなどが、すでに今、市場の姿のひとつとして出現しています。

<嶋口氏>しかし、「LINE WORKS」のアカウントは、「LINE」とは違って、基本的に個人を特定できるような電話番号などと紐づいているわけではありません。他のデータと連携させるには、別のサービスを付加するなどひと工夫する必要があると思います。SalesforceなどのMAツールと連携している企業では、アカウントと他のデータと連携させるために、ユーザー情報を一元管理するシステムを新たに開発して導入されているようです。

<嶋内氏>最近のアップデートで、「LINE WORKS」もZoomやTeamsと同じように、招待されたゲストも「LINE WORKS」アプリをインストールするだけでオンライン面談や会議ができる機能が付加されたと聞きました。今後は、簡単な打ち合わせや相談であれば、スマホやタブレットでも可能になるかもしれません。

2021年9月のアップデートでゲストを招いてのビデオ通話も可能に/LINE WORKS公式サイトより(https://line.worksmobile.com/jp/pr/20210909/

コロナ禍の中で導入したこともあり、「LINE WORKS」をお使いいただいている医療関係者は、まだまだ一部に過ぎません。引き続きMRからのご案内を推進し、タッチポイントを拡大して、いつでもどこでも、気軽にコミュニケーションができる関係性を広げていきたいと考えています。


<取材協力>

中外製薬株式会社
カスタマーソリューション部長 
嶋内 隆人 氏

ワークスモバイルジャパン株式会社
青木 由佳 氏

ワークスモバイルジャパン株式会社
嶋口 愛子 氏