医師との関係強化に!医療従事者に読まれるメルマガの運用・作成のポイント

医療従事者に対する情報提供や関係構築のために、メールマガジンを活用している製薬企業は多いと思います。しかし、実際に効果が出ている企業は多くないのが実情ではないでしょうか。そこで本記事では、Eメールマーケティングで豊富な実績を持つ株式会社ディレクタスに、メールマガジンの基本から運用・作成のポイント、今後の可能性などを伺いました。
※ディレクタス社にはメールインタビューを実施。その内容をもとに記事を作成しています。

メールマガジンの特徴は、「プッシュ型」「One-to-One」「オウンドメディア」

メールマガジン(以下、メルマガ)を使ったマーケティング活動は、今ではB to B、B to Cを問わずあらゆる業界で必須となっており、製薬業界も例外ではありません。メルマガと一言でいってもその手法・内容は多種多様ですが、ディレクタス社の渡辺氏は特徴を次のように説明します。

「メルマガには、大きく3つの特徴があります。1つ目は、『プッシュ型』です。発信側のタイミングで、相手(お客さまやユーザー)に情報を発信することができます。2つ目は、『One-to-One』です。配信ツールを活用すれば、受信者一人ひとりに合った情報を個別に届けることが可能です。例えば、受信者の居住地や職種によって内容を出し分けたり、情報を差し込んだりすることができます。3つ目は、『オウンドメディア(自社メディア)』であることです。メルマガは、SNSなどと違って媒体社に依存することがありません。そのため送信料の発生もなく利用できます」。

これら3つの特徴を兼ね備えているツールはほとんど存在しないため(しいていえば自社アプリぐらい)、メルマガ独自の強みといえます。

また、そのような特徴を持つメルマガは、活用方法として大きく次の4つの型に分けることができ、いずれかに当てはまればどの業界・商材でも向いていると言います。

  • EC型:既存顧客への販売(すべての通信販売)
  • CRM型:既存顧客との関係構築(航空、小売りなど)
  • ブランディング型:顧客や見込み客のファン化(食品・飲料など)
  • リードナーチャリング型:見込み客への販売促進(B to B、自動車など)

製薬企業が行う医療従事者に対するメルマガは、主に「CRM型」に該当します。先述した特徴(特にOne-to-One)も踏まえると、メルマガは医療従事者との関係構築に非常に有効なツールであることがうかがえます。

医師の「知りたいこと」に応えるメールで関係を強化

メールマーケティングの手法の1つとして以前から知られるメルマガですが、最近の傾向では、MA※などによるOne-to-Oneメール配信が増加し成果も出ている、と渡辺氏は言います。
※マーケティング・オートメーション。マーケティング活動を自動化させ効率化を図る手法、またはそのためのツール。

「例えば、webサイトで商品詳細ページを見た人へのフォローメールのような、顧客の行動に応じたOne-to-Oneメールにより、開封率・クリック率・購入率などの反応も向上しています。また、従来のメルマガは『企業(発信者側)が伝えたいこと』がメインでしたが、今は『お客さまが知りたいこと』に重きを置きコミュニケーションを図ることが当たり前になりつつあります」。

成功事例としてファッションECの例を挙げ、こう続けます。「ファッションECでは、売上げの半分以上がメールから発生する事業者もあります。顧客を分類せずに送る一斉配信のメルマガは大量配信が続いて効果が低下していましたが、MAを導入して『かご落ちメール※』など顧客の行動に応じたOne-to-Oneメールを自動配信できるようになり、メールからの売上げが向上しました」。
※商品購入を検討したが、購入に至らずカートに商品を入れたままの状態のことを「かご落ち」といい、かご落ちしていることをリマインドするメールを「かご落ちメール」という。

医療従事者へのメルマガにも、同じことが言えます。ターゲットドクターが閲覧したコンテンツや閲覧時間などを分析して、関心のある情報・必要としている情報を把握し、それに関連したコンテンツを紹介するフォローメールを配信することで、開封率・クリック率に寄与するのはもちろん、企業への信頼感やメルマガへの満足感も高まるのではないでしょうか。

運用では、目的・成果指標を明確化し、共通認識を持つ

メルマガは単発の施策ではなく長期的に継続して行うマーケティング活動であるため、運用のポイントを押さえておくことも重要です。

「運用時には必ず目的や成果指標を明確にし、担当者全員が同じ認識を持ちPDCAを回していくことが大切だと思います。目的が明確であれば、誰に(ターゲット)、何を(効果的なシナリオやコンテンツ)発信すればよいのかも明確になっていきます。例えば、『目的:ブランディング』『成果指標:開封率・クリック率』『コンテンツ:お役立ちビジネス情報(読み物コンテンツ)』『ターゲット:30~40代のビジネスマン』と決まっているのであれば、配信時間については、『通勤時間帯が良いのではないか』、または『ターゲット層のサイト閲覧時刻の山は20時だからその少し前に配信をした方が良いのではないか』といった仮設も立てやすくなります」と渡辺氏。

効果検証についても同様で、成果指標に沿って結果を追い、結果が悪かったら何を見直すべきなのか、また次の打ち手は何なのかなど、適切にPDCAを回していくことが大切だと言います。

件名は「自分事化」、本文は「読みやすさ」がポイント

これまでの内容を理解・実践してメルマガを配信しても、そもそも開封されなければ意味がありません。当たり前のことですが、ここは非常に重要なポイントです。渡辺氏も次のように指摘します。

「メルマガはまず開封していただく必要がありますが、受信者は件名を読んで自分に関係があるか関心のある内容かを一瞬で判断し、開封またはゴミ箱へと振り分けます。人によっては判断した途端に迷惑メールに振り分けることもあるでしょう。一度ゴミ箱や迷惑メールに振り分けられると、次にメールを開封してもらうことはとても大変なことです」。

そして、件名作成のポイントを具体的に説明します。「例えば同じ商品を訴求する件名例で、『①睡眠のメカニズムを詳しく説明します。』と『②今晩からぐっすり眠れます。』の2パターンがあるとします。①②ともに、何について案内されているのか判断ができると思います。では、今実際に不眠で悩んでいる人はどちらの件名がより『自分に関係がある』と思うでしょうか。知りたいのは『今すぐぐっすり眠れる方法』であって『メカニズム(それも詳しく説明だなんて!こっちはただ眠りたい方法を簡単に知りたいだけ!)』ではないと思われます。逆に快眠の人や医療現場で働いている人は①の件名の方がコンテンツを読んでみたいと思われるかもしれません」。

また、せっかく開封されたメールの本文をしっかり読んでいただくためには、「読みやすさ」が重要であると言います。「概要が端的に分かり、メール冒頭に受信者が欲しいであろう情報を含めるなど工夫が必要です。最近はスマートフォンで読む人も多いので、テキストメールの場合は飾り罫が多すぎると読みづらいといったことも生じています。作成後にはPCとスマートフォンそれぞれで閲覧し、読みにくいところがないか確認した方が良いと思います」。

このように、メルマガを「開いて」「読んで」もらうためには、件名や本文を作成する際に、相手が何を求め、いつ、どういった状況で受け取るのか、というインサイトやシーンを受信者の視点で考えることが大切なのです。

今後は、高度なOne-to-Oneメールの時代へ

最後に、渡辺氏はメルマガの今後の可能性について次のように言います。「FacebookやLINEなどの登場によってメールはもう古いと言われた時期もありましたが、SNSが広告メディアの色彩を強めて使いにくくなり、One-to-Oneコミュニケーションの重要性が高まる中で、メールの活用が見直されています。今後は一斉配信のメルマガから、蓄積された顧客データに基づいて一人ひとりにパーソナライズされた内容を最適なタイミングで配信するような高度なOne-to-Oneメールへと活用の中心が移っていきます。そして、AIの技術で効果が見込まれるターゲットを自動的に抽出し、最適なコンテンツを自動的に選択して配信するようになっていくと考えられます(すでに一部ではそのような実験が始まっています)」。

製薬企業では医療従事者に面会すること自体が困難になっており、情報提供・関係構築の手段としてメルマガの活用はいっそう求められています。しかし、一方的に配信しても効果は期待できません。医療従事者はつねに忙しい状況で働いています。それらを十分に考慮し、新たな技術を活用して、真にパーソナライズされた情報を簡潔に継続的に提供することが大切です。

■取材協力
株式会社ディレクタス
https://directus.co.jp/

企業と顧客の強い結びつきを作るデータドリブンなクロスチャネルOne-to-Oneコミュニケーションの実行を支援。コミュニケーション戦略立案、マーケティングソリューションの導入・設計・運用、Eメールやコンテンツ企画・制作、各種ソリューションのオペレーション業務などを実施。
また、HTMLメールが簡単に作れるメールエディタ「Email Composer」を自社開発・提供している。
※Email Composer
https://directus.co.jp/product/emailcomposer/