アクセス解析とは?製薬オウンドメディア運営でも知っておきたいツールや改善策を紹介

オウンドメディア運用で欠かせない要素のひとつが、訪問ユーザーの行動分析やページごとのパフォーマンスを計測するためのアクセス解析です。製薬企業においても、アクセス解析を重ねて、自社サイトに関する現状把握を行わなければ、効果的な狙った効果は発揮できません。今回は、アクセス解析について、製薬企業のオウンドメディア担当者が知っておくべき基礎知識や、導入が推奨されるツールを紹介します。

オウンドメディアにおけるアクセス解析とは? 

オウンドメディア運用におけるアクセス解析は、主にユーザーの「行動データ」「属性データ」「技術環境データ」といったデータを分析する取り組みです。

こういったデータは日々アクセスログに蓄積されていきますので、データ分析を通して、自社サイトのパフォーマンスや訪問ユーザーの行動履歴を可視化できます。この際、さまざまなツールの併用も求められます。

アクセス解析でわかるデータの代表例としては、以下の通りです。

  • 訪問ユーザーの属性(性別、年齢、興味関心、地域など)
  • ユーザーの流入経路(検索、広告、外部リンクなど)
  • ユーザーが最初に訪れたページ
  • ユーザーが直帰したか否か
  • 閲覧率の高いページ
  • CV(コンバージョン)率が高い箇所
  • ユーザーが離脱したページ

製薬企業も運営Webサイトのアクセス解析が必要な理由

アクセル解析を行う理由として「自社サイトの現状把握」「施策の効果測定」による流入率やCV率の上昇を図ることが挙げられます。自社サイトを改善したい、あるいはリニューアルしたいと考えたとしても、まず現状把握ができていなければ「どのように改善するべきか」について、正しい戦略立案はできません。

オウンドメディア担当者は月間のPV数・セッション数などについては把握しているケースが多い一方で、サイトの訪れるユーザーの属性や行動についてまではカバーできていない場合も多々あります。オウンドメディアの運用では、アクセス解析を行い自社サイトの改善を重ねることが非常に大切で、これは製薬企業においても同様です。

製薬企業がアクセス解析を行う前の準備

アクセス解析を効果的に行うためには、「KPIの設定」「ツールの導入」「社内体制の構築」を行います。

施策ゴールとなるKPIの設定

まず、アクセス解析を行う前提として、自社サイトで実施する施策の目的を明確に設定する必要があります。例えば、製薬企業の場合、医師の処方意欲を高めることが運用目的であるケースも多いでしょう。

そういった自社サイトの運用目的をもとにして、アクセス解析の指針となる「KGI(Key Goal Indicator)」「KPI (Key Performance Indicators)」を設定します。KGIは施策における“最終ゴール”であり、KPIはそれを目指すための“小さなゴール”を意味します。KGI・KPIは、例えば「PV(ページ・ビュー)の獲得数」「問い合わせ数」のように、具体的に数値化できる目標を設定することが重要です。

アクセス解析に必要なツールを導入する

アクセス解析では、訪問ユーザー属性や行動などのデータを取得するために、それらを取得することに特化した外部ツールの導入も必要です。アクセス解析に求められるツールの用途は複数あり、それぞれの用途に応じた商品が数多く存在します。

一方で、ただ闇雲にツールを導入すればいいという訳ではありません。商品によって機能やコストパフォーマンスが大きく異なりますので、自社にとって必要な機能を洗い出し、適切なツールを導入することが大切です。

製薬企業のアクセス解析において、導入が効果的なツールについては後述します。

施策を実行する体制構築

アクセス解析は“ただデータを取得しただけ”で終わらすのではなく、そこから仮説を立て、改善を重ねるというPDCAを回さなければ、自社サイトの効果改善は望めません。

そのようなPDCAサイクルを高速で回すためには、自社内でアクセス解析を行う体制を整えられている必要があります。アクセス解析では実行部隊を編成し、日々数値を確認・記録し、データを記録することで変化を把握しなければなりません。

製薬企業のオウンドメディア担当者としては、アクセス解析を行うチームとどのように情報を共有し改善策に繋げるのかといった運用方法についても、あらかじめ策定しておくことが求められます。

オウンドメディアのアクセス解析で重要な指標

Webサイトのアクセス解析では、専門用語がいくつも使用されます。頻出する用語について、それぞれの意味を見ていきましょう。

1. PV(ページビュー)数

PV数は、ユーザーが自社サイトのページにアクセスした回数を表す数値です。ユーザーが各ページに訪問する度に「1PV」としてカウントされ、これは特定のユーザーが何度も同じページを往復したとしても蓄積されていきます。

PV数の多いページ(=閲覧数の多いページ)は、すなわち“ユーザーから人気のページ”と捉えることが可能です。

2. セッション数

ページ単位での訪問数を表すPV数に対して、セッション数はユーザーが“サイトに訪れた回数”を示します。ひとりのユーザーがサイトに訪れ、離脱するまでをまとめて「1セッション」として計測しますので、複数ページを何度も行き来しても数値は変動しません。

セッションの持続時間は最後にページが閲覧されてから30分されますので、ユーザーが離脱後30分経ってから再び訪問した場合は再度セッション数がカウントされます。なお、この持続時間については変更可能です。

さらに、セッションの持続時間が経過していなくても、日付やキャンペーンの切り替わりタイミングではセッション数が再びカウントされる場合もあります。

3. UU(ユニークユーザー)数

UUは、自社サイトへの訪問ユーザーの数を示す数値です。基本的には、同一のユーザーが何度サイトを訪れたとしても「1UU」としてカウントされますが、異なるブラウザや端末が使用されていた場合は、その限りではありません。

4. CV(コンバージョン)率

自社サイトに訪問したユーザーのうち、コンバージョンに至った回数を示す数値がCV率(CVR)です。CVの内容については、自社製品の購入や資料請求、メルマガ登録など、企業によって異なります。

5. 回遊率

回遊率を参照すれば、ユーザーが一度の訪問で、どのくらいのページを見て回ったのかについて知ることが可能です。回遊率は「PV数 ÷ セッション数」によって算出され、数値が低いページ「ユーザーが求める情報がない」「導線設計に問題がある」などが考えられます。

6. 離脱率

離脱率は、自社サイトから離れたユーザーについて見るための数値で「離脱したセッション数 ÷ 総PV数」で割り出します。“離脱”の定義については、他のサイトへ遷移したり、端末を閉じたりいった行動です。離脱率が高いページほどより改善すべき点が多いと言えるでしょう。

7. 直帰率

直帰率は「最初に訪問したページからそのまま離脱したユーザーの割合」を示す数値です。算出方法は「直帰したセッション数 ÷ 総セッション数」で、直帰率が高い場合は特に改善の余地があります。

アクセス解析で使用する主なツール

前述の通り、アクセス解析を行うためには専用ツールの併用が欠かせません。以下より、代表的なツールについて紹介します。

1. Googleアナリティクス

GoogleアナリティクスはGoogleが提供している無料ツールで、アクセス解析だけでなく、データ分析や他ツールとの連携機能を有しています。Googleアナリティクスでは非常に幅広いデータを取得できますので、製薬企業のアクセス解析においても必須ツールと言えるでしょう。

2. Googleサーチコンソール

Googleサーチコンソールも無料で利用可能なツールで、サイトへ訪問する前にユーザーが検索したキーワードや、特定キーワードにおけるページごとの検順位など、SEOに関する情報を得られます。

Googleサーチコンソールを使えば、自社のSEO施策の効果検証を行えますので、自然(オーガニック)検索からの流入獲得を図る疾患啓発サイトなどでは特に導入が推奨されます。

3. User Heat(ユーザー・ヒート)

User Heatは、月々決まったPV数までなら無料で使えるヒートマップツールです。ヒートマップとはWebサイト常におけるユーザーの行動を、サーモグラフィのような色分けで可視化するツールとなります。

ヒートマップを用いれば「ユーザーが特にどこを読んでいるのか」「クリック率の高いボタンはどれか」などの情報を得られます。

4. similar Web(シミラー・ウェブ)

similar Webは自社サイトと連携することで、自社が獲得しているトラフィックとエンゲージメント情報などのアクセス情報を、競合サイトと照らし合わせて参照できます。

さらにはeコマースや営業に役立つ機能も搭載されていますので、オウンドメディアの運用チームと他部門が連携した施策を行うケースでも役立つでしょう。 

アクセス解析で取得したデータをもとにした改善策例 

以上をふまえ、アクセス解析で得られたデータからどういった施策に繋げればいいのかについて、いくつか例示します。

1. 検索結果での順位が低い場合

例えば「肺炎予防 方法」などの対策キーワードについて、検索結果での順位が低いと判明した場合、当該コンテンツのリライトを図る必要があります。その際には検索上位サイトの掲載情報も参考にしたり、ヒートマップも活用してユーザーがより離脱しやすい箇所を割り出したりするとより効果的です。

2. CTRが低い場合

オウンドメディア運用ではページが狙ったキーワードで上位表示されているにも関わらず、CTR(=クリック率)が悪いケースでは、タイトルやメタディスクリプションを改善するなど、“より検索ユーザーの興味を引く”ための施策が求められます。

3. 直帰率が高い場合

直帰率が高いなら、「ユーザーがサイト内を回遊しづらい構造になっている」「求める情報が当該ページになかった」などの状況が想定されます。

前者の場合は、ページごとのレイアウトを改善したり、内部リンクを設置したりするのが有効です。後者なら、検索順位が低い場合と同様にコンテンツの改善を図ります。

4. CV率が悪い場合

CV率が悪かったと言っても、メルマガ登録や資料の請求など、ページごとに設定したコンバージョンによって、ケースバイケースで対応することが必要です。

例えば、資料をダウンロードするためのボタンを設置したページなら、ボタンのデザインを見直したり、アクションを促すための文言を追加したりといった施策が求められるでしょう。

アクセス解析でPDCAを回して施策の効果上昇を図る

製薬企業のオウンドメディア運用では、“コンテンツをただ作っただけ”で終わらせるのではなく、PDCAを回して施策の効果を向上させるためのアクセス解析が欠かせません。

各種ツールも併用して、サイトを訪れる医療従事者や患者さんの行動分析をしたり、自社サイトに不足している要素を可視化したりすることで、より良質で効果的な情報発信を行えるようになります。そうして“小さな成功”を積み重ねていけば、結果として自社サイトは売上に貢献するメディアに成長していくでしょう。