広告コピーにはキャッチコピーだけでなくいろいろな種類があり、役割も異なります。効果の高い広告を作るには、製薬企業の担当者もそれらの種類・役割を知っておくことが大切です。本記事では広告コピーの基本を解説します。
広告コピーの基本を知ることは、広告制作の質を高めること
キャッチコピー、リードコピー、ボディコピーなど、広告コピーにはいろいろな種類・役割があります。広告を発注する製薬企業の担当者も広告コピーの基本を知っておくことで、広告制作の打ち合わせ、修正依頼などの際の説明や情報提供がより正確にでき、意思疎通がスムーズになります。社内や制作会社と仕上がりイメージを具体的に共有できるようになり、チラシやパンフレットといった広告コンテンツや、Webサイト制作の質を高めることにもつながります。
知っておきたい9つの広告コピーの種類と役割
広告制作をするうえで知っておきたい9つの広告コピーを紹介します。
1. キャッチコピー
役割 ▼
広告コピーの中でも中心的な役割となる言葉。受け手の心をつかむ。
キャッチコピーは、広告コピーの中でも中心的な役割となる言葉で、キャッチフレーズ、メインコピーとも呼ばれます。広告を見てもらうためには一瞬で受け手に興味を持たせることが大切で、その役割を担うのがキャッチコピーです。“受け手の心をつかむ(キャッチする)”という意味で「キャッチコピー」と呼ばれています。
広告に素晴らしいことが書かれていてもスルーされたら意味がないため、読んでもらうための入り口であるキャッチコピーの役割は極めて重要です。
キャッチコピーには内容の正しさだけではなく、受け手に「自分に関係がある」「なんだろう」「もっと詳しく知りたい」「続きが気になる」と思わせることが求められます。キャッチコピーの文字数に決まりはありませんが、一瞬でつかむという理由から、あまり長い文(目安として20文字以上)はおすすめできません。
2. サブキャッチコピー
役割 ▼
キャッチコピーを補足する役割の言葉。キャッチコピーでは言い足りない内容を補う。
サブキャッチコピーは、キャッチコピーを補足する役割の言葉で、サブキャッチとも呼ばれます。
前述の通り、キャッチコピーは一瞬で受け手の心をつかむことが求められるため、長い言葉は適していません。そこで、キャッチコピーでは言い足りない内容を補うために、キャッチコピーの下や横などに置くのがサブキャッチコピーです。あくまでもキャッチコピーを補足する言葉であるため、内容が説明的でも、文字数が多少多くなっても問題ありません。ただし、サブキャッチコピーは必須の要素ではなく、キャッチコピーだけで十分な場合には省かれることもあります。
「キャッチコピーは魅力的だけど意図が伝わりにくい」といった場合に、キャッチコピーそのものを修正する以外の解決策のひとつとして、サブキャッチがあることを覚えておくとよいでしょう。
3. スローガン/タグライン
役割 ▼
企業のビジョンや理念などを端的に定義した言葉。長期的に使われる。
スローガンは、企業のビジョンや理念、製品やサービスがどのような価値を提供しているのかなどを端的に定義した言葉です。一般的には企業や製品のロゴマークのすぐ近くに置かれ、コーポレートスローガン、コーポレートメッセージ、ブランドメッセージ、タグラインなどと呼ばれます。
キャッチコピーと混同されることもありますが、キャッチコピーが同じ製品であっても広告の時期や内容によって変わるものであるのに対して、スローガンやタグラインはそれらに左右されることなく長期的に使われるという特徴があります。つまり、キャッチコピーは「いま、目の前のターゲットの心をつかむための言葉」で、スローガンやタグラインは「企業・製品・サービスの定義付けに特化した長く使用する言葉」といえます。
スローガンを考える際には、「数年後でもこの言葉はふさわしいか」といった長期的な視点を持つことが重要です。
4. リードコピー
役割 ▼
キャッチコピーとボディコピーをつなぐ役割の言葉。自然とボディコピーへと誘導する。
リードコピーは、キャッチコピーとボディコピーをつなぐ役割を持ちます。
キャッチコピーとボディコピーの間(ボディコピーの上)に置かれ、キャッチコピーを読んで製品やサービスに興味を持った受け手を自然とボディコピーへと誘導します。ボディコピーには広告で最も伝えたいことが書かれているため、リードコピーは広告コピーの中でもとくに重要な橋渡し役といえます。
内容としては、キャッチコピーやサブキャッチコピーを補足したり、ボディコピーを要約したりして、「もっと詳しく知りたい」と受け手の興味をかき立てるようにします。キャッチコピーよりは目立たせずに、ボディコピーよりは大きめの文字で記載するのが一般的です。ボディコピーが短かったり、誌面サイズが小さいときなどは省くこともありますが、効果的に使うことで受け手の離脱を防ぐことができます。
5. ボディコピー
役割 ▼
製品やサービスの詳細を伝える言葉。伝えたい内容を正しく理解してもらう。
ボディコピーは、製品やサービスの詳細を伝える言葉で、本文コピーや本文と呼ばれることもあります。キャッチコピー、サブキャッチコピー、リードコピーの次に読まれる文章で、伝えたい内容を正しく理解してもらう「読み物」としての役割があります。
とはいえ、だらだらと続く文章では最後まで読んでもらえません。ボディコピーを書く際にはなるべく無駄を省いて文字数を少なくすることが大切で、「同じ内容でもっと短くすることはできないか」と意識することがポイントです。伝えたい内容が多い場合には、箇条書きを取り入れたり、いくつかの段落に分けて見出しコピー(後述)を置いたりすることも有効です。
6. 見出しコピー
役割 ▼
ボディコピー内に置いて読解をサポートする言葉。受け手のストレスを軽減する。
見出しコピーは、ボディコピー内に置いて読解をサポートします。長文のボディコピーは「読むのが大変そう」「読みたくない」といった印象を与えがちです。そのような場合に、ボディコピーが内容ごとに段落分けされていて、それぞれの段落の冒頭に要約された言葉(=見出しコピー)があれば受け手のストレスを軽減することができます。
ボディコピーよりも目立つ文字(少し大きなサイズや太字)にするのが一般的です。ボディコピーの文字量が多い場合には、文字数を減らすことも大切ですが、見出しコピーを置いて長くても読みやすくするというテクニックも有効です。また、ボディコピーはすべて読まれることがあまりないため、各段落の見出しコピーだけを読んでもある程度ボディコピーの内容が伝わるようにしておくことが理想です。
7. マイクロコピー
役割 ▼
Webサイト上の問い合わせボタンやその周辺などに用いる短い言葉。クリック率や離脱率に影響を与える。
マイクロコピーは、Webサイト上の問い合わせボタンやその周辺などに用いる短い言葉です。受け手の行動を促すためのコピーで、クリック率や離脱率に影響を与えることが分かっています。
例えば、ボタンに「資料ダウンロード」と書いてあるよりも「無料で資料をダウンロードする」「3分で読める資料をダウンロードする」といったように受け手のベネフィット(受け手が受け取れる価値)が具体的に書いてある方がクリックされやすい傾向にあります。
マイクロコピーは軽視されやすく、「資料ダウンロード」のような当たり障りのない言葉が使われがちです。しかし、ほんの数文字を変えるだけで成果が大きく変わることもあるので、マイクロコピーの存在や役割を認識しておくことをおすすめします。
8. スペック
役割 ▼
製品やサービスの価格・機能・サイズなど、仕様を説明するための言葉。
スペックは、製品やサービスの価格・機能・サイズなど、仕様を説明するための言葉です。長々と書かずに事実を端的に書きます。箇条書きや表を活用するのもおすすめです。
9. キャプション
役割 ▼
写真やイラストなどを説明するための言葉。
キャプションは、写真やイラストなどを説明するための言葉です。画像についての補足や解説をすることが目的で、画像のすぐ近くに置きます。画像だけでは伝えられない内容や、伝えることでより価値が高まるような内容を簡潔に記載します。
広告コピーの基本をもとに最適な製薬プロモーションを
これらの広告コピーの種類・役割を知っておくことで、製薬マーケティング広告や患者向けプロモーションコンテンツの制作においても適切な広告コピーを検討できるようになります。「このキャッチコピーは魅力的だけど伝わりにくいから、この下にサブキャッチを入れよう」「このマイクロコピーは普通過ぎるからもう少し工夫してみよう」など、建設的な議論を通して、受け手に親しまれる広告を制作しましょう。
<参考>
・小霜和也, 宣伝会議, 2014,『ここらで広告コピーの本当の話をします。』
・山本琢磨, 秀和システム, 2017,『ザ・マイクロコピー』