医師向けメールマガジンを最適化するには?製薬企業のメルマガA/Bテストの方法

製薬企業から医師への情報提供チャネルのひとつに、オウンドメディアの会員などに向けたメールマガジンがあります。メールマガジンによる情報提供の精度を高め、メールマーケティングを成功させるためには、検証・分析を繰り返し、最適化が欠かせません。その検証・分析方法が、A/Bテストです。本記事では、A/Bテストで検証すべき項目や判断軸について解説します。

製薬企業におけるメールマーケティングの重要性

昨今、製薬業界でもデジタルマーケティングに注力する企業が増えてきており、メールマーケティングの重要性にも注目が集まっています。メルマガもそのひとつ。医療従事者向けの会員制オウンドメディアを持つ製薬企業の多くがメルマガ配信を実施しており、メルマガは顧客に向けた情報発信を行う手段として、非常に有効です。
一斉に情報発信ができるメルマガは、メールごとに開封率やクリック率といった数値の分析を行うことで、顧客がどういう情報に興味を持っているのかなどニーズを把握できます。

メールマーケティングにはメルマガのほか、セグメントメール、リターゲティングメールなどさまざまな方法があります。製薬企業で重視されるメールマーケティングの基本やその種類については、Medinew掲載の以下の記事よりご確認いただけます。

なぜ製薬企業でメールマーケティングが注目されるのか?メリットから改善のポイントまで解説

メールマガジンのA/Bテストで製薬メールマーケを成功させる

製薬企業が配信するメルマガの多くは、自社の医療従事者向けメディアに登録している医師の方々をターゲットとしています。
製薬企業によるメルマガ配信のゴールはいくつか考えられますが、そのひとつは、医師にメルマガを介してオウンドメディアに訪れてもらうことです。よって、開封される、クリックされるメルマガを配信するために、検証・分析を繰り返し、メルマガ配信日や時間、内容を最適化していく必要があります。

そこで、メルマガ最適化のための検証・分析方法として用いられるのが、A/Bテストです。
A/Bテストは、WEBマーケティングにおける検証方法のひとつです。Aパターン、Bパターンのメールを作成し、メルマガ配信の対象者をランダムでグループに分けABそれぞれのメルマガを送ります。開封率、クリック率においてどちらがより良い結果を出せるのかを検証します。

製薬企業のメールマガジンの最適化を図るA/Bテストの基本

A/Bテストは、開封率もしくはクリック率を指標として実施します。Aパターン、Bパターンの数値の差分から良い結果だった方を採用していくことで、メルマガを最適化していきます。

例えば、件名が異なるAパターン、Bパターンのメールを配信したとき、Aの方がBよりも20%開封率が高かったとすれば、Aの件名の方が良い結果であったことが分かります。しかし、この差分が2%しかなかったり、再度同じ条件でA/Bテストを実施したところ、Bの方が開封率が高くなったり…など、何をもってA/Bテストの結果を導き出すべきかが分からないことも多くあります。

A/Bテストの基本として、以下の点を意識することが大切です。

A/Bテストの結果が「誤差」であるかどうかを判断する

A/Bテストを実施すると、ABの差分数値が2%であったり、10%であったり、ABの結果が逆転したりと明確な結果が導き出せないことは多くあります。何度同じ条件でA/Bテストを実施しても結果がブレてしまう場合、そのA/Bテストの条件自体が開封率またはクリック率に「影響を与えない」と判断することとなります。

しかし、この数値が誤差ではなく、誤差の範囲外と考えられる意味のある差(有意差)であるかどうかを見極めなければなりません。数値が誤差か有意差かを判断するためには、基準となる数値を把握しておきます。そこで有効なのが、A/Aテストです。

2グループに対してメルマガを配信する場合、必ず開封率、クリック率に差分が生じます。A/Aテストでは、全く同じ条件で2グループに対してメルマガを配信します。すると、同条件であるにも関わらず、2グループの結果数値には差分が生じます。これを何度か繰り返すことで、2グループ間で生じる「誤差」の数値を把握できます。

A/Aテストの実施である程度1回のメルマガで生じる数値の差分(誤差)を把握したら、A/Bテストを実践します。
ただし、「これは有意差である」と判断できる結果が導き出せるまでには、何度も繰り返し同条件でのテストが必要となります。そのメルマガ配信数に決まりはなく、ほんの3~5回のテストで有意差が導かれる場合もあれば、10回以上のテスト実施が必要な場合も。もちろん、10回以上実施した結果、数値の差分が誤差の範囲内であった(=その条件は開封率/クリック率に影響を与えない)という結果になることもあります。

製薬業界におけるメルマガの正解はあるか?

各製薬企業が配信するメルマガの多くは、医療従事者に向けて配信されています。そのような点から、ある程度ターゲットに適した配信日や配信時間は限られてくるものの、一概に、医師向けメルマガの正解はこれ、という指標があるとは言えません。なぜなら、メルマガの内容が製薬企業ごとに違うのはもちろん、メルマガ会員である医師の年齢層や、研修医が多いのか臨床医が多いのか、など、製薬企業によって抱えている会員も異なるためです。
このような理由から、自社のメルマガの最適化を図るためには、実際に自社でA/Bテストを実施していく必要があります。

A/Bテストの基本については、以下の記事でも紹介しています。ぜひご覧ください。

なぜ製薬企業でメールマーケティングが注目されるのか?メリットから改善のポイントまで解説

製薬企業のメールマガジンで行うべきA/Bテストの項目

ここからは、実際に製薬企業がメルマガのA/Bテストを実施する際に検討すべき項目を、Medinewのメルマガで実施したA/Bテストの内容も交えて紹介します。

1. 「氏名の有無」でメールのパーソナライズ化

昨今、メルマガについてもパーソナライズ化が重要になりつつあります。「自分ごと」としてメールに興味を持ってもらうことで、メールの開封率やクリック率向上につながるとされています。パーソナライズ化のひとつの方法として、メールの件名や導入文に受信者の氏名の記載があります。

Medinewでは導入文に氏名あり/なしでA/Bテストを実施したところ、平均で約3%、氏名ありのパターンの方がクリック率が高くなることが分かりました。

多くの製薬企業がすでにメルマガに受信者の氏名を記載していると思いますが、再度A/Bテストを実施し、本当に開封率/クリック率に影響があるのかどうか、調べてみてはいかがでしょうか。

2. 目次の有無

メルマガの下部に掲載されているコンテンツがあまりクリックされていない場合、ユーザーに最後まで目を通してもらえていないかもしれません。特に画像などが多いHTMLメールでは、メルマガの最下部に到達するまで何度もスクロールが必要であり、ユーザーはメルマガを最後まで見ず、途中で離脱してしまう可能性も。メルマガのコンテンツを漏らさずに把握してもらうためには、メルマガ掲載のコンテンツをファーストビューで認識させる必要があります。

その方法として、ファーストビューに収まるようにコンテンツ情報をまとめた目次を挿入することもひとつです。
目次の挿入により、下部に掲載されているコンテンツのクリック率の向上が期待できます。

しかし、Medinewで目次挿入あり/なしでA/Bテストを実施したところ、A/Bでメール下部に置いた記事のクリック率に差はほぼありませんでした。これにより、Medinewのメルマガ読者の多くは目次がなくとも、メルマガをある程度スクロールしてくれていることが分かりました。

3. 画像のサイズや動き

HTMLメールを用いてメルマガ配信を行う場合には、画像が必要不可欠です。見やすさを考えて小さい画像を配置する、テキストと画像の配置する位置やバランスを変える、など、画像ひとつとっても、A/Bテストの項目は複数あります。

例えば、画像のサイズを大きくした場合にはインパクトを残せるものの、画像が画面を多く占めてしまうというデメリットも。画像以降の文章を見るためには、スクロールが必要になります。どのパターンが自社メルマガ会員に一番読まれるのか、クリック率を指標としながら、適切な画像サイズや配置場所を検証してみましょう。

また、GIF画像を用いることで、画像に動きが出て、クリック率の上昇も期待できます。ただし画像ファイルサイズが通常の画像よりは重たくなるため、読み込みに時間がかかるというデメリットも。GIF画像の使用あり、なしでのクリック率も検証してみてはいかがでしょうか。

4. 医師の情報収集時間に合わせて配信日時を設定

受信者の属性を考え、適した配信日、時間を検証することも大切です。
toBのメルマガの場合、ビジネスマンが多忙な月曜・金曜は開封率が下がる傾向にあるとも言われています。ですが、ターゲットが医師の場合はどうでしょうか。どの曜日、時間でメルマガを配信すると開封率が上がるかは、A/Bテストを通して検証するとよいでしょう。

メールマガジンによる医師への適切な情報提供にはA/Bテストが不可欠

本記事で紹介した以外にも、フォントサイズ、クリックボタンに表示させるワードやボタンのサイズ、掲載コンテンツの順番やメルマガ自体のボリュームなど、検証できる項目はいくつもあります。A/Bテストを始める際には、考えられる項目の洗い出しをし、順番にテストを実施しましょう。

自社のメルマガを最適化するためには、時間をかけてひとつずつA/Bテストを実施していく必要があります。メルマガが最適化されるということは、顧客が求める情報が適切にメールを通して届いていることを意味します。メルマガを顧客とのひとつのタッチポイントとして確立させるためにも、ぜひ、A/Bテストを実践してみてください。