MDMD2021レポート/コンテンツマーケティング 製品情報に直結しないオウンドメディアのコンテンツ制作の狙いとは?!

Medinewでは、医薬品デジタルマーケティングの新潮流や最新トレンドを展望するWebカンファレンス「Medinew Digital Marketing Day2021」を2021年9月に開催しました。本記事では、セミナー「コンテンツマーケティング 製品情報に直結しないオウンドメディアのコンテンツ制作の狙いとは?!」の講演内容をレポート化。大日本住友製薬株式会社の田中友幸氏を講師に迎えた本セッションでは、製薬企業のオウンドメディアのコンテンツ制作のヒントが紹介されました。

製品情報に直結しないコンテンツとは?

はじめに、製品情報に直結しないコンテンツについて、モデレーターを務めた医薬情報ネットの小川が解説しました。

興味関心や情報収集を目的とする潜在層向けコンテンツ

企業のオウンドメディアに掲載するコンテンツは、ユーザーの検討フェーズに合わせることが必要です。例えば、潜在層と顕在層では用意すべきコンテンツが大きく異なり、潜在層には接点作りを目的とした幅広い内容のコンテンツ、顕在層には最後のひと押しとなるようなコンテンツが求められます。

本講演のテーマである「製品情報に直結しないコンテンツ」をユーザーの検討フェーズに当てはめると、興味関心を持ってもらう、あるいは情報収集を目的としてもらう潜在層向けのコンテンツとなります。実際に小川が製薬企業向けにコンテンツを提案する際に使っているコンテンツプロット図は、以下の通りです。

縦軸が上から周辺情報・疾患情報・製品情報、横軸が左から興味喚起・認知・購買意欲となっており、製薬企業であれば図の中心から下、あるいは右下部分の製品に関するコンテンツを多く持っているのが一般的です。

しかし、今回のテーマ「製品情報に直結しないコンテンツ」は興味関心と情報収集が目的となるため、図の左上部分、すなわち周辺情報と興味喚起を狙ったコンテンツになります。

大日本住友製薬のオウンドメディアが抱えていた課題

大日本住友製薬では同社のオウンドメディアが抱えていた以下の課題を解決するために、製品情報に直結しないコンテンツ制作に踏み出しました。

  • 医療機関への訪問規制継続による、医師とのタッチポイント減少を想定
  • デジタル指向の高い医師が増加
  • 作成要領に対応したコンテンツ
  • ユーザーアクセスのきっかけになるコンテンツの拡充

そして以下の達成を目的としていました。

  • ステップ1:会員登録・再訪のキッカケ作り/医師との継続的なタッチポイント確保
  • ステップ2:医療関係者が製品関連疾患や製品特性の理解を深める

これらを踏まえて誕生したコンテンツが「偉人を診る」です。病を持っていたと伝えられる偉人を取り上げるコンテンツで、病気の原因や当時の治療法、もし主治医だったらどう対応するかなどを専門の先生と対談しています。

特徴は、1シーズン4回の構成のうち、第1回目と4回目にバーチャルMRとしてオリジナルキャラクターを登場させ、偉人の人物像や時代背景を紹介する動画コンテンツとしている点です。こういったバーチャルキャラクターを用いたコンテンツ制作は、これまで製薬企業ではなかなか実施されてこなかった取り組みであり、注目を集めています。

製品情報に直結しないコンテンツの社内合意と企画説明

製品情報に直結しないコンテンツは、潜在層へのアプローチを目的としているため、オウンドメディア内においても売上との関係性が薄いと考えられます。そのため、社内の反応や合意の取り方、コンテンツに出演依頼をするドクターへの企画説明などの進め方が通常のコンテンツとは少し異なるかもしれません。こういった課題をどうクリアしたのか、田中氏より解説がありました。

文献コンテンツと同様にプロモーション情報を出さないことが条件に

まず社内での合意をどのように取ったのかについて伺うと、「偉人を診る」コンテンツの制作には、前述した「作成要領に対応したコンテンツ」という課題が大きく関わっているそうです。

その背景について「大日本住友製薬のサイトではもともと文献コンテンツが充実していましたが、ガイドラインや作成要領の改定により当該コンテンツの活用が制限されてしまいました。文献コンテンツは会員の獲得や再訪問を目的としていたため、同様の目的を持った新しいコンテンツ制作が必要となったわけです」と田中氏。

そこで社内合意を取るために審査部門に相談したところ、文献コンテンツと同様に「プロモーション情報を出さないこと」が条件となりました。コンテンツを読み進めて製品プロモーション情報が出ると、コンテンツの世界観が崩れてしまう可能性もあったため、結果的にプロモーション情報を出さないことがプラスになったと田中氏は話します。

ドクターの専門領域をテーマにすることで感情移入しやすく

一方出演していただくドクターとの交渉においては「エンターテインメント色が強いコンテンツなので受け入れていただけるか不安もありました」と振り返る田中氏。しかし、その心配をよそに、ドクターは引き受けてくださる前の企画趣旨の段階から、積極的にアイデアを出してくださり、大変盛り上がったそうです。

また取材当日も、偉人の性格やライフサイクルを考慮した治療計画や指導方法、最新トピックスを踏まえたコメントなど、ドクターも偉人の主治医として感情移入しながら、終始和やかかつ楽しい雰囲気で対談が進みました。

対談後もドクターからは「非常に楽しかった」「ぜひまたこの企画に呼んで欲しい」と好意的なコメントがあり、さらに担当MRからはドクターとの関係構築のきっかけになったという良い反応が得られました。

「対談のテーマが出演いただく先生方の専門領域であること、そして偉人の主治医というドラマや漫画の主人公のようなシチュエーションに先生方ご自身を重ねられ、良い方向に想像力が膨らみ、結果としてこの企画に対して好印象を持っていただけたと思います」と田中氏は強調します。

製品情報に直結しないコンテンツの効果

ドクターやMRからは好反応の得られた「偉人を診る」コンテンツですが、オウンドメディアとしての反応はどうだったのでしょうか。

サイト訪問回数が好調、さらなる集客のための工夫も

「偉人を診る」は、サイト内でも3本の指に入ることもあるほど訪問回数の多い人気のコンテンツとなりました。現在も継続してSEO対策を実施しており、自然検索から流入されやすくなるための施策も続けているそうです。この背景には、バーチャルMRが製品説明会さながらに医療従事者に向けて動画で紹介するという試みが注目されたこともあるのでは、と田中氏は推測しています。

また、医療関係者向けポータルサイトに広告出稿し集客を図っているほか、今後はMRから送るメールの最後に流入のためのテンプレートを用意するなど、「偉人を診る」の露出を増やすための様々な手段を検討しており、さらなる集客のための工夫をしています。

プロモーション色を出さずに自社ブランディングにつなげる

さらに「偉人を診る」コンテンツは、多くの医療従事者の方が興味を持って見ていることが推察されると田中氏は語ります。

大日本住友製薬オウンドメディアの各コンテンツには「お役立ちボタン」が設置されています。「偉人を診る」は他のコンテンツに比べ、このお役立ちボタンが2倍ほど多くクリックされているそうです。この理由として「プロモーション情報を出さずに独自の世界観を保ったこと」「エンターテインメント色を出したこと」で、非専門の医療従事者でも楽しみながら読める点がその要因ではないかと田中氏は仮説を立てています。

また、「偉人を診る」は、大日本住友製薬の国内営業重点領域の一つである糖尿病領域をテーマとしており、「コンテンツ内に自社製品のプロモーションにつながる内容は含んでいないものの、弊社が糖尿病領域に力を入れているというブランディングの面で大きな役割を果たしています」と田中氏。

これらの要因が相乗効果を生み、今回「製品情報に直結しないコンテンツ」制作に踏み切った目的の一つである会員獲得についても達成できました。

エンターテインメント色の強いコンテンツでも内容次第で受け入れてもらえる

今回「偉人を診る」コンテンツは、従来のコンテンツになかったエンターテインメント色を出したものでした。

公開前までは大きな不安があったものの、いざ蓋を開けてみれば出演したドクターの満足度や閲覧者の反応、会員獲得への貢献など非常に満足のいく結果が得られ「サイトコンテンツがエンターテインメント色を出しても医療従事者の方には受け入れてもらえることがわかりました」と田中氏は振り返ります。

最後に田中氏は「現在のコロナ禍において、サイトのコンテンツをはじめとするデジタルツールは医療従事者の情報収集手段として非常に重要な位置づけとなっています。大日本住友製薬ではデジタルを活用した製品の基本情報や適正使用情報の発信や推進はもちろんのこと、今回のようにサイトでしか表現できない新たな情報提供の方法を引き続き模索し、医療従事者の皆さまの満足度向上に努めていきたいと思います」と締めくくりました。


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