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MDMD2021レポート/COVID-19蔓延下で変化した医療関係者向けサイトの役割とMAやチャットボットツールの活用事例

MDMD2021レポート/COVID-19蔓延下で変化した医療関係者向けサイトの役割とMAやチャットボットツールの活用事例

「医薬品業界におけるマーケティングの新潮流・最新トレンドの展望」をテーマに2021年9月に開催したオンラインカンファレンス「Medinew Digital Marketing Day(MDMD)2021」。株式会社メディクトの下山直紀氏がモデレーターを務め、フェリング・ファーマ株式会社の吉田栄一氏を講演者として迎えたセッション「COVID-19蔓延下で変化した医療関係者向けサイトの役割とMAやチャットボットツールの活用事例」の講演内容をまとめます。

デジタルを活用したオムニチャネルアプローチでコロナ禍の情報提供活動に対応

COVID-19の蔓延によって、製薬企業から顧客へのアプローチの方法が大きく変わった、と吉田氏は話します。フェリング・ファーマでも、2019年から2020年比較において、MRによるアプローチは半減しました。

代わりに重要性を増したのが、デジタルを用いたアプローチです。フェリング・ファーマでは、オウンドメディア「Find FERRING」やメール、MA、チャットボットなどのツールを複合的に使うことで、顧客へのオムニチャネルアプローチを実現しています。

オムニチャネルアプローチ

結果として、MRからの情報提供こそ少なくなったものの、市場に投下されているディテールの総量自体は従前の9割程度まで維持でき、2021年においては、デジタルによるアプローチの量が増えたことで、コロナ禍前よりも総量的に情報提供が多くできるようになりました。「しかし、これらの成果は一朝一夕に得られるものではなく、デジタル化には入念な準備と経験が必要だ」と吉田氏は言います。

オウンドメディアがMRの活動をサポートするツールとしても機能

フェリング・ファーマのデジタルアプローチにおいて、中核を担っているのがオウンドメディア「Find FERRING」です。

従来、製薬企業においてはMRが情報提供からアフターケアまで一気通貫で行っていましたが、MRによる面談に制限が出てきた昨今、今までは人力でやっていた部分の一部をデジタルに置き換える必要があります。
例えば、「顧客の育成、抽出」という部分については、デジタルを利用したほうが効率が良く、コストを下げることができるので、MRは他の活動に注力することができて、結果的にMR自身の価値も高めることができます。

covid-19禍デジタルによる情報提供変化

製薬業界におけるオウンドメディア会員制化の実態

フェリング・ファーマは、Find FERRINGを会員サイト化し、顧客の個人情報を取得し、会員として囲い込み、付加価値を提供することによって自社ファンの育成に注力しています。
利用者を特定し分析することで、オウンドメディアを起点にMRの活動のサポートも行えます。MRというポジションは、クロージングができる力のあるチャネルであると同時に、どうしても活動には高いコストがかかります。特に、コロナ禍で面談ディテール数が半減したことにより、そのコストは試算上、倍増したことになります。「今後、MR活動の効率化を促すためにも、医療関係者向けサイトを起点として活用するために、会員化による顧客の囲い込みは重要な施策だ」と吉田氏は話します。

オウンドメディア「Find FERRING」の構築と運営のポイント

製薬企業のオウンドメディア構築においては、顧客である医療関係者のニーズを適切に理解することが何より大切です。Find FERRINGでは、どのような設計でサイト運営を行っているのか、吉田氏は、3つのポイントを解説しました。

1. 二段階のトップページを用意して顧客にマッチさせる

医療関係者は、自分の専門領域に関する製品や疾患の情報を求めています。そのため、オウンドメディアにアクセスした際に最初に自分の専門領域に関する情報に触れられなければ、利用や期待値が下がってしまう可能性があります。
Find FERRINGでは、ポータルサイトの役割を持ったサイトのトップページと、領域ごとに異なる領域トップページを用意。「サイトにアクセスした顧客に納得感と満足感を得て回遊していただけるようにしている」と吉田氏は話します。

2. 業務委託をうまく使ってオウンドメディアの運用コスト削減

フェリング・ファーマのデジタルアプローチにおいて、Find FERRINGは重要なポジションを占めるようになりましたが、各種業務を兼務している吉田氏がサイト運営にかけられる時間は限られています。限られた時間、社内リソースのなかで、適切にサイト運営を行うためには、外部の制作会社などをうまく活用が必須となりました。

まず、責任者である吉田氏の下に、Find FERRING Officeと呼ばれる、オペレーションの責任者を配置。Find FERRING Officeでは、専任でディレクション、アクセスレポートやコンテンツの管理を行います。 その他、コンサルタント、サイトの実装に必要なクリエイティブベンダー、SEO、サーバーや、システムの管理とメンテナンスもそれぞれ適切な会社に業務委託することで、多様化したオウンドメディアを効率的に、効果的に運用できるようになります。

find ferring structure

3. 視野狭窄に陥らないために外部の目を用意する

また、オウンドメディアの運営をする際に、極めて重要な役割として、吉田氏は「業界を理解し、先見の明を持っているコンサルタント」を挙げました。

自社の中で仕事に従事していると、だんだんと自分の専門の範疇にある物事ばかりに目が行くようになってしまいます。顧客に対して常に新しく、広く、正しい情報を届けるためには、医療・製薬業界はもちろんマーケティングやデジタルなど、幅広く先進的な情報を把握している外部からのアドバイスが重要です。Find FERRINGには、製薬業界の動向やデジタル活用を先進的に把握、提案できる会社として、BtoDの下山氏がコンサルタントとして就いています。

Find FERRINGの会員施策とMAの活用事例

「Find FERRINGの会員登録数が順調に伸びた理由として、ひとつはMRによる登録推進が大きかった」と吉田氏は言います。しかし、MRによる登録推進に頭打ちが来た際にどうするか、そこに細かな工夫がありました。

1. 自社の他サイトと同時に会員登録できるように規約変更

コストをかけない施策として行われたのが、自社の他のサイトとの同時会員登録です。フェリング・ファーマが持っている、夜尿症、夜間頻尿サイトの施設検索登録時の規約を整え、自動的にFind FERRINGの会員として登録できるようにしました。

2. 薬剤使用要件への組み入れ

フェリング・ファーマが扱っている薬剤「プロウペス」の使用要件に、eラーニングの受講がありました。いつでも好きなときに受講できるという顧客側のメリットを残しつつ、登録会員数を伸ばすことに成功しました。

会員獲得トレンド

3. MAの活用をMRと組み合わせる

「オムニチャネルアプローチを推進していくためには、MRの理解が絶対に必要」と吉田氏は言います。デジタルコミュニケーションレポートというかたちで、顧客の登録やアクセス情報をMRにメールでの通知や顧客情報画面へアクセスできるようにし、情報の共有により顧客理解を深め、MR活動の質の向上やサポートができます。
ただ、与えられた情報をどのように役立てるか、思わぬトラブルにもなりかねないため、MRへの教育は継続的に必要のようです。

4. 自動化によるアクティブ化施策

新規会員登録の促進と同様に、既存会員のアクティブ化についても施策を行う必要があります。未視聴コンテンツを視聴してもらうほか、サイトの再利用率を上げるためにも、適切なタイミングでのメール配信が求められます。Find FERRINGでは、MAツールBtoDのシステムで、顧客の属性、興味や行動に合わせて仕分けられたメールを自動配信しています。

個別化されたメールは、領域別に送る通常のメールマガジンに比べて、2倍程度開封率が高く、ツールの効果が出せているようです。

製薬企業におけるデジタル領域のこれから

プログラムの後半では、下山氏と吉田氏によるいくつかの応答が行われました。

1. サイト実績が出てきたことで社内評価は変わったか

「従来は軽く見られがちな施策だったデジタルも、サイト訪問者数、会員化数やPVの増加という結果が伴ったことで、社内での印象もとても良くなった」と吉田氏。コロナ禍による状況の変化がデジタル化を加速させただけでなく、製薬マーケティングにおけるデジタルの必要性を再認識する機会にもなったと話します。

2. 早い段階からデジタルとMRの融合を行った影響はどうか

「MRへのメールによるフィードバックなど、施策を始めた当初はうまく馴染まなかった」と吉田氏は話しますが、「デジタルとMRの融合といった時代は必ず来る」と信じてやり続けた結果、今ではMRの方から良いレスポンスが来るようになったそう。

デジタルによって情報の見える化を推進したことで、MRの方との協業が進み、以前よりもデジタル施策担当者とMRとの垣根が低くなるという成果が表れています。

3. 製薬マーケティングにおけるデジタルとは、役割分担のできる領域

デジタルという領域はコロナ禍によって強く注目された反面、日進月歩で進むため、社内リソースだけで行うのは難しいものです。頼れるところは頼り、高い専門性を担保しながら、役割分担をしつつ進めることが、適切に、かつスピーディーにデジタル施策を行うポイントです。

デジタルを適切に活用することで、正確なデータを取得でき、時間と距離といった制約少なく顧客にアプローチできます。「私たちが使えるチャネルはかなり限定的で、規制もいろいろとある中、どのように組み合わせられるかが腕の見せどころだと思う」と吉田氏は話します。

本講演で紹介しました、株式会社メディクトが提供するMAツール「BtoD」について、ご質問やご相談がございましたら、お気軽に下記フォームよりお問い合わせください。資料をご希望される場合には、その旨フォームにご記載ください。