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資材制作担当者なら知っておきたい!参考文献の書誌情報の書き方

資材などの制作にあっては、参考文献*の書誌情報を整備することはほぼ必須の作業です。書誌情報の整備というのは、あまり重要視されていないことがあるかもしれません。しかし、コンテンツの内容がいくらすばらしいくても、参考文献がきちんと書かれていなかったり、統一性がなかったりすれば、そこから品質への疑問を生じ、さらに信頼性低下へとつながる可能性もあります。書誌情報の記載整備は意外と根気がいる作業ですし、基本的な取り扱い方法を知っていなければ適切に整備できません。
本記事では、医薬品関連資材の制作に必要な書誌情報の知識について、若干の例を挙げながら説明します。

*ここでは引用文献、参考文献、転載などを全てまとめて「参考文献」とします。


1.書誌情報の役割

参考文献には出典の明示が必要です(著作権法 第48条、著作権法では「出所の明示」と言います)。そしてその役割は、読者が出典をたどったときに、きちんとその文献にたどり着けるということです。ですから、医薬品関連資材に掲載する書誌情報は、図書館データベースに登録されているような詳細なものは不要です。少々乱暴な言い方になりますが、迷わず出典にたどり着ける情報があればそれでいいのです。
とはいえ、一つのコンテンツ内で記載統一されていないことで、出典が分かりにくい、出典にたどり着けない、たどり着くのに時間が掛かる、というようなことでは感心しません。そして、何より、見栄えが悪いですし、品質への疑問や信頼性低下につながる可能性もあります。
ですから、最低限でかまいませんので、一定の方式に則って書誌情報を記載することがともても重要なのです。

2.書誌情報の要素(書誌要素)と書誌情報のスタイル

1)書誌要素
まず、書誌情報として記述される要素には何があるのか確認しておきましょう。
科学技術振興機構が発行した「参考文献の役割と書き方」では、書誌情報を大きく4つに分類しています。(図)。①→②→③→④の順に書誌情報を記載しますが、各グループ内の要素の記述順や記載すべき要素、要素の区切り方法など使用するスタイル〔後述〕や文献の形式(論文、書籍などの違い)によって若干変わります。通常、記述が必須と考えられる基本的な書誌要素は次の通りです
† 必須となる書誌要素についての考えは、あくまでもMedinew編集部の見解であり、特定の団体等が提供している統一的な見解や資料はありません。

図.書誌要素
参考文献の役割と書き方 https://jipsti.jst.go.jp/sist/pdf/SIST_booklet2011.pdf

① 著者に関する書誌要素
● 著者名:書籍では監修者のこともあります。

② 標題に関する書誌要素
● 論文標題
● 誌名、署名:一般的には記述が必須とされていますが、製薬関連資材では省略されることがよくあります。一部の国内ジャーナル誌でも省略されています。

③ 出版・物理的特徴に関する書誌要素
● 版表示、出版社、地域:いずれも書籍で必須の項目です。
● 出版年
● 巻・号・ページ:通巻でページ番号が付されている場合、号を省略することができます。

④ 注記的な書誌要素
DVDなどの電子メディア、オンラインジャーナル、ウェブサイト記事などを参考文献とした場合に必要な項目です。資材制作では、通常、必須要素ではありません。

2)書誌情報のスタイル
書誌情報の記述方法を定型化したものを「スタイル」と呼んでいます。ジャーナルによって、書誌情報の書き方が異なっていることは、すでにお気づきのことではないでしょうか。現在のところ、「書誌情報は、このスタイルにのっとらなければならない」という決まりはありませんから、出版社やジャーナルによってスタイルは異なっています。
資材制作でもこれは同様で、このスタイルでなければいけないというものはありません。必要な書誌要素がきちんと記載されていて「出典を迷わず正確に見つけ出すことができる」ことができれば、既存の特定のスタイルを必ずしも使用しなくてよいとも考えられます。とはいえ、新たに独自のスタイルを作る必要はありません。既存のスタイルを参考にして、自社内あるいはコンテンツ内のスタイルを統一すればよいでしょう。

現在、さまざまな書誌情報のスタイルが存在していますが、比較的よく知られているものには次のスタイルがあります〔表〕。これらのうち、医学系論文や製薬関連資材では、MLAスタイルまたはそのアレンジスタイルが多く用いられています。ですから、資材制作では、MLAスタイルを基本に考えるとよいでしょう。

表.主な書誌情報のスタイル

3)本文と参考文献の関連付け方法の違いによる分類
書誌情報の記載方法は、スタイルによる違いの他に、本文と参考文献の関連付けの違いによって、バンクーバー方式とハーバード方式の2種類に分けられます。

(1)バンクーバー方式(引用順方式):
本文の参照箇所に参考文献の連番(上付き数字、括弧書き数字など)を引用順に振り、論文の最後に連番リストを記述する方式です。医学系論文や製薬関連資材で見慣れている方式です。バンクーバー方式という名前は、医学雑誌編集者国際委員会(International Committee of Medical Journal Editors:ICMJE)の前身であった医学編集者グループが、カナダのバンクーバーで会合を開き、生物医学論文の書誌情報などについて統一規定を定めたことに由来します。[J Pharmacol Pharmacother. 2010; 1: 42–58. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3142758/]

(2)ハーバード方式(著者名・発行年方式):
本文の参照箇所に丸括弧書きで「(著者姓 発行年)」のように参考文献を明示し、論文の最後に著者名順(アルファベット順)でリストを記載する方式です。ハーバード大学教授のEdward L. Markが最初に記したとされ、主に人文・社会学系論文などで使用されるようです。

3.MLAスタイルでの具体的な書誌情報の記載方法
Citing Medicine, 2nd edition. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK7256/
ここからは、製薬関連資材で使用される頻度の高いMLAスタイルによる書誌事項の記載について、例を交えながらご説明します。

1)ジャーナルの論文の場合
書誌情報の基本構造は次のようになります。
欧文での例を示しますが、和文の場合も同様の様式で記載することが可能です。
実際の論文の例を示します。

a. 著者名
著者は論文記載の順番に「ラストネーム」「スペース」「ミドルネームとファーストネームのイニシャル」の形式で記載します。誌面上の余裕があれば全員記載することも許容されています。人数を制限が必要な場合は、3名ないしは6名記載し、その後に「et al.」を記述します。et al.はラテン語で「その他(and others)」の意味です。著者名の最後をピリオドで区切ります(et al.で終わる場合はこのピリオドを区切りとします)。
資材では、筆頭著者のみを記載することもあります。

b. 論文標題
MLAスタイルでは、論文標題の記載は必須となっています。しかし、資材の場合、紙面の都合もあり省略されることが少なくありません。論題の最後はピリオドで区切ります。

c. 誌名
誌名の略称を原語で記載するのが原則ですが、フルネームを記載することも許容されています。誌名の最後もピリオドで区切ります。誌名の略記方法はMEDLINEに解説が掲載されていますが、分かりにくいのでPubMedで検索する方が手っ取り早いと思います。
なお、誌名は対象論文の発行時のものを使用します。例えば、BMJは1987年以前はBr Med Jという誌名でしたので、1987年以前の論文の書誌情報にBMJは用いません。また、JAMA: the Journal of the American Medical Associationのようなサブタイトルの部分は省略しJAMAとだけ記載します。

d. 出版年
出版の年月日を記載するのが原則です(季刊誌では月に代えて季節を記載します)。ただし、継続的に発行されていて、通巻でページが振られている場合は、月、日を省略できます。

e. 巻・号
巻は単に巻番号を記載し、前に“vol.”“volume”などは付けません。巻が合併する場合はハイフンでつなぎます(381-382 など)。
巻の後ろに丸括弧書きで記載しますが、巻と同様にその前に”no.”や”number”は付けません。また、通巻でページが振られている場合は記載を省略することが許容されています。号の最後はコロンで区切ります。

f. ページ
ページ番号を振る際は、重複する数字部分を省略します(2081-90 など)。ページ番号の前に文字ある場合も同様に数字を省略します(S2081-90)。ただし、ページ番号の後に文字が続く場合は数字を省略しません(2081A-2090A など)。
ページの最後はピリオドを付けて締めくくります。時折、最後のピリオドが付いていない資材を見かけることがありますが、ピリオドは終わりを意味する符号なので必ずピリオドを付けましょう。

(2)書籍の場合
基本的にはジャーナル内の論文と同様ですので、異なる点のみ記載します。

a. 著者名
MLAスタイルでは、編集者がいる場合には、版の後(初版の場合は書籍名の後)に記載するようになっています。しかし、国内では著者と併記することが多いので、ここではそれに合わせて記載しています。

c. 地域、d. 発行者
書籍の場合は、発行者の所在地域と発行者名を記載します。

f. ページ数
1冊全体を参考文献とした場合は総ページ数を記載します。
書籍の一部を参考文献とした場合は、参照した論題や章をページ数の書籍名の前に記載し、参照ページ範囲を記載します(この場合、pはページの最初に記載します。 p.1103-33 など)。
ちなみに、国内のSIST 02スタイルでは、書籍名の前に参照範囲の論題などを記載し、最後に参照ページ範囲を記載するようになっています。

最後に
以上、書誌情報の書き方の概要を説明してきました。記事内で触れているように、こうしなければならないという決まりはありません。基本としては、同一コンテンツやシリーズ内で一貫していれば、それでOKなのです。
しかし、何のよりどころもないスタイルだと、制作から時間が経ったり、担当者が変わったりして、いつのまにか記述方法が変わる、混在するといったことが起こりかねません。関連知識の一つとして書誌情報についても理解し、情報に揺らぎのない資材制作を心掛けましょう。