【DL資料あり】6/14は認知症予防の日-製薬企業の脳神経領域の疾患啓発サイトを調査【2025年5月版】
.png&w=1920&q=100)
2023年の調査から2年が経ち、脳神経領域の疾患啓発サイトには、どのような変化があったのか。今回もパーキンソン病・てんかん・認知症の3疾患に絞り、製薬企業が運営する疾患啓発サイトを調査しました。サイトのリニューアルや、新たなサイトを追加した企業もあります。本記事では、各疾患啓発サイトの変化や特徴をご紹介します。
脳神経領域の疾患啓発サイトを運営している製薬企業一覧
高齢化が進む日本では、認知症をはじめとする脳神経領域の疾患に対する社会的関心が年々高まっています。政府が2022年度に実施した調査によれば、65歳以上の3人に1人に認知機能に関する何らかの症状がみられると報告されました1)。さらに、認知症はパーキンソン病やてんかんと合併するケースも多く、脳神経領域全体への啓発ニーズが拡大していることがうかがえます。
今回の調査では、2023年に実施した前回調査に続き、パーキンソン病、てんかん、認知症に焦点を絞り、製薬企業が運営する疾患啓発サイトを調査しました。調査対象企業の入れ替わりもありますが、2023年に実施した調査から2年が経過した今回の調査では、対象企業20社のうち7社10サイトが、パーキンソン病・てんかん・認知症に関する疾患啓発サイトを運営していました。
※調査対象は、2023年4月~2024年3月の販売会社ベース企業売上ランキング(出典:IQVIA)より抜粋した20社

前回と同じサイトでも、コンテンツを追加しているものやコンテンツを減らしたものなど、サイトによっては変化しているケースもありました。また小野薬品工業は構成を統一した「ONO MEDICAL NAVI」の運営をはじめたことで、サイトを大きく変更しています。
武田薬品工業では、以前運営していた「てんかん重積状態サポートナビ」から「子どものてんかん広場」にリニューアルし、発信する情報の範囲を拡大。新しいサイトには以前のコンテンツも使用されており、サイト作りの効率化が図られているようです。また、同社の「パーキンソン病オンライン」は、前回の調査時点のサイトと比べ、コンテンツの割り振りが異なっていました。コンテンツを増やすだけなく、割り振りやコンテンツ名に工夫をこらすことも、サイトをブラッシュアップする際に有効かもしれません。
ここでは、10サイトの中から3サイトをご紹介します。その他のサイトを含めた調査結果はダウンロード資料をご用意していますので、ページ下部よりダウンロードください。
小野薬品工業 ONO MEDICAL NAVI 「パーキンソン病」
小野薬品工業は、「ONO MEDICAL NAVI」内で複数の疾患啓発サイトを形式や色調を統一して展開しています。共通してトップページに全コンテンツを表示し、各コンテンツもイラストを交えながら簡潔にまとめることで、閲覧者が直感的に理解しやすい工夫があるサイトです。さらに、コンテンツ下部には作成年月や更新年月の記載があり、情報の鮮度を把握しやすくしています。
進行と症状の出現の一例を経過図で紹介する「パーキンソン病の症状の経過」は、症状の変化をイメージしやすいコンテンツです。ダウンロード可能な「パーキンソン病チェックシート」は、記載している症状にチェックするだけの簡単なシートで、医師との診察に持参できるサービスです。治療コンテンツでは、自宅でできるリハビリテーション動画をフルバージョンとチャプター別バージョンで用意。チャプターには「筋肉トレーニング」や「呼吸と発生のトレーニング」など具体的なタイトルが付けられているため、目的に応じてそれぞれのリハビリに取り組めます。
ウェアリングオフチェック票は、9項目と19項目の2種類を用意しています。ウェアリングオフチェックの解説動画もあり、PDFのチェック票へ簡単に遷移できるQRコードを動画に掲載。体重維持をするための簡単な摂取エネルギーアップアイデアを紹介するコンテンツ「Keep ON 食ガイド」は、カロリーの目安やイラストを掲載し、手軽に取り組める内容であることが一目で分かります。
他にも、日常生活サポートブックや難病医療費助成制度冊子など、ダウンロード可能資材を多数用意し、サポートコンテンツが充実しているサイトです。X公式アカウントでは、4/11「世界パーキンソン病デー」に合わせ情報発信しています。
ONO MEDICAL NAVI 「パーキンソン病」
https://p.ononavi1717.jp/parkinson
サイトディスクリプション
パーキンソン病は、ドパミンという物質が足りなくなることで起こる病気です。健康上、少し気になっているけれど、なかなか病院に行く機会がない方や、すでに病気の診断をされた方へ、パーキンソン症についての疾患内容をわかりやすくお伝えします。
キーワード
ー
コンテンツ一覧
-病気について知りたい方へ
疾患の原因や運動症状・非運動症状、症状の経過について解説
-検査を受ける方へ
診断の流れや基準、重症度分類を紹介。症状のチェックシートもあり
-治療を始める方へ
リハビリテーション、薬物治療について解説。リハビリ動画あり
-治療中の方へ
ウェアリングオフ、外科治療、生活や食事のアドバイスについて紹介。ウェアリングオフチェック票や日常生活のサポートブックをPDFで提供
-動画でみるパーキンソン病ケア
サイト内で提供の動画をまとめて紹介
武田薬品工業 子どものてんかん広場
子どものてんかんに特化して紹介する疾患啓発サイトです。「このサイトについて」という専用ページを設け、てんかんに関する知識を深めてほしい想いや、家族だけでなく教職員にも参考にしてほしい旨などのメッセージを発信。サイトの趣旨や閲覧対象者を明確に示すことで、正しい知識を得る大切さが伝わってきます。
トップページでは主要コンテンツをバナー形式でわかりやすく提示し、各コンテンツ内には目次や色枠を効果的に配置するなど、視認性を高める工夫が随所に施されています。さらに、複数の分類をまとめた表や、関連コンテンツへのリンクボタン設置など、構成に工夫も見られました。
「お悩み対処法」コンテンツの充実度もこのサイトの特徴です。発作発生時の対応や成長するにつれての診療科、自立の悩みへのアドバイスなど、子どものてんかん特有の課題に対して実践的なサポート情報を発信しています。また、園や学校生活における支援の重要性にも配慮し、患者情報や発作時の対応策を共有できる「発作マネジメント共有シート」も提供。主治医が記載するフォーマットとなっており、教育現場における適切な対応を支援するシートです。
当サイトでは、サイトに関するアンケートも実施。子どものてんかん患者との関係性や閲覧目的、サイトのお役立ち度などを選択式で回答する形式で、閲覧者のニーズ把握とサイト改善への活用が期待されます。
子どものてんかん広場
https://www.takeda.co.jp/patients/kodomo-tenkan/
サイトディスクリプション
「子どものてんかん広場」は、子どものてんかんについて、あなたの“知りたい情報“をお届けするWebサイトです。てんかんの原因、発作時の対応、治療、お悩み対処法などを掲載しています。 - 武田薬品工業 | 「子どものてんかん広場」
キーワード
子ども、てんかん、原因、発作時の対応、治療、お悩み対処法、情報、知りたい
コンテンツ一覧
-子どものてんかんとは
病態や脳との関係、子どものてんかんの特徴・原因・予後について解説
-子どものてんかんガイドブック
てんかんの基礎知識や重積状態、難治性について解説。発作時のサポート、診療科の移行アドバイス、医師インタビューなども掲載
-子どものてんかん広場アンケート
サイトに関するアンケートを実施
-このサイトについて
サイトのコンセプトや対象者について紹介
大塚製薬 すまいるナビゲーター「認知症」
こころの健康情報局「すまいるナビゲーター」として、統合失調症や双極性障害など複数のこころに関する疾患の啓発サイトを運営しています。すまいるナビゲーター「認知症」では、トップページにコンテンツボタンや新着情報の掲載。さらに各コンテンツの内容を簡単に記載したイラスト付リンクボタンの配置した、視覚的にも分かりやすい設計です。
コンテンツ「認知症とは」では、代表的な認知症の原因・症状・経過をまとめた比較表は、種類別の違いを理解しやすい内容となっています。加えて、積極的に活用し、難解になりがちな医療情報を視覚的に整理しています。また、症状チェックリストは、自分用と家族用の2種類があり、患者本人が気づきにくい疾患の特性を踏まえたサービスです。
コンテンツ「困りごと」では、多く見られる代表的な困りごとをイラスト付きボタンでトップページに表示し、選択することで具体的な対応方法へと遷移する導線設計を採用。各困りごとのページでは、患者への具体的な対応方法を提示するだけでなく、周囲のサポートを積極的に活用することの重要性も訴求しています。気になる症状のチェック結果を、画像・PDF・印刷から選択して残せるサービス「相談シート」も提供しています。
大塚製薬は、認知症ケア支援VRプログラム2)3)も展開。患者目線を仮想体験することで、介護者や家族が認知症患者の行動を理解し、より良い関わり方を見つけるプログラムです。各地で体験会を開催しており、一般向けと医療関係者向けの情報サイトの用意があります。また、note公式アカウントでは、すまいるナビゲーターの紹介も行っています。
スマイルナビゲーター「 認知症」
https://www.smilenavigator.jp/ninchisyo/
サイトディスクリプション
患者さんとご家族のための「認知症」に関する情報サイトです。病気の症状やお薬のこと、ご家族に知っておいて欲しいこと、同じ悩みをもつ仲間の意見、関連イベントなど、役立つ情報を発信しています。
キーワード
ー
コンテンツ一覧
-認知症とは
病態・受診・治療・制度・公的機関やコールセンターなど相談先について解説。家族・本人版の2種類のチェックシートもあり
-認知症 困りごとナビ
具体的な介護における困りごととアドバイスを掲載。症状や発症時期をチェックできる相談シートの提供もあり
-資料ダウンロード
疾患解説冊子とパワーポイントを配布
統一のサイト構成やコンテンツの構成変更などでブラッシュアップ
疾患啓発サイトを一から作成するには、多くの労力や費用を要します。疾患啓発サイトを構成やデザインを統一することで、新しい疾患の追加が効率的に行えるようになり、結果として労力や費用を大幅に抑えることができるでしょう。また、既存のサイトを改善する際は、コンテンツの配置や名称をより直感的で分かりやすく変更することも効果的です。サイトをリニューアルする場合でも、質の高い既存コンテンツを活用することで、効率的かつ効果的なサイト構築が可能になります。疾患啓発サイトの立ち上げやリニューアルを検討中の方は、ぜひ参考にしてみてください。
〈出典〉※URL最終閲覧日2025.5.13
1) 政府広報オンライン,2025年1月16日,知っておきたい認知症の基本
https://www.gov-online.go.jp/article/202501/entry-7013.html
2) FACE DUO,医療関係者向けサイト
https://www.faceduo.jp/
3) FACE DUO,一般の方向けサイト
https://www.faceduo.jp/people/
ダウンロード資料「製薬企業の脳神経領域の疾患啓発サイトを調査 【2025年5月版】」
・脳神経領域 10サイト
(各サイトのディスクリプション/キーワード/コンテンツ一覧/特徴/SNS)