セミナーレポート/コロナで加速 脱MR デジタルトランスフォーメーションの未来【第2部】

セミナーレポート/コロナで加速 脱MR デジタルトランスフォーメーションの未来【第2部】

2020年9月2日、ファーマIT&デジタルヘルス ウェビナーの中で「コロナで加速 脱MRデジタルトランスフォーメーションの未来」と題して、ディスカッション形式による講演が行われました。
本記事では、3部に分けてその内容を紹介します。第1部の株式会社医薬情報ネット代表取締役の金子剛章氏による「オムニチャネルマーケティング」に続き、第2部は株式会社メディクト代表取締役の下山直紀氏による「コロナ禍での医師のオウンドメディア訪問の変化」について紹介します。

コロナ禍での医師のデジタルチャネル活用変化の実情&製薬企業向けMAツール「B to D」について

創業時より、製薬企業に特化しプロモーションコンテンツやイベント運営を行ってきたメディクト社。最近は、デジタルマーケティング戦略立案やWEBサイトリニューアル、医師向け会員サイトの構築なども行う会社です。2年前からは、自社開発の製薬企業向けMA(Marketing Automation)パッケージ「B to D」の提供も開始。サイトやデータ連携の相談や設置を請け負うメディクト社の下山氏が、コロナ禍での医師のデジタルチャネル活用変化について解説しました。

コロナ禍による医師の行動変化

コロナ禍により、医師のWEBサイトやメールマガジンのデジタルチャネル活用に変化が起こっているそうです。ある外資製薬企業サイトのアクセスログを見てみると、下図のように変化が認められました。

コロナ禍前の2・3月に比べ、4~6月で急激にWEBサイトの訪問者が増加。特に新規ユーザーの増加が顕著であり、6月では3月と比べ約2.7倍となりました。このWEBサイトではサードパーティや広告を使っていないため、自然流入という形で会員登録が増えていると言えます。全会員のうちの訪問者率も、コロナ禍前は5%程度だったものが12~15%と大きく上昇。訪問時の視聴ページ数や滞在時間も増えており、医師が製薬企業のWEBサイトを見る頻度や時間が増えたことが分かります。

さらにメールマガジンにも変化が現れています。製薬企業が配信するメールマガジンの開封率はあまりよくない、というのが定説だったのですが、開封率もリンクからの遷移率も10%ほど増加しているそうです。「MRとの直接面談減少している中、医師が能動的にデジタルチャネルにアクセスし、時間をかけて情報収集を行っていると考えられる」と下山氏は解説します。

ただし、医師によるWEBサイトの閲覧は、放っておいて順調に伸びるようなものではなく課題もあります。会員動向を調べてみると、会員登録後の3カ月目に、継続訪問するか休眠するかが分かれるそうです。そのため「3カ月・3回訪問・12ページ・16分」閲覧後に、いかに継続訪問してもらえるかを工夫しなくてはなりません。未閲覧のページ数やコンテンツ数がまだまだあるにもかかわらず、離脱や休眠してしまう医師を減らすためには、満足し継続させるだけの仕掛けが必要です。医師の自由閲覧に任せるのではなく、

・人気の高いコンテンツ
・新規ユーザー向けコンテンツ
・満足度の高い資材

といったコンテンツをこちら側から提供していかなければなりません。「そのための最適なツールが、個別に情報を出し分けられるMAツールであり、医師による継続閲覧を促すための重要な施策になる」と下山氏は話します。

製薬企業向けMAツール「B to D」

メディクト社が提供するMAツール「B to D」の特徴について、下山氏が説明しました。

多くの場合、MAツールを購入し自社で設置・運用していくのですが、スキルやノウハウが必要であり、うまく活用できないことがあります。「B to D」はMAツールとしてだけでなく、戦略立案と設置実行支援をパッケージにして提供。導入と運用を経験豊富な専門スタッフが支援することで、MAツールをメールマガジンやステップメールのツールだけ終わらせないという特徴を持っています。

最近では「B to D」をデジタルマーケティングハブとして活用することも、メディクト社は提案しているそうです。

ペイドメディアやオウンドサイトなどにMAツールをかませることで、医師への個別メールやサイトの個別表示を行えるようになります。また、医師情報の収集が難しい状況にあるMRを支援するためのMAツール活用も注目されてきています。新規機能であるMR通知機能では、WEBサイトコンテンツや特定動画視聴、メール開封などデジタルチャネルでの医師の行動履歴を収集。重要なアクションがあればMRにメールで通知され、MRは履歴詳細画面にて医師の行動を把握できるシステムです。