セミナーレポート/コロナで加速 脱MR デジタルトランスフォーメーションの未来【第1部】

コロナで加速 脱MR デジタルトランスフォーメーションの未来セミナー第1部

2020年9月2日、ファーマIT&デジタルヘルス ウェビナーの中で「コロナで加速 脱MR デジタルトランスフォーメーションの未来」と題して、ディスカッション形式による講演が行われました。
本記事では、3部に分けてその内容を紹介します。第1部では株式会社医薬情報ネット代表取締役の金子剛章氏による「オムニチャネルマーケティング」について、第2部は株式会社メディクト代表取締役の下山直紀氏による「コロナ禍での医師のオウンドメディア訪問の変化」について、第3部は本セミナーの中でディスカッションされた内容をまとめ、コロナにより変化するデジタル活用の今後について紹介します 。

オムニチャネルマーケティングでのコンテンツメイキング&データ連携の注意事項

医薬品のマーケティング支援26年目を迎える医薬情報ネット社の金子氏が、オムニチャネルマーケティングについて解説しました。

オムニチャネルとは

製薬業界のマーケティングは下図に示すように、シングルチャネルからマルチチャネル、オムニチャネルへと遷移してきました。各チャネルがデータ連携し、最適な情報を最適なタイミングで提供できるオムニチャネルの活用が今後さらに広まりそうです。

MSL・講演会・MRといったリアルコミュニケーションと、オウンドメディア・サードパーティといったデジタルコミュニケーションの双方から、医師は情報提供を受けています。データログはプライベートDMP(Data Management Platform)やパブリックDMPで管理され、各社オリジナルのDMPを構築。それをセールス・マーケティング・学術・コマーシャルといった部門で活用していくのが、オムニチャネルのデータ連携の概念となります。

コロナが与えるオムニチャネルへの影響

化学工業日報の2020年6月26日の記事に、医師の情報収集の変化についてのアンケート結果が掲載されました。4月下旬の調査結果ですが、MRとの直接面会は73%から8%へと大幅に減少した一方、WEBセミナーは8%から26%に、WEBサイトは10%から27%に増加していました。

医薬品のマーケティングによく使われる8チャネルの新型コロナ流行の前後の変化を、上図にまとめています。MRによる対面面談の機会は減っていますがWEB面談は増えており、WEB面談できるMRとできないMRとの差が大きくなってきています。面会回数は減りましたが、PCを用いて行うWEB面談では紹介できるデータ量が増え、1面談の質と濃さが向上しているそうです。

さらに今回のテーマであるオウンドメディアの活用にも、変化が生まれてきています。オウンドメディアで処方の最大化を目指すためのKGI(Key Goal Indicator)には、製薬企業 へのロイヤリティ・適切な情報提供・顧客情報取得などがあります。しかしMR活動が制限されるコロナ禍では、顧客情報取得は難しいのが現状です。そのためオウンドメディアを単なる情報提供チャネルとして使うのではなく、医師との接点づくりや医師のニーズ把握に活用することが求められてくるでしょう。

オムニチャネルマーケティングを実現していく中で、新型コロナ流行前はオウンドメディアなどのログデータをMR活動に活用する働きが多くありました。しかし「今後はオウンドメディアの配信自体でも、個別最適化していく必要が高まる」と金子氏は話します。

MRへのデータ連携での注意点

ではオムニチャネルマーケティングとして、MRとデジタルの連携はどのように実施すればよいのでしょうか。MRへデータ連携をする場合、MRの行動フローに合うように、ログ設計をすることが重要となります。医薬情報ネット社が提供している学会情報データベースを例にとってみましょう。

MRに「A先生が第80回〇〇学会をグーグルカレンダーに登録しました」とアラートを出したとします。するとMRは、「A先生は前回演題発表しているので、今回もするかもしれない」と予想し、学会の話題に触れてみようと行動計画を立てます。ただこのアラートがMRの行動フローに合っていなかったり多すぎたりすると、MRにとっては情報洪水になりかねません。さらに「MRとデジタル双方でプロモーションを行うには、今後役割分担が重要となってくる」と金子氏。

上図に示すように、コンテンツをMRとデジタル両方で可能な限り展開していたものから、今後はMRとデジタルのフローを組み合わせたコンテンツ展開の構築が求められてきます。それにより効率的にコンテンツのPDCAを回す製品マーケティングが実現できます。

医薬情報ネット社ではオウンドメディアの立ち上げや構築など、デジタルマーケティング全般のサポートに加え、学会データベースの運営も行っています。またMedinew(メディニュー)という自社サイトにて、各社のオウンドメディア状況を定期レポートしているので、他社の状況把握の活用におすすめです。