セミナーレポート/患者啓発にかかせない。シニアマーケティングの実態を業界トップランナー「ハルメク」から学ぶ

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2020年8月、シニアマーケティングを専門とするハルメク・エイジマーケティング社の木船信義(きふねしんぎ)氏が講演。「シニア層の健康意識やどのように医療情報を届ければよいか」について解説したセミナー内容を紹介します。

高齢化が加速する日本。国内での医薬品市場においても、シニア層を見据えたマーケティングはより重要となってきています。2020年8月20日にシニアマーケティング領域で17年の経験を持つ、株式会社ハルメク・エイジマーケティング代表取締役社長の木船信義氏が講演。50~60代のプレシニア層の健康意識や健康情報入手方法、コロナ禍での変化について紹介しました。

シニアマーケティングに特化した「ハルメク」

今回講演した木船氏が代表を務めるハルメク・エイジマーケティング社が属するハルメクホールディングスは、100万人を超えるシニア基盤を持つ、シニアに特化したグループ会社です。グループ内には、前期高齢者向けにマーケティング・出版・通販・WEB事業を行う「ハルメク」、後期高齢者向けに通販事業を行う「全国通販」などの会社があります。
出版市場が縮小傾向にある中伸び続ける雑誌「ハルメク」や、月間570万PVを誇るシニア女性コンテンツサイトNo.1の「ハルメクWEB」など、確かな実績があるハルメク社。その中でハルメク・エイジマーケティングは、コンサルティング事業、広告代理事業、制作事業などを行っています(図1)。

図1

ハルメク社は複数の事業を通して、お客様との関係性を太く長く構築。シニア層でのマーケティング力や制作ナレッジに加え、2800人超の登録モニターからのリアルな意見収集をでいるといった強みを持っています。


スマホを所持していても、使いこなしているとは限らない

シニア層はデジタル機器を使わないのか、というとそうでもないようで、シニアならではの違いも見られるようです。

シニア層でもデジタルシフトは加速

ハルメク社が実施している定点調査によると、スマホ所持率が近年グンと上がり、8割近くのシニアがスマホを持っていることが分かりました。しかし、単にWEBで情報配信しただけで、それほど多くのシニアに閲覧してもらえるか、というとそうではないようです。

ハルメク社がシニア層のスマホ保有者約300人を対象に、スマホの使いこなし度を調査したところ、使いこなしていると回答した人の割合は15%以下でした。また、ハルメク誌で8月にスマホ特集を組んだところ、読者6万人/月と過去最高の結果に。「スマホの使い方が分からないと感じている人が多い証拠だ」と木船氏。シニア世代はスマホを保持しているが若者のように使いこなせてはいない、と認識した上で、UI(ユーザーインターフェイス)を工夫する必要があるようです。
その例として、木船氏はポケモンGOのシニアプロモーションを紹介しました。一般的なゲームの解説書であれば、ゲームのクリア方法や隠れアイテムなどに多くのページを割くことでしょう。しかし調査や体験イベントを行ったところ、シニア層ではもっと前の段階であるGoogleアカウントの取得方法でつまずくことが判明。そこでハルメク社が作成したポケモンGO入門ガイドでは、Googleアカウントの取得方法に48ページ中8ページも割きました。このようにシニア層を対象とする場合、これまでとは違った視点を持つことが大切です。

シニア層のマーケティングで大切なことがもう一つあります。それは「クラスタリング」です。(60歳以上の層を?)シニアとひとくくりにするのではなく価値観などでグループ分けし、どのような価値観の人にマーケティングするのか考えなくてはなりません。ターゲットでない方の意見を聞かないことも大切だそうです。


シニア層の関心事はセルフメディケーションと症状検索

シニア層が感じるリアルな健康意識はどうなっているのでしょうか。木船氏が調査結果をもとに、詳しく解説しています。

コロナ禍でセルフメディケーションの意識が高まる

新型コロナウイルス感染拡大は、多くの人々の生活に影響を与えました。健康面ではどのような影響が見られたのでしょうか。シニア層におけるコロナ禍の体調への影響について、調査結果をハルメク社が発表しています。

コロナ禍の外出自粛中にシニア層の4人に1人が体調不良感じており、若い世代ほどその傾向が顕著でした。「元々外出頻度が高かったプレシニア層は、外出制限により運動量が減ったためではないか」と木船氏は話します。
体調不調の具体的な内容には次のようなものが多く回答されています。

  • 体重増加
  • 気分が沈みがち
  • 肩や首がこる
  • 不安や緊張を感じる
  • やる気がでない
  • だるい、すぐに疲れる
  • 寝つきが悪い、夜目覚めてしまう

コロナ禍で新たに体調不調を感じているにもかかわらず、通院頻度が減った人が3割いることも判明。さらに4割の人が運動不足を感じていました。運動不足による体調不調回避のために、健康維持に注目が高まっています。
ハルメク社の売り上げからも、健康維持に関心が高まっていることが分かっているそうです。自宅でできる運動器具などを取り扱うハルメクヘルスケアの売上高は、4月以降大幅に伸びています。なんとかして自分で健康維持をしようと、行動しているシニア層が多いと言えそうです。

シニア層はテレビとインターネットから健康情報を入手

2020年2月実施の健康意識調査を木船氏が紹介しました。
最近1年間において、予防・緩和・改善したい症状や悩みは、

  • 目が疲れやすい
  • 寝つきが悪い・眠りが浅い
  • 認知機能の衰え
  • しわやたるみ
  • コレステロール値

などが高い割合を示しました。このような健康面で気になることがある場合、通院や市販薬を使うよりも、休養を取る・サプリメントを飲むといった対処方法を選ぶ人が多いことがアンケート結果より分かっています。

ハルメク社のデータによると、「病気の予防・緩和・改善したい症状・悩み」への対処法として市販薬や通院を選ぶ人は、全体からすると比較的少ないのこと。シニア層は、病気かもしれない、と感じても薬や医者には頼らない・頼りたくない意識が高いようです。
ではサプリメントなら気軽に飲むのか、というとそうでもありません。ハルメク社で健康食品やサプリメントを購入している人へのアンケート結果によると、

  • サプリメント購入からはじめた人は、健康食品もサプリメントも購入する
  • 健康食品購入からはじめた人は、サプリメントは購入しない

という傾向が認められたそうです。
「インタビューをしていると、『サプリメントに頼りたくないのよ』という声をよく耳にする」と木船氏。予防意識は高いがサプリメントや薬に抵抗があるシニア層に対して、薬のネガティブ意識を解消し、自分ゴト化啓蒙がポイントとなりそうです。

では健康への意識が高いシニア層は、健康情報をどのような手段で収集するのでしょうか。

図2

ハルメク社の調査によると、テレビから健康情報を入手するが72%と圧倒的でした(図2)。さらに、インターネットも60%と高い割合を示しています。自分が知りたいと思うことを能動的に調べる機会が多いインターネットで、シニア層はどのような健康情報を探しているかも気になるところです。

図3

同じアンケートでの結果によると、「現在の症状から推測できる病気」をインターネットで検索する人が多いことが分かりました(図3)。コロナ禍で通院を控える傾向にあり、症状から推測される病気をインターネットで検索する人がさらに増えてくるかもしれません。症状別のSEO対策やリスティング広告が、シニア層向けマーケティングのポイントとなりそうです。
今注目のオンライン診療については、利用したいという声が4割あった一方、利用に不安を感じている人も多くいました。医師とのコミュニケーション・症状をうまく伝えられるかといったところに不安を感じており、シニアへのオンライン診療普及の課題となりそうです。
「コロナ禍も相まって、セルフメディケーションの潮流は高まるだろう。医薬品の啓蒙には、潮流や心理を踏まえたコミュニケーション設計が必要となってくる」と木船氏は話していました。


ハルメク社が提供する自分ゴト化を図るプロモーション

圧倒的なシニア知見を持つハルメク社は、コンサルティング、ADソリューション(広告代理・制作事業)、D2C支援と多面的にサービスを提供(図6)。雑誌で培ってきた「買ってでも読みたい」と思ってもらえる制作技術により、銀行や食品業界はもちろん、製薬企業にも多数の出稿事例を持っています。各社の会報誌やWEBコンテンツに加え、ハルメク誌でのプロモーションも行っているそうです。

「プロモーションで大切なことは、自分ゴト化を図ること」と木船氏。アンケートをもとに、プロモーションメッセージを用意し、読者の認知度に合わせてメッセージを変更し、認知度アップに繋げるそうです。
十分なシニア情報量を生かしたハルメク社のマーケティングやプロモーションに加え、医薬情報ネット社と連携した医薬品業界の学術ライティングで、製薬企業のバックアップを行っています。

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Medinew 管理者

学会情報データベースの提供・活用提案や、医療系広告代理店事業(医療用医薬品のマーケティングやプロモーションのサポート)を行っています。

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