セミナーレポート/製薬業界でのチャットボット活用で社内外のDXを実現!各製薬企業での事例などもご紹介

DX(デジタルトランスフォーメーション)の注目により、マーケティングやセールスではさらなる効率化が求められています。2020年12月10日「製薬業界でのチャットボット活用で社内外のDXを実現」と題して、製薬、金融、生命・損害保険など幅広い分野でITソリューションを提供するネオス株式会社の宇佐見氏が講演。ChatBOTの活用事例について、詳しく紹介しました。

ChatBOT×DXの効果は提供側にもユーザーにもさまざまなメリット

最近注目されているDX(デジタルトランスフォーメーション)。ITを活用した製品や業務の変革・改善を意味しますが、ネオス社では、次のようなChatBOTを活用したDXを施策と組み合わせ提供しています。

  • 社内外の問い合わせ対応の自動化
  • カスタマーサポートにおける応対支援
  • ノウハウや知識の共有でサービスレベルの向上
  • オウンドメディアでのCV(コンバージョン)促進

ChatBOTとは

自動応答プログラムであるChatBOT。自動言語処理などのAIを絡めることで、ロボットが人間らしく対応できる技術です。たとえば、「明日の天気は?」と質問すれば、「明日の天気は雨。傘をお持ちください」と回答したり、「今日15時から会議室3を予約」と入力すれば、予約の空き状況を確認した上で会議室を予約したりします。
ChatBOTはヤマト運輸の配達日時変更やリクルートの求人検索など、LINEを用いたBtoC領域で始まり、身近なものとなってきています。

【ChatBOTの価値】

近年はビジネス領域での活用が始まっていますが、特にヘルプデスクや経理・法務部門への問い合わせなど社内利用が進んでいます。ファイルサーバーに導入し画像を保存した際にメンバーへ通知したり、カレンダー情報とネットワーク環境を紐付けて社員の居場所を教えたりすることも可能です。

社内問い合わせ対応の自動化

ChatBOTの重要な使い方のひとつが、問い合わせ対応の自動化です。社内でのフローワーク上で、「これどうするんだっけ?」というケースは多いのではないでしょうか。特に近年は、事業部門の細分化や専門性・高度化などの理由により、専門部署への問い合わせが増加しており、本来の業務の妨げになっていることも少なくありません。もちろんマニュアル作成や体系化など解決策を講じてはいますが、検索リテラシーのムラや必要なタイミングで情報提供ができないといった問題もあり、うまくいかないケースが多々あります。そこで宇佐見氏がおすすめする解決策が、ChatBOTを活用した問い合わせ対応の自動化です。

社内問い合わせ対応の自動化がもたらす効果

  1. 業務ノウハウを蓄積できる
  2. いつでも短時間で問い合わせができる
  3. 自己解決力強化で社員が育成できる

実際にChatBOTで問い合わせ対応の自動化を導入したモスバーガーでは、
・一日当たり2~4時間要していた問い合わせ対応が、40分に短縮
・土日対応がほぼ0になり、土日出勤が減少
・折り返し連絡が4割から1割に減少
といった効果が得られました。

ChatBOTを活用することで、社員の異動や離職による知識の喪失を回避し、24時間365日いつでも問い合わせ可能となります。さらに自動応答で気軽に質問できるといった点も魅力であり、新人教育のツールとして活用している会社もあります。

製薬業界でのChatBotの活用で提供できる3つの価値

PwC Japanグループの調査(2020年4月実施)によると、MRとの直接面談の減少により、医師はWEBサイトやWEBセミナーから医薬品の情報収集をしていることが判明しました。情報収集のチャネルはWEBセミナーが26%・WEBサイトが27%に対し、リモート面談は7%にとどまっており、情報提供の在り方がプッシュ型からプル型へと変化していると言えそうです。

「今後、製薬企業から次のような情報提供が実施された場合、利用したいと思いますか?」の問いには、「医師専用の情報提供管理ページによってMR/MSLとのコミュニケーションが可能」が55%、「AIチャットボットを利用した情報提供」が30%の支持を得ており、医師がデジタルでの情報提供に興味を持っていることが分かります。

では本日のテーマであるChatBOTは、どのような価値を製薬業界に提供してくれるのでしょうか。宇佐見氏によると、次の3つは間違いなく提供できる価値だそうです。

・情報資産の有効活用
WEBサイトなどで情報発信をする際には、検索リテラシーが必要となってくるが、求められる・発信したい情報へとうまく誘導可能に

・見える化
ログに残るユーザーとボットの会話は、重要な情報資産。集計し分析することで、ユーザーの本音を把握可能

・知識均質化
ChatBOTを辞書として活用し、回答を統一

具体的には下図のようなChatBOTのユースケースが想定されます。

情報資産の有効活用

製品情報の提供にChatBOTを活用している各社の一般事例をいくつか宇佐見氏が紹介しました。エーザイや中外製薬などで活用されていますが、ほとんどの企業で「自由入力ではなく、選択形式を用いている」という共通した特徴が見られます。これには製薬業界ならではの理由もあるようで、本セミナー主催の株式会社医薬情報ネットの金子氏は「副作用情報を入力された場合の対応問題や、医療系単語の言語処理能力の問題があるのでは」と指摘します。

比較的取り組みやすいChatBOTの活用は、WEBサイトナビゲーションです。他業種ですが、電子部品と車載情報機器を扱うALPSALPINE社ではWEB展示会内でのナビゲーションにBOTを採用。キーワードから検索したり問い合わせたりできるピックアップメニューを設置し、オペレーターへの直接質問が可能な仮想ブースの環境を整えました。

製薬企業が資産の有効活用にChatBOTを利用するのであれば、その他にWEBサイト上でグローバルナビでは訴求できないおすすめコンテンツのナビゲーションや、簡易認証連携機能でサイト来訪者の特定などが有用です。また医師がチャットで質問したい場合には、タイムリーに有人対応が可能であり、機能としては担当MRが対応することもできるとのことでした。

見える化

ChatBOTの活用はユーザーとBOTの会話内容や利用率などの情報を集積し分析できる上に、BOTが回答できなかった入力文も把握できるため、FAQの改善にも有用です。さらにChatBOTとシステムを連携した情報発信もおすすめです。たとえば学会スケジュールの発信であれば、疾患や時期などから学会情報を検索したり、お気に入り登録で開催情報を通知したり、開催場所での宿泊施設検索に誘導したりすることもできます。

知識の均質化

主に社内利用での価値が高い利用法となりますが、用語集や略語集をBOTに構築することで、ChatBOTを辞書代わりにする方法も有用です。医学薬学用語の知識が求められる製薬業界では、新人や中途採用者にとって分からない言葉はたくさんあります。しかし、逐一先輩社員に聞くのは気が引けますし、双方の時間を用語の質問に使ってしまうのはもったいないものです。ChatBOTで問い合わせの自動化を実現すると、前述したモスバーガーの例のように、問い合わせ時間の短縮に繋がります。

宇佐見氏が紹介したイナバ物置での問い合わせBOTの活用例では、選択やキーワード入力により回答(画像添付も可)が得られるようになっていました。問い合わせBOTは120人程の社員が利用可能な状況で、一日に50人以上が利用しており、社員に広く浸透し有効活用されているそうです。

OfficeBotは社内外で活用できるさまざまな機能を搭載

最後にネオス社のサービスのひとつ、「OfficeBot」について、宇佐見氏が紹介しました。下図に示すように、社内外で活用できるさまざまな機能を搭載したOfficeBot。スタンダードプランとプレミアムプランの2種類のプランを用意しており、サポート機能などが付いたプレミアムプランは、初期費用35万円・月額費用15万円で導入できます。問い合わせ対応の自動化での導入であれば、1~2週間で運用可能とのことでした。

ChatBOTのサービスの価格帯は広く、安いもので月額1500円程度のものも。一方、機械学習モデルなど高機能であれば、初期費用数百万・月額数十万から百万以上のものもあります。高機能であればあるほど良い、というわけではなく、高機能なものほど運用も煩雑になってきます。そのため活用したいサービスを考慮し、必要な機能を備えたChatBOTを選ぶと良さそうです。

「ChatBOTを導入したこれまでの企業には、『こんなに実装しやすいシステムは、これまでなかった』という声をもらっている。みんなが『利用していこう!』と思える着手しやすいシステムである」と宇佐見氏。デモやトライアルはすぐに利用できますので、試してみてはいかがでしょうか。