オンライン診療の導入で進む医療のオンライン化・デジタル化の課題と今後

医療のオンライン化やデジタル化が進む一方で、医療現場では導入に至るまでの課題も多く、民間の医療現場ではなかなか導入に至れない現状があります。

本記事では、医療のオンライン化、特にオンライン診療における課題とその解決策について、またデジタル化を進めることによる医療へのインパクトについて、オンライン診療アプリ「curon」などのサービスを提供する株式会社MICINへの取材を交えお伝えします。

オンライン診療が普及していく中で課題になっていること

オンライン診療を導入する医療機関が増える一方、まだシステム導入に至っていない医療現場も少なからず存在しています。民間の診療所や整形外科や耳鼻科などでは、早朝より診察券を投函する列を作る患者さんを今でも目にします。

そこに並ぶほとんどの患者さんが高齢であるという実態から「オンライン診療を導入したくても、患者さんがシステム導入によるハイテク化に追いつけない」という問題が見えてきます。

また、多くのオンライン診療システムの導入は、医療機関サイドに導入コストを強いる形態が多く、1日の来院者数が少ない地域の医療機関では、システムの導入自体が難しいと考えられます。

毎年猛威を振るうインフルエンザウイルスや、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が蔓延する昨今、オンライン診療は医療機関内での感染拡大を抑止する手段のひとつとなります。しかし、対面診療や触診から得られる情報量の多さや、次のアクションに移る判断のスピードから、全てをオンライン診療では賄いきれないという、技術的な面での問題の解消が今後の課題となってくるでしょう。

オンライン診療アプリ「curon」の解決アプローチ

今回、オンライン診療アプリ「curon(クロン)」を展開されている株式会社MICINにお話を伺いました。

「これらの課題に対し、オンライン診療アプリ「curon」を提供する弊社では、複数のアプローチで解決策を提示しています。前項に準じてご説明いたします。

第一の課題としての「患者さんに高齢者が多く、ITを使いこなすことのハードルが高い」点に対しては、2020年8月、「curon typeC」という新たなサービスの提供を解決策として用意しております。本サービスはアプリケーションのインストールやクレジットカード登録を行うことなく、患者が非対面診療(電話診療、オンライン診療)を利用開始できることが特長であり、従来のサービスよりも容易にご利用いただけるようになっております。

第二の課題である「システム導入費用が高い事がオンライン診療開始の障壁になっている」点に対しては、curon提供開始当初より「医療機関の導入費用・月額費用を0円」で提供していることで、既に課題解決できていると考えております。固定費用が無いことによって、たとえオンライン診療のメリットを享受できる患者さんが少人数でも、医療現場は経営的な負担を感じることなくオンライン診療を導入いただけます。

また、第三の課題である「技術面」においても、ヘルスケアデータとの連携機能で患者さんの日常データ(歩数、体重、血圧、血糖値など)を医師に共有することで、診療日以外の状況も踏まえた診察を可能にしています。さらに、今後は治療アプリの開発・オンライン診療の連携も視野に入れており、医師と患者さんとのコミュニケーションの機会をオンライン上でも作ることで、さらに患者さんに対してメリットがあるものにしていくことができると考えられます。」

(画像提供:株式会社MICIN)
(画像提供:株式会社MICIN)

医療分野のデジタル化における技術的課題

現在、医療分野におけるデジタル化の必要性は顕著であり、多くの企業がその分野に参入を果たしています。しかし、その多くはまだ独自による技術や知識の独占状態であり、全ての電子カルテ情報やレセプト情報が同じシステム下で統一性を持ってデータ化されているわけではないという「製造過程のシステムの不統一」が大きな課題です。

それぞれが生き残りを競うことで、システム同士の互換性を持たせられないということは、新たなデジタル技術が進出するごとに対応できるシステムをアップデートし続けなければならないということになります。そこに割かれる時間的ロスも人的コストも、医学の発展にブレーキをかける一因になり、医療の妨げにつながってしまうと考えられます。

全てのデジタル医療情報が統一されたシステム下でデータ化され、共通ルールの下でデータ集積が行われることで、医学会全体に大きなインパクトを与えられるようになるでしょう。

しかし、同一システム下での開発となることで、セキュリティ面が脆弱になりかねないということも注意しなければなりません。こと医療の観点からすれば、患者さんの個人情報保護は必須条件になります。そこに危険性を残すようなシステムでは、現状デジタル化が進んでいない医療現場に対し、デジタル化を推奨することはできなくなります。

デジタル化に参入している企業には、セキュリティ面においても進化した技術を取り入れた上で、相互運用性の高いデジタル技術を作り続けていくことが今後の課題となります。

技術的課題への解決法とは

医療データの解析・活用しデータソリューション事業も行っている株式会社MICINに再び伺いました。

病院に眠っているデータを活用できれば、ふだんの生活と病気の関係がもっとわかるようになり、医師の「技」を「見える化」して伝えていけば、いつでも、どこでも、誰でも、質の高い医療を受けられるようになる、そのような未来を作りたいと考え事業を推進しています。

実際に、MICIN社では医療機関向けのツール提供や患者接点のデジタル化を進めています。医療従事者・患者をつなげていき、学習用データの取得や個人データの蓄積、分類・予測アルゴリズムを開発することで介入対象を発見し、介入による行動変容に向け、個々人に最適化した行動変容促進ノウハウを活用したサービスなどを開発する。ここまでを一気通貫で提供しています。医療機関ではそのようなデータを活用することで、提供する医療にも変化が起こってきています。

(shutterstock)

技術的な問題では、現在の個人情報保護の法制度の在り方とデジタル化の間にある壁については、企業としてもリサーチや研究を推進することにより、安全な情報管理のエビデンスを積み重ねていくことで解決が可能としています。また、他社のシステム下で不統一性の問題は、自社のシステムを他の医療システムと連携しやすいように構築することなど、多岐にわたり問題解決に向け取り組んでいます。

重要課題とも言えるのが、セキュリティの問題です。例えば医師・患者双方にまたがるオンライン診療システムを例にあげると、3省3ガイドラインの遵守は勿論、データ構造上の工夫、オンライン診療の領域におけるガイドラインの遵守に力を入れることでセキュリティ対策を行うべきと考えているということでした。

まとめ

現在、多くの企業がオンライン診療の分野に進出を果たしたことで、医療データのデジタル化が医療現場のみならず、医薬品の研究開発など、医学会全体の課題解決に対し、飛躍的な進歩を遂げるものと期待されています。

現状、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が社会的問題となったことで、感染症リスクを下げるために、実際にオンライン診療を導入している医療現場は増加傾向にあります。オンライン診療でのデジタルデータ集積により、これまで医療現場以外で使うことがなかった医療データを解析し、他の医療機関や製薬会社へ治験データとして提供できる環境が少しずつ整ってきています。

オンライン診療など医療業界のデジタル化の流れは、来院負担などの軽減といった患者さんにとってのメリットのみではなく、医薬品開発においてもさまざまな付加価値を生みだしていくでしょう。

医療データのデジタル化を推進することにより、治験データを製薬会社や研究機関へ共有しやすい形で提供することで、業務の効率化やデータの質の向上に繋がり、研究開発費のコストダウンを実現させます。

オンライン診療により、医療データのデジタル化が進むことで、患者さんに適切な治療法を提案できることはもちろん、医療・治験データを製薬会社や研究機関へも共有していくことで、予防医療や医薬品などの研究開発の発展に寄与することが予想されます。

(協力)株式会社MICIN
https://micin.jp/