MDMD2022Springレポート/コンプライアンスに準拠したメールマーケティング実践。工夫のポイントは?

「DX時代を切り拓く!進化する医薬品デジタルマーケティングを展望」をテーマに開催したオンラインカンファレンス「Medinew Digital Marketing Day 2022 Spring」。本セッションでは、株式会社フラジェリンの代表取締役CEO 阪本怜氏が講演しました。リモートワークで普及したメールでのコミュニケーションの重要度や最近のトレンド、今後の展望についての解説内容をまとめます。

リモートの普及によって注目されるメールマーケティング

製薬業界におけるリモート下での情報提供活動は活発化しており、2020年と比較すると2021年はリモート会議の数は6倍、メール配信数は5倍、webコンテンツの量は4倍に増えています。

中でも、ROIの高いマーケティング施策として、メールマーケティングが注目されています。実際に製薬業界におけるプロモーションのコストを見ても、オフラインの営業はもちろん、コミュニケーションツールのような外部プラットフォームを使ったメッセージ送信に比べて、メール配信はごく僅かなコストで収まるというヒアリング結果が出ています。

メール関連指標もCOVID-19前後で大きな変化が

コロナによるメール関連指標の変化
2022.05.26 (株)フラジェリン 「コンプラインスに準拠したメールマーケティング実践⼯夫のポイントは?」資料より抜粋

メールは配信数のほか、開封率が5%、クリック率は20%増加し、購読解除率は5%減少とCOVID-19の流行前後で下記のように大きく変化しています。

開封率とクリック率UPの要因として考えられるのは、コロナ禍による外来の患者数の大幅な減少であると阪本氏は話します。外来の患者数が減少したことで時間に余裕ができ、メールを確認する時間やWebからの情報収集に時間を割く医師が増えた可能性が考えられます。

COVID-19の流行後の患者数リバウンド
2022.05.26 (株)フラジェリン 「コンプラインスに準拠したメールマーケティング実践⼯夫のポイントは?」資料より抜粋

現在も患者数は例年と比べて3〜5%減少したまま推移しており、メールの開封率やクリック率も高い状態がキープされています。
患者数の増減率は診療科によっても異なり、小児科・リハビリ科・呼吸器科・耳鼻咽喉科は減少傾向、リウマチ科・泌尿器科・プライマリケア専門・内分泌科などは反対に増加傾向にあると阪本氏は解説しました。

製薬市場における2021年のメールの開封率の平均は世界全体で36%、世界各地では約30〜40%前後。それに対し、フラジェリンが提供するサービス「Shaperon Email」では、これらの数値を遥かに上回る55〜59%をキープできている製薬企業がほとんどであると阪本氏は話します。

フラジェリンが提供する「Shaperon Email」の特徴

Shaperon Emailの特徴
2022.05.26 (株)フラジェリン 「コンプラインスに準拠したメールマーケティング実践⼯夫のポイントは?」資料より抜粋

「Shaperon Email」はメールレイアウトやメールの作成方法は一般的なものと変わりませんが、医療従事者とのメール送受信を1つに集約できる点が大きなメリットです。また、Web講演会用のメールテンプレートが豊富に用意されていたり、審査済み資材が送信できたりと、医療従事者向けに特化したメール機能が充実しています。

メールの開封やファイルの閲覧履歴をトラッキングしデータを蓄積できるほか、顧客アドレスの管理、本社とMRのアドレスを相互に使用できる機能、自動連携機能も備わっていて、1ツールでメールマーケティング全般を行うことができます。

「Shaperon Email」が解決する製薬マーケティングの課題

「Shaperon Email」の導入により、下記のようなさまざまな課題を改善できると阪本氏は続けます。

  • メールの確認を含めたガイドラインの対応に改善の余地がある
  • 医師に届けるメッセージがMRによって異なるなど、マーケティングの質を向上させる必要がある
  • メールに関するデータが残らないためPDCAが回せない

このような課題を解決するには、「Shaperon Email」を導入するだけでなく、導入直後の設計作りが不可欠です。

まずは自社内での利用推進を行う旗振り役を設けることが重要です。フラジェリンのカスタマーサクセスチームとも連携しながら利用状況を可視化することにより、現状課題を把握できます。
また、適切なKPIを検討するために、メールアドレス取得数などの数値を可視化し、追ってくことも非常に大切です。導入後スムーズに利用を促進させるためには、各種資材やテンプレートを整備しておくことも必要不可欠です。

「Shaperon Email」運用における工夫のポイント

「Shaperon Email」を運用する際、以下のような工夫をすることで効果的なメールマーケティングの実施が期待できます。

メールの配信回数は週に1回、時間帯は問わない

COVID-19流行前は、どの間隔でメールを送っても開封率に大きな変化はありませんでした。しかし、COVID-19流行後は、一度メールを送った1週間後に再度同じメールを送った場合の開封率が最も高くなりました。下図のグラフの結果から、5日〜1週間の1回の間隔でメールを配信したほうが良いことが分かります。

IT関連の分析データを多数公開している株式会社WACULが発表したレポート1)からも、1〜2週間に1〜3回のメール送信は高いパフォーマンスを得ることが分かっています。

開封率が高くなるタイミング
2022.05.26 (株)フラジェリン 「コンプラインスに準拠したメールマーケティング実践⼯夫のポイントは?」資料より抜粋

なお、医師がメールを開封する時間は、17〜19時台が多いという結果が出ています。しかし送信から開封までの時間を分析すると、どの時間に送信しても1時間~24時間以内で開封されている率に大きな違いはありません。つまり、メール配信の時間帯にかかわらず、必要であればメールは開封されると考えられます。

内容によっても開封率は異なる

開封率の高いコンテンツ
2022.05.26 (株)フラジェリン 「コンプラインスに準拠したメールマーケティング実践⼯夫のポイントは?」資料より抜粋

製薬企業が配信する医師向けメールのデータを解析した結果、掲載コンテンツによって開封率が異なります。もっとも開封率が高いのはe-Learningコンテンツ、次いで臨床試験結果、製品情報の詳細リーフレットと続きます。そのほか、ウェビナーなどのイベント詳細に関するメールも比較的開封率が高いという結果が出ています。

メール配信に使用する膨大なコンテンツを整備し、適切なコンテンツを配信するためには、プロダクトのライフスタイルや医師のステータスにあわせた視点を持つことが重要と阪本氏は話します。

「認知拡大」「市場シェア拡大」「市場シェア維持」「売上低下防止」とプロダクトのフェーズにあわせて、医師のステータスや状況にあわせて資材やテンプレートを用意しメールを設計することが大切です。

コンテンツの整備は手間と時間がかかるものの、「1回配信したメールが使えなくなるわけではない」と阪本氏。メールの開封率が50%であれば、残りの50%は掲載コンテンツを確認していないことになります。よって、件名のみ変更して再度同じコンテンツを配信することで、前回メールを開封していないターゲットに、再度情報を届けることが可能です。

考慮すべき4つのトレンド

メール配信時には、以下の4つのトレンドを考慮すべきだと阪本氏は続けます。

  • パーソナライゼーション
  • モバイル対応
  • ダークモード対応
  • コンテンツ強化

本記事では、「パーソナライゼーション」に関して解説します。

メールのパーソナライゼーション
2022.05.26 (株)フラジェリン 「コンプラインスに準拠したメールマーケティング実践⼯夫のポイントは?」資料より抜粋

WACULのレポート1)によると、パーソナライゼーションを考える上でもっとも効果があった手法は「メール件名のブラッシュアップ」とされています。件名は、「15〜25文字程度」「できる限り数字を入れる」ことを意識すると開封率の向上が期待できます。

フラジェリンのデータでは、件名が26文字以上のメール開封率が58.1%であるのに対し、25文字以下の場合は66.7%まで引き上がるという結果も出ています。30〜40文字を超えた辺りから徐々に開封率は下がり、文字数が多ければ多いほど開封率は減少していきます。

メールの件名をブラッシュアップする場合、15~25字以内で受信者にとっての最適な文言を考えることが大切です。

製薬業界におけるメールマーケティングの重要性

製薬企業各社が、この時代に適したマーケティング手法の一つとしてメールマーケティングの重要性・有用性を把握する必要があります。医師一人ひとりが求める情報を、パーソナライズ化して適切に・素早く届けるためには、「Shaperon Email」などのデータ管理も可能なメール配信ツールが欠かせません。

Shaperonは今後、年に4回のメジャーリリース時に新機能や新プロダクトのリリースを行い、2022年〜2023年春に大きなアップデートを行う予定です。

<参考>※URL最終閲覧2022/6/10
1)2021.8.10, 株式会社WACUL,「メール送りすぎ?」 という遠慮は不要。メールマーケティングの実態調査(https://wacul.co.jp/lab/mail-marketing_best-practice_report_2/