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MDMD2021レポート/現場を動かすデータ活用とは?~実務でぶち当たる壁を乗り越えるために~

MDMD2021レポート/現場を動かすデータ活用とは?~実務でぶち当たる壁を乗り越えるために~

「医薬品業界におけるマーケティングの新潮流・最新トレンドの展望」をテーマに開催したオンラインカンファレンス「Medinew Digital Marketing Day(MDMD)2021」。2日目最初のセッション「現場を動かすデータ活用とは?~実務でぶち当たる壁を乗り越えるために~」では、アステラス製薬株式会社の西原佳世氏が講演しました。データ活用の環境構築や現場へのデータ提供におけるポイントと課題、今後の方向性について解説した、本セッションの内容をまとめます。

データ分析環境構築・レポート提供における課題と取り組み

製薬コマーシャル領域におけるデータ関連業務・レポート提供業務における課題と、それらに対する同社内での取り組み・今後の展望について、アステラス製薬の西原氏が解説しました。

課題① コマーシャル部門での柔軟なデータ抽出・分析の難しさ

昨今、各製薬企業でデータの一元化・分析スキルが強化されている中で、「コマーシャル部門の分析ケイパビリティ強化を進めているが、保有データを自由に扱えていない」という現状があります。

「実際にアステラス製薬でも、今までは収集・蓄積したデータをBIやSFAを通じて見せることを重視していたため、データを自由にタイムリーに分析することができなかった」と西原氏。さらにデータの抽出や分析は必要になるたび外部に依頼していたため、コスト面でも課題があったようです。

そこでアステラス製薬では、収集・蓄積したデータをBIやSFAを通じて見せるだけでなく、SQLを活用して分析担当者が自由に抽出・分析できるよう改善。大幅なコスト削減を実現しました。西原氏は、「初期構築段階からIT部門とビジネス部門で協力し合いながら、ギャップが生じてきたら修正できるような環境づくりが大切」と話します。

課題② 細かい項目名の違いや表現などが混乱を招く

製薬業界の課題として、同じ社内のメンバーであっても、項目名や表現の細かい違いによって分析担当者がどのドキュメントを使えばいいのか分からず混乱が生じてしまう、ということが挙げられます。

  • ユーザーが理解できるような具体的な表現に変える
  • データの取り扱いに際し必ず留意すべき点は目立つように記載する
  • ファイル間で項目名や表現の表記を揃える

上記のような細かい作業を行いながら、IT部門・ビジネス部門どちらの担当者も正しく理解できるよう整備していくことが、トラブル回避や後々の工数削減に繋がると西原氏は話します。

課題③ データの所在が各部門で可視化されておらず活用できない

各部門で保有するデータが可視化されていないために、効果的なデータの活用ができていないといった課題も起こりうる、と西原氏は話します。部門が保有するデータを他部門の担当者に紹介することでデータ活用はできるものの、その方法ではどうしても属人的になってしまいます。 各部門が効率的にデータ活用を行うためには、購入窓口の一元化や購入可否の判断、更新・共有方法などをルール化して運用することが必要です。

データ分析環境構築のポイント

データのレポート提供における課題とその解決策

データ分析環境構築だけではなく、レポートの提供にもいくつかの課題があると西原氏は指摘します。

その中でも「同じ項目で違う数値のレポートがある」「提供先は違うけどほとんど同じ内容のレポートが多い」など、多くのレポートが乱立してしまうことはアステラス製薬でもよく起こります。部署間での言葉の定義や取得条件が異なることや、部門全体での管理体制が弱いことが原因になることが多いそう。

さらにレポート自体は幅広く・数多く存在するものの、一部のユーザーにしか活用されていないという現状も見受けられます。現場の担当者が自由にレポートを利用できる環境が整っているにも関わらず、「情報量が多すぎて自分に必要なものを探し出せない」「データの精度・根拠に納得できない」などと、活用してもらえないケースも存在します。

これらの課題を解消するためには、部門全体を通してレポート依頼・作成状況をマネジメントできる体制の構築や部門間でのコミュニケーション、利用者が必要な情報に最短で辿り着けるレポートの作成が必要であると西原氏は話します。

レポート提供のポイント

ツールやデータを製薬企業の現場で展開する上での注意点とは

レポート提供だけに関わらず、ツールを現場に展開する上で気をつけることは「あくまでも情報収集の効率化を支援するものであり、気づきを与えるのが目的で結果を押し付けるわけではない」というスタンスでいることと西原氏。活用方法はもちろん、提供側で意図していることをきちんと現場にも伝えていくことが重要です。

特にAIなどの新しい手法を活用したツールやデータを開発・導入する際には一度に多くの機能を展開するのではなく、重要なものに絞って運用していくことで現場の理解が得られやすくなるかもしれません。

製薬企業には、データが一元化されていなかったり各部門の認識にずれが生じたりすることにより、データ分析環境構築やレポート提供においての課題が多くあります。西原氏は、それらを解決するために重要なのは「想像力」と「バランス感覚」ではないかと話します。直近のことだけでなく、2、3年先を見据えて初期環境を構築する想像力、コストと意思決定・本社と現場などのバランス感覚が、データを有効に活用していく上で大事であると西原氏は締めくくりました。

学会情報データベースを活用したMR機能強化

西原氏の講演を受け、セッションの後半では学会情報データベースを活用したMR機能強化について、株式会社医薬情報ネット事業戦略室室長の笹木が紹介しました。医薬情報ネットでは国内主要学会の講演50万件以上をカバーする学会公演情報や論文情報を収集しデータベース化し、製薬企業を中心に提供しています。

製薬業界におけるデータ活用の課題と今後

医薬情報ネットが運営するMedinewでは、2021年7月に製薬企業の本社勤務者を対象にデータ活用についてのアンケートを実施しました。

データ活用の課題としては「データに精通した人材・体制が不足している」ということをはじめ、「社内外のデータ統合がされていない」「部門をまたがるデータ活用ができていない・取り扱いルールが整備されていない」など、西原氏が挙げた課題が多くの会社で存在することがわかりました。

製薬企業のデータ活用の実態

さらに、「具体的にどういうデータを利用しているか」という設問に関しては、「オウンドメディア・講演会のデータ」「MR活動によって得られた情報」などさまざまなデータが利用されているという結果に。

「今後、どのようなデータの活用を強化していきたいですか」という問いに対しては、自社収集のデータが上位となったものの外部のデータも活用していきたいとの結果に。数年後を見据えてしっかりとデータを活用していくということが今後の製薬企業でのデジタルマーケティングの動きとなっていくのではと予想されます。

▼製薬企業のデータ活用に関するアンケート結果詳細はこちら
【DL資料あり】製薬企業デジタル&データ活用 実態調査2021レポート – データ編

「学会講演データベース」「論文情報データベース」について

医薬情報ネットでは、「学会講演データベース」「論文情報データベース」を提供しています。

学会情報データベースは、日本国内で開催される年間約1,400の医学系学会の情報をデータベース化しています。2014年以降の国内主要学会(口頭発表、ポスター発表、スポンサードセミナーなど、抄録集・プログラム集に登場するすべての演題)の情報をデータベース化しており、演題情報は50万件以上にのぼります。

「どの医師が、どの医療機関に所属していた時に、なんという学会で、誰と、どのような演題で発表したのか?今後発表するものは?」などのデータを抽出することが可能です。

論文情報データベースは、MEDLINE®内での日本人著者を含む論文情報を抽出したデータベースです。日本人医師が英語で発表した論文をデータベース化して顧客コードを付与して提供しています。

「どの医師が、どの医療機関に所属していた時に、なんという英語ジャーナルで、なんという論題で発表したのか?最終著者、共同著者は誰か?」というデータが抽出可能です。さらに人物名、疾患名など、さまざまなキーワードから論文を抽出できます。

学会情報データベース、論文情報データベースの活用シーン

「学会講演データベース」「論文情報データベース」の利用シーンとしては以下が挙げられます。

  • MRのディテーリング活動支援
  • MSL、MAのメディカル活動支援
  • ターゲット医師・施設分析
  • 競合企業分析

製薬企業におけるデータ活用の重要性

製薬企業がデータを有効活用するためには2、3年後を見据えた初期構築が大切であると、本セッションを通して西原氏と笹木は話します。各社がデータの有効性を理解し、業界全体でデータの活用を進めていくことが今後の製薬企業の成長につながるでしょう。

本講演で紹介しました、株式会社医薬情報ネットのサービス「学会情報データベース」「論文情報データベース」について、ご質問やご相談がございましたら、お気軽に下記フォームよりお問い合わせください。資料をご希望される場合には、その旨フォームにご記載ください。