製薬企業のメールマーケティングで知っておきたい、スパム判定を避ける方法

メルマガ配信を駆使したメールマーケティングは、製薬企業にとってもマーケティング施策として有効な手段です。しかし、メルマガ配信においては自社のメールがスパム判定され、読者である医療従事者に届かないという問題も起こり得ます。本記事では、メールマーケティングの成果を上げるために、メールマガジンがスパム判定されないための取り組みを解説します。

メールマーケティングで注意すべき「スパム判定」とは?

スパム判定とは、受信側が設定した「スパムフィルタ」によって配信メールが「迷惑メール」「スパムメール」に認定されることを指します。それぞれの定義については以下の通りです。

  • スパムフィルタ…受信メールを解析し、スパム要素があるかどうかを判定する仕組み。
  • 迷惑メール…広告宣伝や支離滅裂な内容を含んだメール。
  • スパムメール…迷惑メールの一種で、広告宣伝を目的として無差別かつ大量に配信するメール。

製薬企業としても、適切な内容のメールを配信しなければ「プロバイダに迷惑メール判定されると受信者に届かない」「受信者には届いたが、迷惑メールフォルダに入れられてしまう」などの状況が発生します。せっかく配信したメールが迷惑メール認定をされてしまうと機会損失につながり、成果が上がりにくくなります。メールマーケティングにおいて、医療従事者への到達率や閲覧率は、とても重要な指標です。

製薬企業のメールがスパム判定される要因とは?

配信メールがスパム判定される要因は、「送信方法」「送信環境」「内容」の3種類に大別できます。

①メールの送信方法

メールの送信で使われる「SMTP(※1)」は認証の仕組みがないため、自由にメールを送信できます。スパマーは宣伝や詐欺目的で悪意あるメールを大量送信するため、スパム対策として大量のメールを送ってくる送信元をブロックするのが一般的です。
さらに、RFC(※2)や各キャリアが定めている送信ルールに従わない場合も、迷惑メール認定されやすくなります。

※1 SMTP…「Simple Mail Transfer Protocol」の略で、インターネット上のサーバーで、メールを転送するために使用されるプロトコル(通信規約)。
※2 RFC…「Request for Comments」の略で、インターネット技術の標準的な仕様書。

②メールの送信環境

メルマガ配信ではIPアドレスやドメインに加え、DNS(※3)が正しく設定されていないと身元証明ができず、DNSBLなどのブラックリストに載るリスクが高まります。
ブラックリストは迷惑メールのような悪質なコンテンツを配信している送信者を登録し、共有しているリストです。一度ブラックリストに載ってしまえば、配信メールがほとんど届かない状態に陥ります。

※3 DNS…「Domain Name System」の略で、インターネット上でドメイン名を管理・運用するための仕組み。

③メール内容

怪しげなビジネスに誘導するような内容、フィッシングサイトへアクセスさせるURLを載せていると判断されると、スパム認定を受けてしまいかねません。
さらに、配信されたメールに対して受信者がとった行動によってもスパム判定と同様の結果になる可能性があります。例えば「受信者が迷惑メールフォルダに振り分けた」「内容が全く読まれていない」などの状況です。

製薬企業のメールマーケティングでスパム判定を防ぐ方法

製薬企業のメールマーケティングでスパム判定を避ける方法について、「送信方法」「送信環境」「内容」の要素別に解説します。

①メールの送信方法への対策

a. 配信リストの定期的なクリーニング

すでに使われていない無効なメールアドレスに配信を続けていると、ブラックリストに載る恐れがあります。それを避けるために、配信時にエラーとなる頻度が高いアドレスをチェックし、定期的にリストから削除するリストクリーニングを実施します。

b. ダブルオプトインの登録

ダブルオプトインとは、ホームページなどに設置された登録フォームからの申込にプラスして、申し込み後に届く本登録メールのURLをクリックしてメルマガ登録をする方法です。
ダブルオプトインを採用すれば「無効なメールアドレスが登録される」「受信者側がメルマガを登録したことを忘れて迷惑メールに振り分けられる」などのリスクを減らせます。 さらに、手順が多いダブルオプトインでメルマガ登録をする医療従事者は、ロイヤリティが高い見込み顧客であるとも言えるでしょう。

c. スパムトラップの回避

スパムトラップとは、スパマー特定のためにメールプロバイダ・ブラックリスト団体が仕掛けるメールアドレス・ドメインです。スパムトラップのアドレスに対しメールを送信すると、スパム判定を受けてしまいます。
悪意を持っていない送信者であっても、スパムトラップにメールを送ればブラックリストに載る結果となりますので、配信リストにスパムトラップが紛れないようにしなければなりません。自社の送信先にスパムトラップが入り込んでしまう原因は、「メールアドレスを購入したことがある」「すでに無効になった古いアドレス宛に配信をした」などが考えられます。

d. 医療従事者の環境に合わせた配信を行う

メールを受け取る医療従事者側のメーラー、ネット環境によっては、HTMLメールを上手く表示できない場合があります。 そのため、メールを受け取る医療従事者の受信環境を想定した配信が求められます。HTMLメールを配信するなら、HTMLメールとテキストメールを同時に送信する「マルチパート配信」が有効な手段です。

e. 配信量・配信速度の調整

メールの大量配信はスパムだと判定される原因となりますので、一度の配信量に気をつける必要があります。同時に、メールの配信速度が速すぎる場合もスパムであると判断される原因のひとつです。だだし、「どのくらいの配信量・速度が適切なのか」に関する明確な基準はありません。

②メールの送信環境への対策

a. SPF・DKINなどの送信ドメイン認証への対応

送信ドメイン認証とは、送信したメールの信頼性を証明するための仕組みです。各キャリアやプロバイダは送信ドメインの認証もスパム判定に使用しているため、対応が求められます。
現在普及している送信ドメイン認証の仕組みは「SPF」「DKIN」などが代表的です。送信ドメインの認証を自社の施策に取り入れるのがはじめての場合、専用コードをDNSに登録するだけで導入可能なSPFを採用します。

b. DNSの設定

DNSは前述の通りインターネット上でドメインを管理・運用する仕組みであり、送信ドメインの認証以外にもさまざまなセキュリティチェックに応用されています。配信メールがスパム判定されないようにDNSは正しく設定されていなければなりません。

c. IPアドレス・ドメインがブラックリストに載っているかどうかのチェック

前述した通り、メールの大量配信をしたり、スパムトラップ宛に送信をしてしまっていたりすると、自社のIPアドレス・ドメインがブラックリストに載ってしまっている可能性があります。 ブラックリストに載っているかどうかのチェック方法は以下の通りです。

  • 配信メールが「複数の送信先に届かないのか」「特定の送信先にだけ届かないのか」をチェックする。
  • 複数の送信先に届かない場合、ブラックリスト登録確認サイトを利用して登録有無をチェックする。

もし自社のアドレス・ドメインがブラックリストに登録されている場合は、登録されている共有サービスの運営団体へ問い合わせをし、解除申請を行う必要があります。

d. IPレピュテーションを高く保つ

IPレピュテーションとは、メールを送信した側が持つIPアドレスの信頼性を指す用語です。たとえ、IPアドレスがブラックリストに記載されていなかったとしても、新しいIPアドレスや過去に不正に利用されたIPアドレスを使用すると、配信したメールが拒否されかねません。
IPレピュテーションのチェックができるWebサービスは「SenderScore.org」「Barracuda Central」など複数存在します。IPアドレスの信頼性のチェックでは、これらのツールの活用も必要です。

③メール内容への対策

a. 医療従事者視点に立ったメールを配信する

製薬企業メールマーケティングにおいては、実際に内容を読む医療従事者の視点に合わせた内容にする必要があります。

それは単に医療従事者が求める情報を載せるということだけでなく、「煽り文句を過剰にしない」「購読解除は簡単にできるようにしておく」など、ストレスの少ないメール作りが求められます。
さらに、広告宣伝を目的としたメルマガ配信では「特定電子メール法」により送信元情報に関する表示義務が設けられていますので、自社情報をしっかりと記載しなければなりません。

b. 本文を過剰に装飾しない

過剰な文字装飾を行ったり、飾り罫線を使用したりするとスパム判定されるリスクが高まりますので、最小限に抑える必要があります。
ほか、画像の多用や添付ファイルも同様に、配信メールがスパム判定される要因となります。画像は最小限に留め、詳しい説明や資料のダウンロードが必要な場合はリンクの設置が求められます。

c. 信頼性の低いリンクを設置しない

宣伝目的のアフィリエイトURLの設置や、信頼性の低いサイトへの誘導を行うと迷惑メールと判断されやすくなってしまいますので、基本的には避けるのが賢明です。もしリンクを設置する場合は、間違って別ページに飛んでしまわないか、リダイレクト設定のチェックが必要なります。

d. 無料の短縮URLを使用しない

メールマーケティングのため作成するメールでは、短縮URLを採用するケースも考えられます。
しかし、短縮URLは迷惑メール業者も本当のURLを隠すために使用することがあり、スパム判定される可能性がある点がネックです。URLの長さを調整したい場合は、メルマガ配信ツールにある短縮URL機能を使うか、テキストや画像からリンクさせる方法が良いでしょう。

スパム判定を避けて、製薬企業も効果的なメールマーケティングを

メールマーケティングは見込み顧客である医療従事者のロイヤリティを向上させるために効果的な施策です。しかし、配信メールがスパム判定されてしまうと“そもそも読んでもらえない”という状況が生まれ、マーケティングの効果は期待できなくなります。メルマガ配信の際は、「送信方法」「送信環境」「内容」それぞれの対策を実践してみてください。