コロナ禍だから生まれた世界の広告事例5選<マスク着用編>

新型コロナウイルスの流行によって日常生活は大きく変わり、マスク着用は当たり前の光景となりました。しかし、公共の場でマスクを付けていなかったり、正しく着用できていなかったりする人がいるのも事実です。そこで今回は、新型コロナウイルス感染症対策としてマスク着用を呼びかける広告・キャンペーンの海外事例から、ユニークな視点を持った5つをご紹介します。

<事例1>全裸にマスクの広告でマスク着用の重要性を伝える

マスク専門ブランドThe Good Mask Companyは、自社商品のPRとからめて新型コロナウイルス感染症対策のためにマスク着用を呼びかける広告を制作しました。

広告は3種類あり、そのすべてでマスクのみを着用した全裸の人物がポーズを決めて座っています。そしてそれぞれに、“Dress to suppress(鎮圧には、着用を)” “If you only wear one thing…(これ1つさえ身に着けていれば……)” “No one cares what else you wear(他に何を着ているかなんて誰も気にしない)”と、3本つなげると意味がわかるメッセージが入り、マスク着用の重要性をユニークかつインパクトのある表現で伝えています。全裸にマスクという無視できないビジュアルで目を引き、ビジュアルがきちんと腹落ちするメッセージでマスク着用を呼びかける秀逸なクリエイティブと言えます。

▼参考URL
https://predge.jp/197165/

<事例2>落ち込むジェイソンでマスクを付けない人の怖さを訴求

アメリカのニューヨーク市は、映画「13日の金曜日」でおなじみのジェイソンを起用した新型コロナウイルス感染症対策CMを展開しました。

ニューヨークの街でジェイソンはタクシーに乗ろうとタクシーを呼び止めようとしますが、無視されてしまいます。駅までの道を聞こうと声をかけたときも、避けられてしまいます。電車に乗ろうとした際には、男性がジェイソンを見た瞬間に逃げ出してしまいます。そして公園のベンチで落胆しているジェイソンのもとに小さな女の子が近づき、「ジェイソンさん、マスクをどうぞ」とマスクを手渡します。そう、ジェイソンが避けられていたのは、“ジェイソンが怖いから”ではなく、“マスクをしていないことが怖かったから”でした。多少大げさでコミカルな内容ではありますが、ホラー映画の象徴ともいえるジェイソンをこのような設定で用いることで、マスクを付けない人は怖すぎる存在(ジェイソンよりも怖い存在)であることを印象強く伝えています。

▼参考URL
https://predge.jp/103703/

<事例3>ハンバーガーの注文内容が書かれたマスクで感染リスクを軽減

競合のバーガーショップの広告をARで燃やすとハンバーガーの無料クーポンが手に入るキャンペーン*1、など世界各国でユニークなクリエイティブを実施しているバーガーキングは、新型コロナウイルス感染症対策においても一風変わったキャンペーンを行いました。ベルギーのバーガーキングは、オーダー時に感染リスクを減らすオリジナルのマスクを配布。

このマスクには「スウィートチリソースをいただけますか?」「ペッパーキングまだありますよね?」「ワッパーセットのLサイズ、フライドポテトとダイエットコーラでお願いします」といった、お客さまが注文時に伝えたい内容がプリントされています。

つまり、お客さまはこのマスクを着用すれば、店内やドライブスルーで一言も発することなく、希望する商品を注文できてしまうというわけです。マスクはバーガーキング公式のFacebook、Instagramに自身の注文内容を書き込んだ人の中から250名に送付されました。強制力や同調圧力とは真逆のクスッとするアイデアで行動変容を促すクリエイティブです。

▼参考URL
https://burger-king-be.prezly.com/le-masque-burger-kingr-vous-ote-les-mots-de-la-bouche

<事例4>乗客の体臭を利用して地下鉄内でのマスク着用を促す

ドイツでもマスクを正しく着用できていない人(口だけを隠して鼻を覆わない人など)が少なくないそうです。そこで、ベルリン公共交通(BVG)は、正しいマスク着用を啓蒙するために「デオドラントの使用をやめよう!」というキャンペーンを行いました。夏の暑い時期、地下鉄内で乗客たちがひどい体臭を放っていれば居合わせた人はマスクを付けて鼻をしっかり覆うようになるだろう、という意図の企画です。過激な内容のためBVGの公式ツイッターには賛否両論の意見が寄せられたそうですが、問題提起にはなったクリエイティブと言えるのではないでしょうか。

▼参考URL
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/07/post-93880.php

<事例5>口を銃口に例え、マスク非着用の危険性をストレートに訴える

インドのNGOのThird Eye Consultingzと広告事務所のRosner the Tycoonは、正しいマスク着用を呼びかけるために、「Unmasking Kills(マスクを外すことは、人を殺すということ)」というメッセージ(キャッチコピー)の広告を制作しました。ビジュアルは、マスクを正しく着用していない人(マスクを片耳にだけかけている人)の顔のアップで、マスクに覆われていない口の中から銃口が覗いているというものです。そして広告の下部には、”32 million deaths worldwide and counting! This is the toll the covid-19 pandemic has taken on humanity(世界中で3,200万人もの死者が出ていて、日々増え続けています!これが、新型コロナウイルス感染症が人類に課した代償です)”という警告文も載せています。メッセージとビジュアルのインパクトに数字の客観性を加えた、訴求力の高いクリエイティブと言えます。

▼参考URL
https://predge.jp/197178/

製薬業界のプロモーションも斬新さとバランス感覚が大切

コミカルからシリアスまで、新型コロナウイルス感染症対策(マスク着用)に関するクリエイティブをご紹介しました。いまの時代、アイデアが優れていれば、広告やキャンペーンの内容はSNS上で2次的に拡散することが期待できます。もっと言えば、広く周知させるには、SNS上での拡散も視野に入れた企画力が必要です。

しかし、話題性ばかりを意識すると炎上のリスクもあります。例えば、ベルリンの観光当局は、マスクを付けない人に対して高齢女性が中指を立てている挑発的なポスターを使ったキャンペーン*2を実施した結果、「侮辱的」「健康上の理由でマスクが着用できない人もいる」といった批判が集まりました。無難でも行き過ぎでもない、斬新さとバランス感覚のあるクリエイティブを目指すことが大切です。

<参考>※URL最終閲覧2021年12月6日
・『裸にマスクをつけ、感染予防の訴求と自社製品PRを同時に行った欧・マスクブランド』/PR EDGE(https://predge.jp/197165/
・『みんながジェイソンから逃げた“理由”。米NY市のユニークなマスク啓蒙CM』/PR EDGE(https://predge.jp/103703/
・『Le masque BURGER KING® vous ôte les mots de la bouche』/BURGER KING(https://burger-king-be.prezly.com/le-masque-burger-kingr-vous-ote-les-mots-de-la-bouche
・『「君たちのせいだよ」ベルリン地下鉄のマスク着用徹底の秘策とは?』/ニューズウィーク日本版(https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/07/post-93880.php
・『「マスクを外すことは、人を殺すということ」 インドで公開されたマスク着用をストレートに訴求する広告』/PR EDGE(https://predge.jp/197178/

*1『BK – Burn That Ad』/Burger King BR(https://www.youtube.com/watch?v=PGByvh25uE0&feature=youtu.be
*2 『Coronavirus: Berlin ad sticks middle finger to mask rule breakers』/BBC(https://www.bbc.com/news/world-europe-54537519)/(日本語版)https://www.bbc.com/japanese/54549844