WEB問診とは?製薬企業も知っておくべき基本情報について解説

医療業界のIoT化や新型コロナウイルス流行の影響により、紙の問診票からWEB問診へ移行する医療機関が増えています。製薬企業のマーケティング担当者にとっても、医療業界のデジタル化最新動向は今後の施策のために把握しておくべき要素です。本記事ではWEB問診の基礎的な情報、メリットや機能例について解説します。

そもそもWEB問診とは?

WEB問診とは、スマートフォンやタブレットを使って、デジタルの問診票に患者さんが直接回答する問診システムのことです。インターネット環境があれば、いつでもどこでも記入できる点が特徴です。

従来の問診では、医療機関を訪れ「①紙の問診票を記入する→②問診表を元にした医療スタッフからの質問→③問診票の内容をカルテに記入する」というプロセスが必要でした。しかし、WEB問診を使えば、患者さんの来院前に①〜③のプロセスを完了させることができます。

そもそも問診票は、患者さんがスムーズに診療を受けられるように患者さんの受診理由を自己申告の形で記入するものです。しかし、紙の問診票では「記入漏れ」「字が判別不可能」「空欄が多く情報量が少ない」などの問題から、医療スタッフからの確認で時間がかかるケースが多々ありました。
WEB問診を使えば、質問項目を詳細に設定できたり選択式にしたりでき、紙の問診票以上に患者さんが自分の状態について記入しやすくなります。

WEB問診のメリット

WEB問診は、医療機関にとっても患者さんにとっても様々なメリットがあります。

  • 医療機関側から見たメリット
    1.スタッフの業務効率化
    2.問診票に記載する内容の分量に制限がなくなる
    3.混雑緩和に繋がる
  • 患者さん側から見たメリット
    1.クリニックの滞在時間が減る
    2.ペンを持ち記入する必要がなく、紙よりも気軽に回答できる

医療機関側のメリット

1.スタッフの業務効率化

問診システムと電子カルテ連携できるようになれば、スタッフの業務効率化に繫がります。厚生労働省が発表した統計情報によると、日本の医療機関における電子カルテの普及率は40%以上に達していますが、問診票については依然としてペーパーレス化の普及が進んでいないのが現実です。

紙のカルテを使った問診では、問診票をそのままカルテに貼って管理していました。しかし、カルテのみ電子化し、問診票は紙のままの場合、問診票の内容を電子カルテに転記する作業が発生してしまいます。そこで、WEB問診を導入すれば、問診票の内容をそのまま自動連携で電子カルテに記入でき、患者さんに対する対応をよりスピーディーにできるでしょう。

もちろん、スマートフォンやタブレットなどのデジタル機器の扱いが苦手な患者さんに対しては、WEB問診の使い方についてスタッフがレクチャーする、あるいは従来通り紙の問診票で対応する必要性はありますが、それでも医療機関側の業務効率は大幅に改善されると予測できます。

2.問診票に記載する内容の分量に制限がなくなる

紙の問診票の場合、どうしても物理的なスペースの問題から、患者さんが記入できる文字数に限界がありました。しかし、WEB問診で自由回答欄を設ける場合には、問診票のスペースを気にすることなく内容を書き込めます。

さらに、質問事項の数に関しても制限がなくなるWEB問診では、選択式の質問を多くし、患者さんが自由記載しなければいけない内容を大幅に減らせます。これにより、問診票の内容への記載漏れが減り、医療機関は「検査が必要なのか」「隔離する必要はあるのか」などの判断をよりスムーズに行えます。

3.混雑緩和に繋がる

患者さんが事前にWEB問診を行い、来院してすぐに医療機関側が適切な判断を行えるようになれば、患者さん一人一人の診察開始までの時間を短縮でき、待合室の混雑緩和にもつながります。

患者さん側から見たメリット

1.医療機関の滞在時間が減る

新型コロナウイルス感染症が拡大した2020年以降は医療機関での長時間滞在は避けたいという患者さんも多いでしょう。WEB問診であれば来院前に事前に回答を行っておくことでスムーズな診療につながり、医療機関の滞在時間を削減できます。

2.紙の問診票に比べ回答しやすい

WEB問診では、患者さんの回答のしやすさに配慮したフォーマットが採用されています。「今日はどのような症状ですか?」という総合的な内容から「喉が痛む」「熱が痛む」などの細の選択肢に分岐していくことで、専門知識がない患者さんでもスムーズに自分の症状を絞り込んでいけます。

システムによっては、画像が表示され実際に痛みなどを感じる箇所をタップする機能や、チャット形式で問診票を記入していく機能なども実装されています。このように、患者さんが自身の状態についてより正確に記入できるように補助する機能が多数搭載されているのは、紙の問診票にはないWEB問診だからこその利点と言えるでしょう。

WEB問診は必要に応じて紙カルテと組み合わせた運用も可能

WEB問診は、電子カルテを採用していなくても導入できます。アプリタイプであれば外部の予約システムとの提携や医療機関側での最低限のデバイスの導入で、実施可能です。

まだ紙のカルテを利用しているという医療機関であっても、WEB問診の結果を印刷し、カルテに貼り付けるだけで利用できます。WEB問診の重要なポイントは、電子カルテとの連携機能ではなく、スムーズな問診な問診による診察効率の向上にあるため、紙のカルテを使っている医療機関であっても恩恵を得られるでしょう。

WEB問診システムに搭載されている問診票以外の機能例

次に、WEB問診システムに搭載されている代表的な機能についてご紹介します。

事前のお知らせ機能

患者さんの問診回答の内容に応じて、医療機関からの処置や検査の内容を事前に自動表示する機能です。診察前に患者さんの治療や検査内容に関する理解を深めることで、スムーズに診察を進められます。

患者さん情報の集計機能

医療機関ごとに設定した患者さんの初診・再診の割合、来院経路、各症状の数など、問診の回答結果を自動で月次集計する機能です。これにより医療機関側は患者さんの全体的な傾向を知ることができ、経営戦略にも役立てられます。

分析結果は画像で保存したり、ExcelやCSVで出力印刷したりすることも可能です。

緊急度表示機能(トリアージ機能)

患者さんのWEB問診への回答内容に応じて、緊急度を表示する機能です。これにより、医療機関は優先して診察するべき患者さんを選び、診察できます。

紙の問診票を利用していた場合、患者さんの優先順位付けは医療機関のスタッフが行う必要がありました。しかし、WEB問診のトリアージ機能を使って患者さんの緊急性を自動的に判別できれば、緊急性の高い患者さんに対し速やかに処置を施す時間を確保できるでしょう。

WEB問診は医療機関・患者さん双方にメリット

WEB問診は、従来の紙の問診票に比べ、診察までの待ち時間を減らしたり、回答しやすい選択肢に従って回答することで詳しい症状を把握したりとさまざまなメリットが考えられます。今後ますますの需要の高まりが予想されるでしょう。


【参考】
・電子カルテシステム等の普及状況の推移/厚生労働省
 https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000482158.pdf