仕事で文章を書くすべての人へ、文章作成に活かせるキャッチコピーの考え方

仕事で文章を書くすべての人へ、文章作成に活かせるキャッチコピーの考え方

企画書、提案書、報告書、メールなど、製薬企業に関わらず、多くのビジネスパーソンは日々何かしらの文章を書いています。しかし、「文章を書くのが苦手」という人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、あらゆる文章作成に使えるキャッチコピーの考え方をご紹介します。

キャッチコピーは、目的達成のための言葉

突然ですが、「おにぎりのキャッチコピーを書いてください」と言われたらどうしますか?これは実際にコピーライター向けのセミナーなどで出されることがあるお題です。

・おむすびが、家族をむすぶ
・日本人の、おいしいふるさと
・白い恋人(※白米だから)
・お母さんは、どんな思いで握ったのだろう
・三角だけど、心がまるくなる
・ソウルフードである、ファストフードでもある

どうでしょうか。

一見、キャッチコピーっぽく見えますが、これらは「おにぎりとは、○○である」の○○を好きに埋めただけの言葉遊び(大喜利)です。

キャッチコピーは、自己表現のための言葉ではありません。「商品を知ってもらう」「買ってもらう」「来店数を増やす」「ブランドイメージを良くする」などの役割を持った、「目的達成のための言葉」「課題解決のための言葉」です。

そのため、「おにぎりのキャッチコピーを書いてください」というお題に対しては、まずは、書く目的を知ることが大切です。

出題者に、「キャッチコピーで達成したい目的は?」「ターゲットは?」「おにぎりの特徴は?」「競合商品は?」といったことを確認し、それからキャッチコピー(目的達成のための言葉)を考えることが正解なのです。

前半のプロセスをとばしていきなりキャッチコピーを考え始めると、目的達成のための言葉ではなく、単なる自己表現のための言葉になってしまうのです。


「何を言うか、どう言うか」は、キャッチコピーを考える基本

前述の通り、キャッチコピーは書く目的を明確にしてから考えることが大切なのですが、そのことを端的に表したのが、「何を言うか(What to say)、どう言うか(How to say)」です。

まず「何を言うか」を考え、その後に「どう言うか」を考える、という手法は、キャッチコピーの古典的、かつ、現代でも通じる王道のセオリーです。

最初に行う「何を言うか」は、“目的を達成するための訴求ポイントを決める(絞り込む)”ということです。

例えば車の場合、「経済性」をアピールしたいという目的に対しては「低燃費」や「低価格」が訴求ポイントになり、「運転しやすさ」をアピールしたいという目的に対しては「小回り」や「バックモニター機能」などが訴求ポイントになります。

そして、「何を言うか」が決まったら、「どう言うか」を考えます。訴求ポイントをどのような表現(言い回し)で伝えたら、ターゲットに効果的に届くのかを検討するのです。例えば「何を言うか」が「低燃費」なら、「どう言うか」は次のような表現が考えられます。

・地球にやさしい車は、家計にもやさしい。
・低燃費の車に乗ると、毎月勝手に節約になっている。
・毎月の電気代は気にするのに、ガソリン代を気にしないのはなぜ?
・浮いたガソリン代で、家族で食事に出かけた

このように、「何を言うか、どう言うか」を実践すると、「どう言うか」の段階ではすでに「何を言うか」という訴求ポイントが具体的になっています。そのため、キャッチコピーはぐっと考えやすくなり、かつ、的はずれな言葉、単なる自己表現のための言葉になるリスクも減らせるのです。

「何を言うか、どう言うか」は、ビジネス文書にも使える

この「何を言うか、どう言うか」は、目的を達成するための言葉(キャッチコピー)の考え方です。

そして、目的を達成するための言葉は、広告のキャッチコピーだけでなく、製品資材、企画書、提案書、メールなど、ビジネスで書く文章全般に当てはまります。つまり、「何を言うか、どう言うか」は、あらゆるビジネス文書に使えるというわけです。

文章を書くのが苦手という人は、「何を書いたらいいのかわからない」「書いているうちにわけが分からなくなる」という状況に陥ることが多いと思います。

その原因は、「何を言うか」という「目的を達成するための訴求ポイント」を明確にしていない状態で書き始めているからかもしれません。思い当たる節がある場合は、この文章で伝えたいこと(訴求ポイント)をしっかりと整理してから、文章を書くことをおすすめします。

まずは「何を言うか」を明確にする。その後に「どう言うか」を考える。

このプロセスを徹底するだけで、文章作成のハードルは下がるはずです。面倒くさいと思う人もいるかもしれませんが、結果的に文章作成の効率化につながります。文章の質も向上し、書くことへの苦手意識が薄くなることも期待できます。

文章の受け手に対して、「結局、何を言いたいんだろう…」「これを読んでどうして欲しいんだろう…」という残念な印象を与えてしまうことも防げるはずです。「何を言うか、どう言うか」というシンプルな文章作成の手法を、ぜひ試してみてください。