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新薬承認申請の流れを踏まえた基本資材制作スケジュール立案のポイント

医療用医薬品の基本資材は、医療機関の主要な情報源であり、その後のプロモーション資材の起源にもなります。情報量が多く、かつ、情報が不確定な段階から制作を始めるため、通常のプロモーション資材と比較すると制作期間が長くなります。また、基本資材は新薬の承認申請の期間に並行して制作する特徴があるため、その制作スケジュールは承認申請の流れに影響されます。そこで本記事では、新薬の承認申請の流れを踏まえた基本資材の制作スケジュール立案のポイントについてご紹介します。

新薬の申請から承認までの大まかな流れ

基本資材の制作スケジュールの話に入る前に、まずは、新薬の申請から承認までの流れを簡単にまとめてみます。新薬が申請されると、通常品目では、承認されるまでにおよそ1年かかります。申請後約3カ月で、審査当局(医薬品医療機器総合機構:PMDA)から照会事項と呼ばれる質問を受理し、製薬企業はそれに回答します。承認までこのやり取りが続きます。初回の照会事項から約6カ月後に審査イベントの一つである専門協議が行われ、その約1.5カ月後に部会※※で審議され、承認となります(下図はイメージ図)

 ※希少疾病用医薬品のような優先品目でない一般の新薬
※※薬事・食品衛生審議会の医薬品第一部会もしくは医薬品第二部会

*参考:新医薬品に係る承認審査の標準的プロセスにおけるタイムライン(通常品目) https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/about-reviews/p-drugs/0014.html

基本資材の制作スケジュール立案のポイント

基本資材は、製薬企業が審査当局に提出した申請資料をもとに作ります。また、新薬が上市されるタイミングで必要となるため、申請から承認までの1年の間に用意する必要があります。承認段階でFIXすべき資材でありながら、製薬企業と審査当局とのやり取りは承認直前まで行われることもあるため、承認直前に内容が変更となり修正作業に追われることも珍しくありません。そこで、そのような状況も考慮した、制作着手からFIXまでを可能な限りスムーズに進めるためのスケジュール立案のポイントを挙げてみます。

<基本資材の制作には、十分な準備が必要>
基本資材のもとになる申請資料の情報量は極めて膨大なため、内容を吟味して、どの内容をどこに当て込むか、当て込むための情報は十分か、申請資料から得られる製品メッセージはなにか、といったことを精査します。制作開始以降の作業をスムーズにするためにもこの準備期間が必要です。

<制作開始時期は照会事項に対する回答後>
新薬申請を行い初回面談後に受理する照会事項(上図参照)は、重要事項照会と呼ばれるもので、承認に向かうための最重要質問事項です。その回答内容によって申請資料が書き換わる可能性がないとは言い切れません。したがって、制作開始時期は、初回面談後の照会事項に対する回答後が適当と考えます。

<制作スケジュールにはマイルストーンの設置が重要>
修正作業のドタバタをできる限り回避し、制作スケジュールを必達するために重要なのは、制作スケジュールに、制作途中に考えられるディシジョンのタイミングや関連深い諸イベントを、マイルストーンとして置くことです。考えられる項目を以下に列記しました。

・承認審査関連イベント:審査当局との照会事項のやり取り、専門協議や部会審議のタイミング、専門協議と部会の間にある申請資料/添付文書の改訂のタイミングなど
・製品関連の国内外学会の開催日程:その期間中は担当者が不在になる可能性
・社内審査の所要期間:昨今、製薬企業社内審査の期間が非常に長くなっているので、所要時間の把握が必要
・印刷にかかる工数:承認時期によっては季節イベントの関係で印刷にかかる期間が大きく変わる可能性も

これらを踏まえた基本資材の制作スケジュールのイメージが下図です。この概略図では、制作開始時期は申請から約5カ月後で、制作完了まで約7カ月としています。

効率化のカギは、制作スケジュールの一元化

ところで、基本資材は実際には1つだけではありません。「インタビューフォーム(IF)」をはじめ、「総合製品情報概要」、「使用上の注意の解説」などの制作が同時に進みます。製薬企業では各基本資材の責任部署はそれぞれ異なるので、資材単位でのスケジュールで進行していきがちです。ですが、基本資材は相互に関連性が強いので、1箇所の修正がすべての基本資材に波及します。資材ごとにまちまちなスケジュールで、この確認作業が都度繰り返されると、とても煩雑です。 したがって、総合的な情報が記載されるIFの制作スケジュールをベースに、それ以外の基本資材も含めた一元化された制作スケジュールを用意することをおすすめします。IFの制作を先に進行し、そこで出てきた修正内容を各資材に反映させる流れを作れば、資材間で行ったり来たりの煩雑な作業が回避できます。

基本資材は、外的要因で急な修正を余儀なくされる資材です。不確定要素が常にあるので、スケジュールを達成するためには委受託双方(製薬企業-代理店・制作会社)の密な連携が大事になります。新型コロナ禍で一気に進んだオンライン会議を活用しない手はありません。定期・不定期なオンライン会議を組み合わせて情報と進捗状況を共有することで作業効率化を図ることができます。また、スケジュールとワークフローをクラウド上で設定・管理し双方で共有することで、スケジュールの短縮化が叶うかもしれません。 以上、基本資材の制作スケジュールについてまとめてみました。