アプリを使ったデジタル認知行動療法を開始

アプリを使ったデジタル認知行動療法を開始

※画像はイメージです。

Pear Therapeutics社は、中毒に焦点を当てたデジタル治療薬「reSET」と「reSET-O」の販売を開始しました。
これは2017年9月、覚醒剤、大麻、コカイン、アルコールなどの物質使用障害の患者を治療するためのアプリとしてFDAから認可を受けました。

「reSET」と「reSET-O」

「reSET」は、アプリによる患者への認知行動療法の12週間のプログラムを提供します。その効果として、外来治療プログラムにおける禁酒率を増加させ、薬物の保持率を下げることが示されています。
「reSET-O」は、オピオイド鎮痛剤使用障害の治療薬であるブプレノルフィンと組み合わせて処方されるように設計されています。
患者が「reSET」の行動療法治療を完了すると、薬物の使用、渇望、トリガーなどについて報告し、そのデータは自動的にプロバイダに送信されます。担当医は患者から報告された患者の関与、遵守および進捗状況のデータをネット上のダッシュボードを介して監視することができます。

アプリにより変わる環境

「reSET」と「reSET-O」は、既存の治療薬と併用するかたちで治療を進めることが想定されています。しかし、近い将来モバイルアプリだけで治療を進めることができるものも登場するでしょう。その場合は何が変わるのでしょうか?
まず、製薬会社として薬を売るだけでなく、ソフトウェア、ハードウェア、ヘルスコーチングといった薬以外で患者を治療するための環境づくりを行うサービスを積極的に展開することになるでしょう。それらは実質薬と差がない効果を生むサービスになります。そして、薬剤師は薬を出すだけでなく、アプリと患者を繋ぐ重要な役割を担うことが予想されます。
そして医師は、アプリを介することで患者と密接につながることができるようになり、治療方針の遵守などの要請を患者に直接出すなどして、治療に従事し続けることができるようになります。これは患者にとっても医師にとっても効率的に治療が継続できることを示しています。

アプリ活用における課題

現状は、医療従事者に従来の薬理学的治療とアプリによる非薬理学的治療の組み合わせの意義を理解してもらうところから始めなくてはなりません。そこでPear Therapeutics社は、Sandoz社とマーケティング分野などで提携すると発表しました。両社の今後の動向に注目が集まっています。

ニュース元:MEDICAL MARKETING & MEDIA
https://www.mmm-online.com/technology/sandoz-signs-on-to-lead-launch-of-pears-digital-therapeutics/article/760314/