DL資料あり|MDMD2022Springレポート/いまさら聞けない!マーケターのためのRWD活用

「DX時代を切り拓く!進化する医薬品デジタルマーケティングを展望」をテーマに、2022年5月に開催したオンラインカンファレンス「Medinew Digital Marketing Day 2022 Spring」。株式会社JMDCの早川叶氏の講演では、製薬企業のマーケティングで注目されているリアルワールドデータの概要や種類などさまざまなノウハウについて解説されました。

RWDの特徴と活用のメリット

リアルワールドデータ(RWD) は、「さまざまなソースから日常的に収集された、患者の健康状態および医療の提供に関連するデータの総称」と定義づけられています。RWDは、広義にはウェアラブルやスマートフォン等を通じて集積された健康に関するデータや、PRO (Patient Reported Outcome)が該当するとされます。

マーケティングで使用される狭義のRWDとしては、レセプトデータ、DPCデータ、処方箋データ、電子カルテデータ、患者レジストリなどが該当します。
早川氏はRWDと他の調査手段との比較を示しました(下図)。これを見ると、RWDはバランスが良いアプローチといえそうです。「無理にRWDを使う必要はありません。売上データやプライマリリサーチをうまく使いつつ、RWDで不足要素を補うイメージです」と早川氏。

他の調査手段とRWDの違い
2022.05.26 (株)JMDC 「Medinew Digital Marketing Day 2022 Spring いまさら聞けない!マーケターのためのRWD活用」資料より抜粋

製薬企業で網羅的に活用されるRWDの種類や特徴

RWDを活用するメリットとして、早川氏は以下を挙げました。

  • 実臨床での治療や患者行動を把握できる
  • データサイズが大きく、RCTでは得られない大量のサンプル数を確保可能
  • 低コストかつスピーディな調査が可能

一方で、実臨床ゆえにバイアスの可能性やデータ項目の限界もあると指摘します。また、現状ではRWDデータを解析する人材も十分ではないようです。

こうしたRWDの特徴を踏まえ、JMDCでは創薬から市販後の安全性調査までの各ステップでRWDをどのように使用すると効果的なのかを検討し、またこれまでRWDを活用されていない部門にも向けた多様なサービスを開発しています。

RWDが活用されている領域
2022.05.26 (株)JMDC 「Medinew Digital Marketing Day 2022 Spring いまさら聞けない!マーケターのためのRWD活用」資料より抜粋

国民皆保険制度下においては、医療機関(病院や調剤薬局)、保険者、支払基金という3パートでそれぞれ医療に関する各種データがやり取りされることとなります。具体的には、レセプトデータ、処方箋データ、DPCデータ、電子カルテデータなどですが、RWDはこれらをデータベース化しています。

本講演では、データの種類と情報元について解説しました。

各RWDの特徴まとめ
2022.05.26 (株)JMDC 「Medinew Digital Marketing Day 2022 Spring いまさら聞けない!マーケターのためのRWD活用」資料より抜粋

レセプトデータの多様な種類と特徴

レセプトデータは、診療実態を把握できるさまざまな情報が記載されています。具体的には、医療機関由来のレセプト(医科レセプト)や調剤薬局由来のレセプト(調剤レセプト)として、診療年月/調剤年月、患者年齢、性別、保健医療機関/薬局名、疾病名、診療実日数、診療内容(医学管理、在宅、検査、画像診断、処置、投薬、手術、麻酔、精神科専門療法、リハビリテーション、放射線治療、請求点数)、投薬などがあります。

医科レセプトと調剤レセプトには、ともに請求点数が明記されているため、一つの診療と調剤の単位で医療コストが把握できるデータともいえます。レセプトデータは、保険者、医療機関、調剤薬局の3種類から取得されます。

保険者(健保組合から収集)ベースのデータ

「保険者ベースのデータの最大の特徴は患者の追跡性です。いわゆる保険証を軸に収集されるデータのため、施設をまたいで情報を取得できます」と早川氏は話します。とはいえ、収集できるデータには限界点があることも忘れてはなりません。

調剤薬局ベースのデータ

「最大の強みは速報性です」と早川氏は説明します。また、患者単位の分析が可能とも言えるデータです。一方で、調剤薬局から収集しているデータは調剤レセプトが主なデータソースであるため疾病名情報は不在です。

医療機関ベースのデータ

保険者ベースのデータでは年齢や地域が限定されるケースもありますが、医療機関ベースのデータでは年齢に制限がほとんどありません。これは医療機関ベースの強みの一つといえます。

レセプトデータ以外のRWDデータの種類と特徴

前述したように、RWDにはレセプト以外に、医療機関で取得されるDPCデータや電子カルテデータがあります。

DPC調査データ

DPC(Diagnosis Procedure Combination)とは入院患者を対象に傷病名と入院中の主な医療手技などの組み合わせによる「診断群分類」のことで、これに基づき医療費が定額支払いされる制度のことをDPC制度と呼びます。2003年にDPC制度が導入されて以来、DPC調査データはカルテからの日別情報など細やかなデータとして活用されています。

電子カルテ(診療録)データ

診療の経過とともに臨床検査の結果の取り込みもされており、レセプトやDPC調査データより、さらに詳細な患者情報がわかるデータです。医療機関からの詳細な患者情報、実際の病名、アウトカムが取得可能ですが、表記のゆれが多いデータともいわれます。

マーケティング関連でのRWDの利活用方法

本講演では、マーケティング関連でのRWDの利活用方法について、目的別に、ADH(アドホック)分析、ペイシェントジャーニー分析、機械学習を用いた疾患特性分析の3種類が紹介されました。

ADH分析

担当製品のシェアの推移が知りたい、または患者数が知りたい、など分析の目的が明確でそれに対してピンポイントな集計結果が欲しい時に用いられる方法です。例えば、患者数、薬剤使用数/シェア、スイッチ状況等を定量的に検証できます。都道府県別や市区町村別といった地域別のほかに、病床規模別や入院外来別、院内院外別・経営体別、施設機能別などの医療機関視点や、年齢別や性別別といった患者視点でも分析可能です。
また、ダイナミクス、新患シェア推移として、任意の薬剤における毎月の継続/新規/追加/切替(in、out)/脱落患者シェアを分析。自社薬剤の新患における獲得シェアや、獲得元/脱落先の薬剤も正確に把握できます。

このような分析はレセプトで行うからこその意義もあります。例えば、多くの適応を持つ薬剤において適応症別に分析可能な点も、その一つです。

ペイシェントジャーニー分析

ペイシェントジャーニーとは、患者の動線を詳らかにして改善施策の意思決定をおこなうための情報を指します。しかし、従前のアプローチで作成するペイシェントジャーニーは客観性や定量性が欠けているケースが少なくない、と早川氏は指摘します。

レセプトを用いた場合、個別患者のジャーニーでは、紹介状前後での紹介元及び紹介先の傷病や処方の実態を理解するため、個別患者のローデータを精査しています。
また、個別患者の観察を基に洗い出された課題は、母数を拡大した定量的な確認や定性調査での深掘りも可能、と早川氏は話します。患者インタビュー(主観情報)とレセプトデータ(客観情報)を組み合わせることで、より正確なペイシェントジャーニーを理解できるというわけです。

機械学習を用いた疾患特性分析

データを隈なく観察することはできるようになったけどもう一歩示唆が欲しい、といった段階の方におすすめなのが機械学習を用いた疾患特性分析、と早川氏。たとえば、ターゲット疾患に到達するまでにどのような傷病を辿ってきたのかというパターンを抽出し、可視化したもの(疾患診断経路の抽出)として、発症パターンマイニングがあります。

JMDCが保有するRWDの多様性

JMDCは、レセプトデータ3種(保険者、医療機関、調剤薬局)とDPC調査データ、電子カルテ(診療録)データの計5種類を保有している数少ない企業です。
このほかに台帳情報、健診データ、介護データ、PRO/ウェアラブル情報などを保有しており、JMDCでは非常に多岐にわたるデータを駆使した正確な分析が可能です。

早川氏は「法改正も伴い、各DBの拡大や新しく利活用可能なデータ等が急速に普及しています。今後もその傾向は続くことが見込まれ、各DBに関して常に最新の情報を得ることが大事です」と説明します。
利活用できるデータが拡大している今だからこそ、目的に応じているデータの選択ができているのかを改めて考えてみることが重要です。何をしたいのかについて考え、きっかけとなる話題や課題感を早めに共有することで効率よく進めることにもつながります。

適切なデータベースの選択
2022.05.26 (株)JMDC 「Medinew Digital Marketing Day 2022 Spring いまさら聞けない!マーケターのためのRWD活用」資料より抜粋

RWDの新たな可能性

RWD は今や、MRが医師と議論するネタや、医師向けオウンドメディアのネタのように、外部資料として活用する企業も出てきているようです。

JMDCでは、グループ内の医師・患者プラットフォームを製薬企業に利活用いただく体制を整えている、と補足する早川氏。患者向けの「Pep Up」のほか「メルプAI受診相談」、医師向けの「イシヤク」といったプラットフォームを整備しているとのことで、今後のさらなる活用が期待されています。

RWD分析は、しばしば社内の意思決定のために活用されますが、その先の最適な施策によって得られる売り上げ向上には大きなインパクトがあります。RWD活用の際には、目先の費用対効果に合わせてその先にある成果をしっかり認知することが重要、と早川氏は話します。本講演の紹介事例で、RWDの有用性や他リサーチとの使い分けを正しく理解し、活用イメージを具体化し、新たな取組を始めるきっかけとしていただけたら、と締めくくりました。


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